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運転日報とは?義務付ける法律と罰則、記入例

運転日報は、企業の安全運転管理において欠かせないツールであり、ドライバーの運行状況を正確に記録・管理するための重要な役割を担っています。

本記事では、運転日報の重要性その活用方法について詳しく解説し、効率的な運用を実現するためのシステム導入のメリットについてもご紹介します。

目次

1.運転日報とは?義務付けている法律や記入例

運転日報の記録と保管

運転日報とは、業務でトラックや自動車を使用する際に、ドライバーの氏名や走行距離などを記載する書類です。

ここでは、運転日報に記載すべき内容や、運転日報を義務付けられている企業と法律を解説します。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について|国土交通省

(1)運転日報に記載すべき内容

運転日報は、運送業を営む企業や社用車を保有している企業に、記録と保管が義務付けられています。

運転日報に記載する概要について、運送事業者と社用車を保管している企業に分けて解説します。

①運送業者の場合

運送業者の場合は、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」により運転日報に以下の7つの項目を記載することが義務付けられています。

  1. ドライバーの氏名
  2. 乗務に係る事業用自動車の登録番号または識別できる表示
  3. 乗務の開始・終了地点、日時、および主な経過地点と乗務距離
  4. 運転交替地点と日時(交替があった場合)
  5. 休憩・仮眠地点と日時
  6. 車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の自動車に関する貨物の積載状況
  7. 集荷・配達地点での待機状況(車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の自動車の場合)
    引用:貨物自動車運送事業輸送安全規則 第八条

加えて、最大積載量5トン以上の大型車両の場合の注意点は、以下のとおりです。

最大積載量5トン以上の大型車両の場合の注意点
  • 貨物の積載状況や集荷・配達地点での待機時間などの記載が必要
  • 荷主都合で発生した待機時間を正確に記録する
  • 集荷・配達地点への到着日時を記録する
  • 荷積みおよび荷卸しの開始と終了時間を記録する
  • 付帯業務を行った場合、その作業時間も含めて記録する

また、どの車両総重量の運転日報でも電磁的記録による保存も認められており、デジタル化による効率的な管理が可能です。

②社用車を保有している企業の場合

社用車を保有している企業の場合は、道路交通法施行規則により運転日報に以下の4つの項目の記載が必要です。

  1. ドライバーの氏名
  2. 運転の開始・終了日時 
  3. 走行した距離 
  4. その他、自動車の運転状況を把握するために必要な事項
    引用:道路交通法施行規則第9条

(2)運転日報を義務付けられている企業と法律

運転日報を義務付けられているのは、運送業を営む企業社用車を保有している企業です。

どのような法律によって運転日報の記録・保管が義務付けられているのか、それぞれ解説します。

①運送業者の場合

運送業の定義貨物自動車運送事業が該当する事業すべて
遵守する法律貨物自動車運送事業輸送安全規則
概要運転日報の記録・保存・運行管理者を事務所ごとに車両台数に応じた人数で配置し、運行管理者は運行管理や乗務記録の管理、アルコールチェックなどを行う

運送業を営む企業は貨物自動車運送事業輸送安全規則によって、運転日報の記録・保管が義務付けられています。貨物自動車運送事業輸送安全規則とは、自動車で貨物を運送する事業者が安全な輸送を行うために定められた規則です。

規則により、運送業では「運行管理者」を事務所ごとに車両台数に応じた人数配置する必要があります。運行管理者は運行管理や乗務記録の管理、アルコールチェックなどを行い、長時間運転によるドライバーの過労や、事故の防止をするなどの役割があります。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について|国土交通省

②社用車を保有している企業の場合

運送業の定義1.法人や個人事業主として車両を保管している
2.乗車定員11人以上の自動車は1台以上、それ以外の自動車は5台以上を使用している事業所
※上記の2つをどちらも満たしている
遵守する法律道路交通法施行規則
概要・安全運転管理者の選任・運転日報の記録・保存

社用車を保有している企業は、道路交通法施行規則によって運転日報の記録が義務付けられています。なかでも対象になるのは乗車定員11人以上の自動車は1台以上、それ以外の自動車は5台以上を使用している事業所です。

上記に該当する企業は、安全運転管理者の選任も義務付けており、業務の1つに運転日報の記録・保存があります。

参考:道路交通法施行規則の一部改正について|神奈川県警察

(3)トラックの運転日報の記入例

トラックの運転日報の記入例は、以下のとおりです。

トラックの運転日報の記入例
項目記入例
ドライバー名山田 太郎
車両ナンバー札幌 123 あ 4567
運行開始日時2023年8月23日 8:00
運行終了日時2023年8月23日 17:30
運行開始地点札幌市中央区
運行終了地点旭川市
総走行距離180 km
経過地点札幌市中央区 → 江別市 → 岩見沢市 → 滝川市 → 旭川市
休憩地点1江別市
休憩時間10:00 – 10:15 (15分)
積載貨物工業用機械部品
積載量4.5トン
集荷地点1札幌市中央区
荷積み開始8:30
荷積み終了9:00
配達地点1旭川市
荷卸し開始16:00
荷卸し終了16:30
交通事故や遅延等の発生なし

(4)運転日報の義務に関わる法律は2022年4月から厳格化

道路交通法施行規則第9条の10(安全運転管理者の業務)の改正によって、2022年4月からアルコールチェックが厳格化されました。

変更点として、義務の対象となる事業者の拡大アルコールチェックに関する記録を保管する義務が挙げられます。

2022年4月以降2022年4月以前
対象企業緑ナンバーおよび一定台数以上の白ナンバー(自家用車)を保有する企業緑ナンバー(事業用自動車)のみ
アルコールチェック方法目視等で運転者の酒気帯び確認(運転前後に実施)義務なし(緑ナンバーに限定)
記録の保存アルコールチェック結果を記録し、1年間保存義務なし
アルコール検知器の使用2022年10月以降、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認とその記録(但し、2022年10月からの義務化は延期)義務なし

