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トラックドライバーの運転時間とは?改善基準告示、2024年問題も

2024年4月から適用された改善基準告示の改正により、トラックドライバーの運転時間に大きな変化が生じました。物流業界全体で労働環境が見直され、ドライバーに求められる運転時間管理がこれまで以上に厳格化されています。

本記事では、改善基準告示の概要をはじめ、トラックドライバーの運転時間の上限などを解説します。

目次

1.トラックドライバーの運転時間と改善基準告示について

改善基準告示とは、厚生労働大臣が定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」のことで、トラック・バス・タクシーなどのドライバーの健康と安全を守るための労働条件に関する基準です。

ここでは、トラックドライバーの運転時間と改善基準告示の関係性改善基準告示改正の背景などを解説します。

(1)トラックドライバーの運転時間と改善基準告示の関係性

改善基準告示は、トラックドライバーを含む運輸業に従事する労働者の労働条件を適切に管理するための基準であり、以下のような取り決めを定めています。

  • 拘束時間の上限
  • 運転時間の上限
  • 休息時間の確保
  • 連続運転時間の制限
  • 休息期間の設定

改善基準告示は平成9年以降、大きな改正はほとんどありませんでした。しかし、運輸業・郵便業の労働者は、脳・心臓疾患による労災認定が多いという深刻な状況を受けて、2024年4月から新しい基準が適用されています。

改善基準告示では運転時間に関する基準も明確に定められており、適切な労務管理を行うためにも正しく認識しておくことが重要です。

(2)改善基準告示改正の背景

改善基準告示が改正された根本的な理由は、トラック運転者の健康問題が深刻化しているためです。特に長時間労働による脳・心臓疾患の発症が問題視されており、働き方改革関連法の一環として見直しが行われました。

厚生労働省の統計(令和5年度)によれば、脳・心臓疾患による労災支給決定件数は「運輸業・郵便業」が75件と突出しており、「卸売業・小売業」(29件)や「宿泊業・飲食サービス業」(25件)を大きく上回っています。

さらに「運輸業・郵便業」の内訳を見ると、「道路貨物運送業」が66件と大部分を占め、トラック運転者の健康リスクが際立って高いことが明らかになっています。

参照:厚生労働省 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

このような状況を受け、トラック運転者の健康確保道路交通の安全維持を目的として、時間外労働の上限規制(年間960時間)2024年4月から導入されました。以下の記事では、トラックドライバーの残業時間について解説しています。

上限規制の導入にあわせて、改善基準告示も25年ぶりに大幅改正され、より実効性のある労働時間管理と休息確保の仕組みが整備されています。

(3)改善基準告示に違反した際の罰則

改善基準告示自体は努力義務であるため、違反したからといって即座に罰金や行政処分が科されるわけではありません。しかし、これを軽視すべきではない点に注意が必要です。

労働基準監督署では、改善基準告示に基づく監督指導が積極的に行われており、2022年度には3,785の事業所が監督対象※ となりました。(※参考:自動車運転者を使用する事業場に対する令和4年の監督指導、送検等の状況を公表します|厚生労働省

違反が確認された場合には、以下のような指導が行われるケースがあります。

労働時間の適正把握に関する指導労働時間の記録方法や管理体制の改善指導など
未払い賃金に対する是正指導未払い賃金が発生している場合には、その支払いを指導される
運行体制やダイヤ改正の見直し指導無理な運行計画が原因で労働時間が過剰となっている場合には、運行体制の見直しが求められることも

改善基準告示には直接的な罰則がないとはいえ、指導が徹底されている実態を踏まえると、違反があれば経営上のリスクが生じかねません。

2.改善基準告示によるトラックドライバーの運転時間等の上限

2024年の改善基準告示の改正により、運転者には以下のような上限が設けられています。

1日の拘束時間上限原則13時間以内
1か月・1年の拘束時間上限1か月・原則284時間以内1年・原則3,300時間以内
1日の休息期間原則継続11時間以内で9時間を下回らない
連続運転時間の上限原則最大4時間

上記について、例外も踏まえて解説します。

(1)1日の拘束時間上限

ドライバーが遵守すべき1日の拘束時間は、13時間以内が原則です。以下の表では例外と特例についてもまとめています。

原則13時間以内
例外宿泊を伴う長距離輸送16時間以内  ※週あたり2回まで
特例隔日勤務21時間以内
フェリー乗船時間24時間 ※2暦日の合計
2人乗務時20時間以内

