2024年4月の働き方改革関連法の適用に伴い、物流業界では配車業務の効率化が急務となっており、GPSを活用した配車システムの導入が進み、リアルタイムな車両管理や最適なルート選定により、業務の効率化やコスト削減を実現する企業が増えています。
本記事では、GPS配車システムの概要やAIを活用した自動化の種類、選定ポイントなどを詳しく解説します。
1.GPSの配車システムとは?

GPS技術とクラウドネットワークを活用し、配送計画の立案から運行管理までを一元化することで、業務の効率化やコスト削減を実現し、以下のようなことを可能にします。
- リアルタイムでの車両位置把握
- 最適なルート選定
- 運行状況の可視化
ここでは、GPS配車システムが求められる背景と主要な機能について解説します。
(1)配車システムが求められる背景
まずは、なぜ配車システムが必要とされるのか、その背景となる課題について解説します。
①配車計画の属人化

配車計画の属人化は、物流業界が長年抱えてきた大きな課題のひとつです。従来の配車業務は、ベテラン担当者の経験や勘に大きく依存しており、業務の標準化が困難でした。
このような属人的な業務体制には、持続性に関わる深刻な問題があります。
担当者の不在・退職リスク | ベテラン担当者の退職や不在時に、業務が滞るリスクがある |
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配車計画の最適化不足 | 経験や勘に基づく判断では、車両の過剰配置や非効率なルート設定が発生しやすい |
人材育成の負担 | 暗黙知を体系的に継承しにくく、新人育成に多大な時間とコストがかかる |
こうした課題を解決するために、AIを活用したGPS配車システムを導入することで、配車業務をデータに基づいた標準化されたプロセスへ移行することが求められています。
②2024年問題

2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されることによって生じるさまざまな課題を指します。
この規制は、ドライバーの長時間労働を是正し、健康と安全を守るために導入されましたが、以下のような影響が懸念されています。
ドライバー不足の深刻化 | 労働時間の短縮により、ドライバーの収入減少することで人材不足につながる |
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輸送能力の低下 | 時間規制による運行制限によって、積載効率の向上が求められる |
運送料金の上昇 | 人手不足に伴うコスト増加で荷主への価格転嫁の必要性がある |
配送遅延のリスク | 労働時間の制限により、従来のスケジュール通りの配送が難しくなる |
配車システムによるリアルタイムな運行管理や最適なルート選定により、限られた労働時間の中で最大限の輸送効率を確保し、配送遅延やコスト増加を防ぐことが可能になります。
(2)配車システムの主要機能
GPS配車システムには、業務の効率化や安全管理、意思決定の精度向上を支援するさまざまな機能が搭載されています。ここでは、GPS配車システムにおける3つの主要機能について解説します。
①配車の自動化・効率化
配車の自動化・効率化は、AIとデジタル技術を活用し、最適な配車計画を立案する機能で、従来の手作業による配車業務をデータ駆動型の精緻な運行管理へと進化させる以下の役割を果たします。
最適な配車計画の自動作成 | AIアルゴリズムが、道路状況・交通規制・ドライバーの労働時間などを考慮し、最適なルートを算出 |
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業務の繁閑に応じた調整 | 日次・週次・月次の配車計画を立案し、繁忙期・閑散期に応じた人員配置を最適化 |
リソースの効率活用 | 閑散期の計画的な有給取得を促進し、ムダのない運行を実現 |
この機能により、業務負担の軽減とコスト削減を両立し、収益性の向上にもつながります。
②車両の動態管理
車両の動態管理は、GPS技術を活用し、車両の運行状況をリアルタイムで監視・記録する機能です。これにより、車両の現在位置、移動経路、運行状態を正確に把握できるようになります。
リアルタイム位置情報の取得 | 各車両の現在位置や移動履歴をリアルタイムで確認可能 |
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運転挙動の分析 | 急加速・急ブレーキなどの危険運転を検知し、安全運転指導に活用 |
労務管理の強化 | 連続運転時間や休憩状況を把握し、法令遵守を支援 |
この機能により、安全性の向上や労働環境の適正管理が可能になり、事故リスクの低減にも貢献します。
③業務全体の見える化
業務の見える化は、物流業務全体を可視化し、業務改善を促進する機能です。システムを導入することで、個別管理されていたデータを統合し、リアルタイムで状況をモニタリングできるようになります。
配送状況の可視化 | 遅延が発生しやすい区間や車両の稼働状況をリアルタイムで確認可能 |
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業務課題の早期発見 | 在庫の滞留やルートの非効率性などをデータで特定し、業務改善に活用 |
経営指標のリアルタイム把握 | 売上や仕入れデータと連携し、意思決定を迅速化 |
この機能により、業務のムダを排除し、継続的な業務改善とコスト削減を実現できます。
2.配車システムのタイプ