2022年4月以降、アルコールチェックの義務が大幅に強化され、白ナンバーの車両を保有する企業にも義務が拡大されています。2022年10月からのアルコール検知器の使用義務も導入予定でしたが、こちらは延期されています。

参考:道路交通法施行規則の一部改正について|神奈川県警察

3.運転日報の保管期間と保管方法

運転日報の保管期間と保管方法

ここでは、運転日報の保管期間と保管方法を解説します。

(1)運転日報の保管期間

運転日報の保管期間は1年~5年であり、法律によって保管期間が異なります。

法律運転日報の保管期間
貨物自動車運送事業輸送安全規則・道路交通法施行規則最低1年間
労働基準法最低5年

運転日報は、貨物自動車運送事業輸送安全規則・道路交通法施行規則ともに、最低1年間保管することと決められています。

一方で労働基準法では、重要な書類関係は5年間保存しなければならないと定められています。労働基準法に則り、5年は保存しておいたほうがいいという意見もあるようです。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則 第八条
参考:道路交通法施行規則第9条
参考:厚生労働省 改正労働基準法等に関するQ&A

(2)手書きと電子データの運転日報の保管方法

手書き電子データ
保管方法実物の紙をファイルなどに保管クラウド上に保管
メリット自社の慣習にあわせて保管できる・保管スペースが不要
・検索が容易
・紛失リスクが低い・劣化しない
デメリット・保管スペースが必要
・書類が劣化しやすい
・紛失や破損のリスクがある
・コストがかかる
・データの改ざんリスクがある

運転日報は必要事項が記入できていれば、保存方法は手書き・電子データどちらでも問題ありません。運転日報の保管に手間や時間をかけたくない企業には、電子データでの保存がおすすめです。

電子データであれば、日報を保管する場所や過去の日報を遡る手間を軽減できて、ペーパーレスでコストも削減できるなどさまざまなメリットがあります。

4.トラックの運転日報をペーパーレス化する方法

トラックの運転日報をペーパーレス化する方法

トラックの運転日報をペーパーレス化する方法は、以下の2つです。

トラックの運転日報をペーパーレス化する方法

ここでは、トラックの運転日報をペーパーレス化する方法を解説します。

(1)アプリやシステムなら日報を自動で出力できる

運転日報をデジタル化することで、従来の手書きによる日報作成の煩雑さを大幅に軽減できます。メリットは、以下のとおりです。

メリットアプリ・システムの機能
記入ミスや情報漏れの防止GPSやデジタコから正確なデータを自動取得
業務効率の向上日報の記録・回収・集計の自動化
正確な情報の把握自動で取得・集計されたデータによるヒューマンエラーの減少
保管スペースの節約物理的な保管スペースが不要
コスト削減紙媒体の保管コストや書類整理にかかる業務負担を削減

運転日報の作成や管理にアプリやシステムを活用することで、運転日報の作成が自動化され、業務の効率化と正確な情報管理が実現します。

(2)Excelはコストを抑えられるが管理に課題がある

運転日報を完全自作したい場合は、以下の動画も参考になります。

ただし、Excelを用いる場合、日報ごとにファイルが分かれてしまうため、データの一元管理が難しくなるというデメリットがあります。特に、運転日報の管理が複数人に渡る場合や、膨大なデータを扱う場合には、ファイルの管理検索が煩雑になる可能性があります。

Excelで運転日報を作成すると、コストを抑えつつデジタル化を進められる利点がある一方で、運用面での工夫が必要です。

5.運転日報の作成・保存の義務を怠った場合の罰則

運転日報の作成・保存の義務を怠った場合の罰則

運転日報の作成・保存は法律で定められた義務ですが、怠った場合の明確な罰則はありません。

しかし、「安全管理者」や「運行管理者」に関する規則に違反した場合、罰則が科されるため注意しましょう。ここでは、安全運転管理者と運行管理者に関する罰則について解説します。

(1)安全運転管理者についての罰則

運転日報の作成・保存がされていなかったために、罰則が科されることはありません。しかし、運送業をしている企業において以下に該当する場合、罰則が科されます。

違反内容罰則
安全運転管理者を選任していない50万円以下の罰金
安全運転管理者の選任・解任の届出を行っていない50万円以下の罰金
参考:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁

運送業者は、巡回指導の際に運転日報のチェックが行われるため、安全運転管理者を忘れずに配置しましょう。

(2)運行管理者についての罰則

社用車を一定数保有する企業においても運転日報の作成・保存が義務付けられていますが、それが行われていなかった場合の直接的な罰則はありません。しかし、調査の過程で以下の違反が発覚した場合、罰則が科される可能性があります。

違反内容罰則
運行管理者を選任していない150万円以下の罰金
運行管理者の選任・解任を届出ていない、または虚偽の届出をした100万円以下の罰金
運行管理者資格証の返納命令に従わなかった50万円以下の罰金
参考:運行管理制度について|国土交通省

運行管理者の罰則は運転日報の適切な管理と労働時間の厳守を徹底し、法令遵守を徹底することで罰則を回避できます。

6.まとめ

運転日報の作成・保管は、法律によって厳格に義務化されています。運転日報の作成・保管を怠った場合の罰則はありませんが、調査の過程で違反が発覚した場合に、罰則が科されるため注意しましょう。

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