ここでいう1日とは、仕事を始めた時点から24時間経過するまでの間を指します。

拘束時間には運転・休憩・点呼などの時間が含まれます。拘束時間を延ばす場合は通常15時間まで延長可能です。

特殊なケースとして、1週間すべての運行が450km以上で、なおかつ休息期間中に自宅以外で宿泊した場合に限り、最長16時間の拘束が認められています。

ただし14時間を超えた宿泊を伴う長距離輸送は、1週間につき週2回までとする必要があります。

(2)1か月・1年の拘束時間上限

拘束時間は1か月だと最大284時間、年間では合計3,300時間まで認められています。

1か月原則:284時間以内例外:310時間以内(※年6か月までで、1年間総時間は3,400時間以内)
1年原則:3,300時間以内例外:3,400時間以内

労使協定を締結することで一定の柔軟性が認められており、年間の拘束時間が3,400時間を超えない範囲内で、年6か月までは月間310時間まで拘束時間の延長が可能となります。

ただし、労使協定を締結している場合でも、以下の点に注意が必要です。

  • 月の拘束時間が284時間を超える月が3か月連続しない
  • 1か月の時間外労働および休日労働の合計が100時間未満であること

拘束時間の計算方法は、1か月間の全勤務における出勤してから退勤するまでの時間を足しあわせて算出します。高速時間が1日あたり16時間を超えた場合の対応方法については、以下の記事でご確認ください。

(3)1日の休息期間

休息期間は、勤務が終わった時刻から次の勤務が始まるまでを指します。トラックドライバーの健康を守り、安全運転を確保するために、原則と特例が定められています。

原則継続11時間以内で9時間を下回らない
特例継続8時間以上・長距離貨物運送で宿泊が必要な場合
継続3時間以上(1日あたり)・分割した休息期間

各勤務が終わったあと、11時間以上の休息を続けて取ることが求められており、どのような場合でも9時間未満の休息期間は認められていません。

長距離貨物運送で宿泊が伴うケースでは、週2回に限り、休息期間を8時間まで短縮することができます。ただし、全運行が450km以上であり、自宅以外で宿泊する場合に限ります。

万が一、災害などの不測の事態で休息が9時間に満たなかった場合には、その後の運行終了後に12時間以上の連続休息を確保する必要があります。

(4)連続運転時間の上限

運転者の安全運転を確保するため、連続運転時間の上限は4時間までとされています。

原則最大4時間
特例最大30分まで延長が可能・サービスエリア、パーキングエリア等に駐車又は停車できない場合に適用

連続運転時間が4時間を超えるときには30分以上の休憩が義務付けられており、この規則を430(ヨンサンマル)休憩と呼ぶ場合があります。休憩の取り方には以下の方法があります。

一括で30分休憩を取る方法・30分休憩を1回でとる
分割して休憩を取る方法・1回につき10分以上の休憩を合計30分以上取る※10分未満の短い休憩を繰り返すことは不可

コンビニやサービスエリアの駐車場が満車など、やむを得ない事情がある場合には、連続運転時間を4時間30分まで延長できます。ただし、延長後は必ず30分以上の休憩が必要です。

2024年の改善基準告示の改正では、運転を中断する際は原則として休憩を与えるよう明記されました。

運転中断時に荷物の積み下ろし作業をしているだけでは、運転者の疲労回復につながらないことを踏まえた措置です。連続運転時間と荷下ろしについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

3.トラックドライバーの運転時間に関連する特例

ここではトラックドライバーの運転時間等の上限で解説した特例について、それぞれ詳しく解説します。

(1)休息期間の特例

休息期間の特例では、荷待ちや道路状況の影響で計画通りの運行が難しい場合には、特例として休息を分けて取ることが認められています。

休息を分けて取得する場合には、以下の基準を守る必要があります。

  • 1回あたりの休息時間は最低3時間以上
  • 分割回数ごとの合計休息時間(2回に分ける場合は合計10時間以上、3回に分ける場合は合計12時間以上)
  • 分割休息は1か月の全勤務日数の50%まで
  • 3回に分ける場合は連続適用を避ける