GPS配車システムには、用途や機能に応じてさまざまな種類があり、自社の業務課題に最適なシステムを選ぶことが重要です。
ここでは、特に物流業界で導入が進んでいる以下の配車システムのタイプについて解説します。
配車管理システム | 配車業務の効率化・標準化 |
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自動配車システム | AIによるルート最適化 |
GPS運行管理システム | リアルタイム車両管理・安全運転支援 |
それぞれの特徴を解説します。
(1)配車管理システム
配車管理システムは、熟練の配車担当者が行ってきた配送計画の立案・管理などの業務をデジタル化し、効率的な運用を支援するツールです。従来の手作業による配車業務を、データに基づく合理的な管理へ移行することで、業務の効率化と精度向上を実現します。
配車管理システムの主な機能は、配送計画の立案・管理や運行データの自動可視化などがあります。
配送計画の立案・管理 | 車両・ドライバー・配送ルートの最適な組み合わせをシステム上で作成 |
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運行データの自動可視化 | 稼働率・走行距離・積載効率などのデータを自動集計し、業務改善に活用 |
リアルタイム情報共有 | 配車情報や配送ステータスをリアルタイムで共有し、部署間の連携を強化 |
配車管理システムの導入により、属人的な配車業務から脱却し、より精度の高いオペレーションが可能になります。以下の記事では、
(2)自動配車システム
AIなどによって配車計画の自動化を実現するのが、自動配車システムです。
配車管理システムが人の意思決定をサポートするのに対し、自動配車システムはAIが主体となり、最適な配送計画を自動生成します。自動配車システムの主な機能は、配車計画の自動生成やリアルタイム最適化などがあります。
AIなどによる配車計画の自動生成 | 渋滞情報・配送時間の制約・労務管理ルールを考慮し、最適なルートと車両の組み合わせをAIなどが作成 |
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リアルタイム最適化 | 交通状況や突発的なトラブルに応じ、最適な配車計画を即時に再計算 |
業務の属人化を解消 | 配車担当者の経験や勘に頼らず、データに基づいた合理的な判断が可能 |
自動配車システムの導入により、AIの力を活用した合理的な配車計画が実現し、物流業務全体の最適化につながります。
(3)GPS運行管理システム
企業が保有する車両の現在位置や走行ルートをリアルタイムで把握できるだけでなく、運転挙動のデータ収集・分析にも対応し、より安全かつ効率的な運行を実現します。
リアルタイム車両管理 | すべての車両の現在位置をGPSで即時把握し、走行ルートや配送状況をリアルタイムで管理 |
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運転挙動の分析 | 急発進・急ブレーキ・アイドリング時間などのデータを記録し、安全運転指導に活用 |
自動日報作成 | 走行距離・移動履歴・稼働時間を自動記録し、日報作成の負担を軽減 |
燃費管理・エコ運転支援 | 燃費データの可視化により、燃費の改善やCO₂排出量の削減を促進 |
複数の車両を保有する企業にとって、運行の効率化と安全管理を両立するための重要なツールです。
配車システムの選定ポイント