長距離輸送で荷待ちが長引く場合や、渋滞によってスケジュールが乱れた場合など、やむを得ない状況で適用できます。

分割休息を効果的に活用することで、柔軟な運行管理が可能となりますが、特例が乱用されないよう適切な記録管理が重要です。

(2)2人乗務の特例

長距離輸送緊急配送に対応するために、2人乗務(ツーマン運行)が認められています。2人で交代しながら運転することで、運転時間と拘束時間を延長できる特例措置です。

通常の運転業務では1日の拘束時間が13時間以内と定められていますが、2人乗務の場合は20時間まで延長が可能です。さらに休息期間も4時間まで短縮できます。

拘束時間上限休息期間
2人乗務20時間以内4時間以上
特例24時間以内(仮眠時間の時間の適用に該当すれば、28時間まで)8時間以上

また2人乗務の特例を利用するためには、以下の車内設備要件を満たす必要があります。

  • 長さ198cm以上、幅80cm以上の車内就寝設備
  • 走行中の振動や揺れを緩和するための緩衝材を備えた車内就寝設備
専用休息スペースが確保されている・長さ198cm以上、幅80cm以上の車内就寝設備があること
・走行中の振動や揺れを緩和するための緩衝材が備わっているこ
十分な仮眠が取れる8時間以上の仮眠が確保されている場合に限り、拘束時間を28時間まで延長可能

特例を使って勤務時間を延長した場合には、勤務終了後に11時間以上の連続した休息を取る必要があります。

また、設備が要件を満たしていない場合には特例が適用されないため、運行管理者は設備基準の確認を徹底する必要があります。

(3)隔日勤務の特例

隔日勤務とは、1日おきに勤務する方法であり、業務の特性状況により避けられない場合に実施される特例です。長距離輸送や連続勤務が難しい場合に活用されることが多く、適用には一定の条件があります。

拘束時間上限休息期間
隔日勤務21時間以内(仮眠の適用で24時間以内)20時間以上

特例として、夜間に事業所内の仮眠施設で4時間以上の睡眠が確保できる場合には、拘束時間を24時間まで延ばすことが可能です。ただし、以下の条件を必ず満たす必要があります。

  • 夜間に4時間以上の仮眠が確保されること
  • 2週間のうち3回までに制限
  • 2週間の合計拘束時間が126時間以内であること

たとえば月曜と火曜、水曜と木曜、金曜と土曜のように隔日で勤務するシフトを組む場合、水曜・木曜以外は21時間以内の拘束時間で設定します。そのなかで水曜・木曜のみ夜間に4時間の仮眠をとることで、拘束時間を24時間まで延長できます。

(4)フェリーの特例

改善基準告示では、フェリーの乗船時間は原則として休息期間とみなされます。

ただし、特例としてフェリー乗船時間を休息期間から差し引くことが認められる場合もあり、以下の条件を満たす必要があります。

2人乗務を除く場合差し引いたあとの休息期間が、フェリー下船時刻から勤務終了までの時間の半分を下回らないこと
フェリー乗船時間が8時間を超える場合(2人乗務の場合は4時間、隔日勤務の場合は20時間)原則として下船時刻から次の勤務が開始される

以下で区分と適用条件をまとめています。

区分乗船時間乗船時間の扱い補足
通常乗船8時間以内休息時間として認められる
長時間乗船8時間超休息時間にならない下船時刻から次の勤務が開始される
2人乗務特例4時間以内休息時間として認められる横になって休息できるスペースが確保されている
隔日勤務特例20時間以内休息時間として認められる長距離輸送で仮眠が確保できる場合に限る

フェリー乗船が長時間にわたる場合でも、運転者がしっかりと疲労回復を図る環境を整えることが重要です。

特に、運転者が横になれる専用スペースが確保されているかどうかがポイントであり、仮眠や休憩が実質的に取れることが求められます。

(5)予期しない出来事に遭遇した際の特例

運送業務では、予測できないトラブルが発生することがあり、これに対応するために改善基準告示には予期し得ない事象に対する特例が設けられています。

この特例を適用することで、拘束時間や運転時間の計算から一部を除外できるため、現場の柔軟な対応が可能になります。予測できないトラブルの例として、以下が挙げられます。