配車システムを導入する際、自社の業務課題や運用環境に適したシステムを選定することが重要です。ここでは、機能性やGPSのタイプなどの観点から、配車システムの選定ポイントを解説します。
(1)自社の課題にあった機能性
配車システムにはさまざまな種類があり、用途に応じた適切な機能を備えたものを選ぶことが重要になります。以下では、配車システムの主な種類と適した企業の目安を表にしています。
タイプ | 特徴 | 適した企業 |
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配車管理システム | 配車計画をデジタル化し、業務を効率的に一元管理 | 配車業務の手作業を削減し、計画の精度を向上させたい企業 |
自動配車システム | AIが配送条件を考慮し、最適な配車計画を自動生成 | 配車の属人化を解消し、配送ルートが頻繁に変動する企業 |
GPS運行管理システム | GPSで車両の動態をリアルタイムに管理し、運行状況を可視化 | 車両管理・安全運転指導・労務管理を強化したい企業 |
配車業務の効率化を目的とする場合は、配車管理システムが適しています。一方で、配送ルートの最適化や業務の属人化を解消したい場合は、自動配車システムの導入が効果的です。
また、システム導入の効果を最大限に引き出すためには、現在の業務フローとシステムの機能を照らし合わせ、導入後の業務改善を具体的にシミュレーションすることが重要です。
自社の課題にあった配車システムを導入することで、業務の効率化やコスト削減、安全管理の強化を実現し、物流オペレーション全体の最適化につながります。
(2)GPSのタイプ
配車システムにおけるGPS機器の選択は、導入のしやすさと運用効率に大きく影響します。GPS機器は車両の種類や用途に応じて、以下のようなタイプが提供されています。
OBD-Ⅱポート接続型 | 車両のOBD-Ⅱポートに直接接続し、車両データや位置情報を取得 |
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シガーソケット接続型 | シガーソケットに差し込むだけで利用可能 |
ドライブレコーダー一体型 | 走行映像の記録とGPS機能を兼ね備え、安全運転支援にも活用可能 |
専用カーナビ型 | ルート案内機能と連携し、配送ルートの最適化をサポート |
スマートフォンアプリ型 | スマートフォンのGPS機能を利用し、手軽に導入可能。ランニングコストを抑えられる |
GPS機器の選定においては、設置のしやすさとコストのバランスも重要です。専門業者による設置が必要なタイプは、精度が高い反面、初期費用やメンテナンスコストが発生します。
一方で、シガーソケット接続型やスマートフォンアプリ型は、導入が簡単で、低コストで運用可能です。また、GPS機器の購入方法には買い取りやリースなどがあり、企業の運用計画に応じた選択が求められます。
(3)操作性の高さ
どれほど高機能なシステムでも、現場のスタッフが使いこなせなければ、業務効率化やトラブル防止の効果は得られません。
直感的な操作性とわかりやすいインターフェースを備えたシステムを選ぶためにも、以下のポイントを確認しましょう。
- 画面レイアウトが見やすいか
- メニュー構成がわかりやすいか
- 日報作成が簡単にできるか
- 運転データを確認しやすいか
スマートフォンやタブレット対応のシステムを導入する場合は、画面サイズやタッチ操作の精度、レスポンスの速さなども考慮することで、よりスムーズな運用が可能になります。
(4)コスト
費用対効果を最大化するためには、システムの機能と導入コストのバランスを適切に判断することが求められます。配車システムの費用は、一般的に機能が充実するほど高額になる傾向があるため、導入前に以下の点を見極めることが重要です。
- 自社の運用規模に適したプランを選択する
- 長期的なコストを試算する
- 費用対効果を慎重に検討する
長期的な視点で比較検討し、最適なシステムを選択しましょう。
(5)クラウドかオンプレミスか
配車システムの導入形態は、クラウド型とオンプレミス型の2つに分類され、それぞれに特徴があります。
クラウド型 | インターネットを介してシステムを利用する方式 →複数の営業所や配送拠点を持つ企業に適する |
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オンプレミス型 | 自社のサーバーや端末で運用する方式 →独自のカスタマイズや高度なセキュリティを求める企業に適する |
クラウド型は、インターネット経由でリアルタイムに情報共有ができ、スマートフォンやタブレットからもアクセス可能です。初期費用を抑えながら、常に最新のシステムを利用できます。
一方のオンプレミス型は、自社の業務フローにあわせたカスタマイズが可能で、セキュリティ面も強化できます。ネット環境に依存せず、安定した運用ができる点も魅力です。
自社の業務環境や運用方針を考慮し、最適な導入形態を選択しましょう。
4.GPS搭載のおすすめ配車システム
(1)Cariot

Cariotは、高頻度での位置情報更新により、車両の動きをリアルタイムに近い状態で把握できます。
遅延予測時の自動通知システムにより、配送の遅延が予測された場合、事前に設定された関係者へ自動的にメール通知を行います。
また、共有されたURLからは、ログインなしで車両の現在位置や到着予想時刻を簡単に確認できる利便性の高い設計も特徴です。
主要機能 | ・3秒に1回という高頻度で位置情報を取得 ・走行時間をはじめとした運行データを自動で集計 ・危険運転通知機能 |
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所在地 | 〒105-0004 東京都港区新橋5-13-4 YMG新橋ビル6F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(2)TCloud for SCM

TCloud for SCMは、都築電気株式会社が提供するスマートフォンを活用した車両管理システムです。専用機器の設置が不要で、スマートフォンのアプリによって車両の位置情報から運行状況まで、あらゆる情報をリアルタイムで把握できます。
自社車両だけでなく、傭車や臨時便など、一時的な委託車両の管理にも柔軟に対応できるでしょう。
主要機能 | ・到着時刻予測機能 ・庫内温度の管理機能 ・メッセージ機能 |
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所在地 | 〒105-8665 東京都港区新橋6-19-15(東京美術倶楽部ビル) |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(3)LINKEETH

LINKEETHは、AI搭載の通信型ドライブレコーダーと動態管理システムを統合することで、安全運転支援から業務効率化まで、幅広い課題解決を支援しています。
高度な安全運転支援機能では、あおり運転やながら運転、居眠り運転などの危険運転をAIが検知し、事故防止に貢献します。
運転診断結果は管理画面とドライバーアプリの両方から確認できるため、効果的な運転指導が可能です。
主要機能 | ・危険運転を検知できる安全運転支援機能 ・アルコールチェックサービスを搭載 ・車両を特定できる時空間検索機能 |
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所在地 | 〒100-8019 東京都千代田区大手町2-3-1 大手町プレイスウエストタワー |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(4)Loogia

Loogiaは、AI技術とビッグデータ解析を活用した自動配車クラウドシステムです。
配送時間の指定、一方通行やUターン禁止などの道路規制、有料道路の利用判断など、ラストワンマイル配送特有のさまざまな条件を考慮したルート設計が可能です。
作成された配送計画は、ドライバーのスマートフォンにリアルタイムで送信され、専用アプリを通じて効率的な配送業務をサポートします。
主要機能 | ・数十万台の車両から集めた走行データを利用した配送計画 ・さまざまな条件を組み込んだルート設計 ・スマートフォンとの連携機能 |
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所在地 | 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2-11-30 セントラルビル9F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(5)Offseg

Offsegは360度カメラが利用できるため、昼夜を問わず車内外の状況を鮮明に記録できます。
内蔵メモリに自動保存される録画データは、事故やトラブル発生時の重要な証拠として活用できるでしょう。
AIによる運転監視機能により、信号無視や居眠り運転、脇見運転など、事故の主要因となる12種類の危険運転を自動で検知します。
主要機能 | ・360度カメラによる車内外状況の確認機能 ・AIを活用した運転監視機能 ・ヒヤリハット情報やToDoの管理 |
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所在地 | 〒652-8510 神戸市兵庫区御所通1-2-28 |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(6)DRIVE CHART

DRIVE CHARTはAIが常時運転状況を分析し、脇見運転や一時不停止などの危険運転を検知します。
検知された危険運転は、リアルタイムでドライバーに警告を発することで、事故や違反を未然に防止できるでしょう。
また、個人別の運転傾向分析によって、ドライバーごとの運転特性をデータ化し、定期的なレポートとして管理者とドライバー本人に配信できます。
主要機能 | ・AIによる常時運転監視機能 ・運転傾向分析機能 ・走行ルート表示機能 |
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所在地 | 〒106-0041 東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー23F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(7)SmartDrive Fleet

SmartDrive Fleetは、導入の容易さと実用性を両立したGPS搭載の運行管理システムです。
シガーソケットに差し込むだけの簡易デバイスから、高機能なドライブレコーダーまで、さまざまな車載機器に対応しており、既存の他社製デバイスとの互換性も確保されています。
さらに、車両のリアルタイム位置把握や詳細な走行履歴の記録、運転特性の診断、日報・月報の自動生成などの実務に直結する機能を厳選して提供しています。
主要機能 | ・車両の位置情報把握機能 ・日報、月報の自動作成機能 ・ワンタップでの乗務入力機能 |
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所在地 | 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井タワー12F(東京ミッドタウン日比谷) |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(8)KITARO

KITAROは、Googleマップと連携した位置情報管理機能では、車両の現在位置や走行履歴を即座に把握でき、顧客からの到着時間照会への対応や、緊急時の迅速な指示出しを可能にします。
安全運転管理の面では、急発進や急ブレーキなどの危険運転を検知してスコアリングを行い、ドライバーの運転評価や安全指導に活用できるでしょう。
さらに、アクセル操作やアイドリング状況からエコドライブ評価も行えるため、環境に配慮した運転の促進にも貢献します。
主要機能 | ・Googleマップを活用した位置情報管理機能 ・危険運転を検知する安全運転支援機能 ・運転成績のランク付けが可能 |
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所在地 | 〒105-0003東京都港区西新橋2-3-1 マークライト虎ノ門8F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
5.まとめ
ここまで、GPS配車システムの概要や選ぶ際のポイント、おすすめの配車システムについて解説しました。
配車システムを導入する際は、運用コストや操作性、GPSのタイプなど、自社の課題に最適な機能を持つシステムを選定しましょう。