  • 車両故障
  • フェリー欠航
  • 災害や事故による道路封鎖
  • 異常気象(大雪や台風など)
  • その他、不可抗力で生じた遅延

車両修理や待機時間、迂回路での移動時間など、予測できないトラブルへの対応時間は、連続運転時間1日の拘束時間2日平均の運転時間の時間計算から除外されます。

この特例を適用するためには、運転日報への記録や気象警報、道路情報などの公的機関による客観的記録が必要です。

また、対応時間を含めた結果、拘束時間が上限を超えた場合には、勤務終了後に継続11時間以上の休息期間を確保する必要があります。

4.トラックドライバーの運転時間等削減に向けた取り組み

ここでは、以下のようなトラックドライバーの運転時間等削減を紹介します。

新しい輸送方法の導入共同配送やモーダルシフトなど
荷待ち時間の削減荷積み・荷下ろし時間の指定や荷役作業の効率化、積み下ろし場所の増設など
システムの導入配車計画システムや勤怠管理システムなど

(1)新しい輸送方法の導入

①共同配送

共同配送とは、複数の企業や荷主が連携して荷物をまとめて一括配送する手法です。

異なる荷主の荷物を同一トラックに積み合わせることで積載効率が向上し、結果としてドライバーの総運転時間を削減できます。

車両稼働率の向上によりトラック台数の最適化が図れるため、車両維持費や人件費などのコスト削減効果が期待できるでしょう。

課題としては、複数荷主の荷物を一緒に運ぶため、品目ごとの管理が複雑化し、専用の管理システム導入が必要になることもあります。以下の記事では、共同配送に利用できるシステム等を紹介しています。

また、急な配送内容変更やスケジュール調整が難しくなり、各荷主の要望に対して柔軟に対応しづらくなる制約も生じるでしょう。改善基準告示への対応策として有効ですが、導入には関係者間の調整が必要です。

②モーダルシフト

モーダルシフトとは、トラック中心の貨物輸送を鉄道や船舶などの大量輸送手段に転換する物流戦略です。これにより、ドライバーの運転時間削減だけでなく、環境負荷低減にもつながります。

注意点として、モーダルシフトはトラック単独輸送に比べて輸送時間が長くなる傾向にあり、緊急性の高い貨物には向かないことが挙げられます。

そのため、モーダルシフトは緊急輸送が少ない定期便大量輸送が可能なルートでの活用が適しています。

(2)荷待ち時間の削減

荷待ち時間を短縮するためには、以下の取り組みが有効です。

荷積み・荷下ろし時間の指定・積み下ろし時間を事前に調整・指定し、受け入れ体制を整備
・時間指定契約を導入し、遅延や早着を防止
荷役作業の効率化・自動化設備やパレット化を活用し、積み下ろし作業を迅速化
・作業マニュアルの標準化によって、現場スタッフの熟練度によるばらつきを減らす
積み下ろし場所の増設・倉庫や配送拠点に積み下ろし専用スペースを確保し、トラックの滞留を防止
・予約管理システムを導入し、積み下ろし場所の確保を事前に調整

これらの取り組みによって、無駄な待機時間が削減され、ドライバーの拘束時間短縮につながり、さらに、トラック稼働率が向上し、車両台数や人件費の削減も期待できるでしょう。

以下の記事では、より詳しく荷待ち時間の削減方法を解説しています。

(3)システムの導入

勤怠管理に対応したシステムを導入することで、ドライバーの労働時間をリアルタイムに把握でき、拘束時間の上限超過や休息期間の不足を事前に警告できるようになるため、改善基準告示への対応に非常に有効です。

その結果、法令違反のリスクを大幅に減らせるだけでなく、ドライバーの事故リスク低減にも役立ちます。

以下の記事では、トラック運転手の勤怠管理をシステムで効率化する方法を解説しています。

また配車計画の作成を自動化できるシステムも業務効率化に有効であり、AI技術などを活用した最適ルート設計効率的な車両割り当てができるため、結果として労働時間も削減できるでしょう。

5.まとめ

2024年4月から適用された改善基準告示の改正により、トラック運転者の労働環境は大きく変化しています。拘束時間の短縮や休息期間の拡充は、ドライバーの健康確保安全運行につながる重要な取り組みです。

特例制度を適切に活用しながら、共同配送モーダルシフトといった新しい輸送方法の導入、荷待ち時間の削減、システムを活用することでより効率的な業務推進が重要となります。

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