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物流の運行管理システムは?比較ポイント、無料を含むおすすめ15選

輸送効率化とは?おすすめシステム3選を比較、企業事例、各手法等も

物流業界が直面している2024年問題やドライバー不足、物流コスト上昇などの課題に対応するために、輸送効率化が注目を集めています。

輸送の効率化は、コスト削減だけでなく、環境負荷軽減や労働環境改善にもつながる重要な取り組みです。

本記事では輸送効率化の概要からおすすめのシステム、システムを選ぶ際のポイントまでわかりやすく解説します。なお以下の記事でも輸送に関する効率化などを解説しています。

目次

1.輸送効率化とは?

まずは、輸送効率化の概要について以下のポイントで解説します。

  • 物流における輸送とは
  • 輸送効率化を妨げる主な要因
  • 輸送効率化の方法

それぞれ見ていきましょう。

(1)物流における輸送とは

物流における輸送とは、大量の商品や人を目的地へ移動させるプロセスです。一次輸送とも呼ばれ、長距離移動によって、効率的に物資や人を運ぶ役割を担っています。

具体例としては、製造工場から物流拠点への大規模な商品の移動や、旅客機で人員を移動させることなどが該当します。輸送手段は主に以下の4種類です。

  • トラック輸送
  • 鉄道輸送
  • 海上輸送
  • 航空輸送

また、トラックや鉄道の場合は陸送、船の場合は船送、飛行機の場合は空送といった表現も用いられます。

輸送手段は、距離や貨物量、納期などの条件に応じて最適なものが選択されます。

(2)輸送効率化を妨げる主な要因

輸送の効率化を妨げる主な要因として、複雑な制約条件予測困難な荷待ち時間があげられます。

たとえば、積載効率を高めたくても、厳しい時間指定があれば複数台のトラックに分散せざるを得ないため、結果的に積載率が低下することもあるでしょう。
複雑な要件を満たしながら効率性を追求するには、納品頻度やリードタイム、受け渡し方法などの細かい調整が不可欠です。

また、荷積み・荷降ろし場所での順番待ちも大きな課題とされています。
荷待ち時間は数時間に及ぶこともあるだけでなく、荷物の準備状況や荷役作業の進行状況によって所要時間は前後します。

そのため、運行計画に余裕を持たせる必要があり、結果的に車両や人員の非効率な稼働につながるのです。

(3)輸送効率化の方法

輸送を効率化する方法として、システムの活用・共同配送・アウトソーシングの活用などが挙げられます。以下でそれぞれを解説します。

①システムの活用

最新のAIテクノロジーが搭載された配送システムを導入することで、複雑な配送条件を考慮した最適ルートの自動生成が可能になります。
ベテラン社員の経験や勘に依存していた配送計画が標準化され、誰でも高品質な配送計画を作成できるでしょう。

また、トラック予約受付システムの導入も効果的な対策の1つです。
このシステムにより、ドライバーは荷積み・荷降ろし場所の空き状況を事前に確認できるため、最適な時間枠を予約できます。

②共同配送

共同配送とは、複数企業の商品を1つの物流拠点に集約したあと、共通のトラックで配送する仕組みです。

従来の個別配送と異なり、トラックの積載率を大幅に向上させられ、往路だけでなく復路においても高い積載率を維持できる点がメリットです。政府も物流の改善策として共同配送を推進しており、業界の枠を超えた協力体制の構築を後押ししています。

共同配送は物流業界の効率化モデルとして定着しつつあり、コンビニエンスストアや食品メーカーをはじめとするさまざまな業種で導入されています。

③アウトソーシングの活用

輸送効率化を実現する選択肢として、アウトソーシングの活用があげられます。
手間のかかる輸送業務を物流のプロフェッショナルに委託することで、さまざまなメリットが得られます。

まず、輸送業務に割いていたリソースを本業に当てられるため、企業の競争力強化につながるでしょう。

さらに、季節性の高い商品や販促キャンペーンによる急激な出荷の増加など、物流量の波がある業種でも常に最適な人員配置を維持できるでしょう。

自社の物流課題に応じたアウトソーシングパートナーを選定することで、輸送の効率化を進められます。

2.輸送効率化が重要とされる背景

輸送効率化はなぜ重要とされているのでしょうか?

ここでは、輸送効率化が求められている背景について解説します。

  • EC市場の拡大
  • 環境負荷の軽減
  • 2024年問題

それぞれ見ていきましょう。

(1)EC市場の拡大

①積載率の低下

EC市場の急成長によって、個人消費者への小口配送が増加したことで、物流業界は積載率低下という課題に直面しています。

一般家庭への配達は多数の配送先に少量ずつ届ける必要があり、迅速な配達要求と相まって、トラック内のスペースを十分に活用できない状況が生じているのです。

以下の国土交通省の統計によれば、2010年以降、貨物自動車の積載率は40%を下回る水準で推移しており、輸送効率の観点から見ると非効率な状態が続いています。

引用:国土交通省 検討の背景② 物流を取り巻く現状と課題

積載率の低さは車両台数や走行距離の増加につながり、燃料費や人件費など、物流コスト上昇の要因となっています。

積載率の問題を解決するには、物流システム全体の再設計が重要視されています。

②再配達の増加

EC市場の拡大によって個人宅への配送数は年々増加していますが、受取人不在による再配達も比例して増えています。

国土交通省によれば、令和6年10月時点での宅配便再配達率は約10.2%に達しています。
再配達は非効率なだけでなく、すでに深刻化しているドライバー不足を一層悪化させる要因です。

同じ荷物を同じ場所に複数回運ぶ作業は、限られた人的資源の無駄遣いであり、ドライバーの労働時間増加にもつながるでしょう。再配達の課題を解決するために、物流業界では受け取り方法の多様化が進められています。

置き配サービスや共同宅配ボックス、コンビニ受け取りなど、消費者の生活スタイルにあわせた受け取り方法によって、再配達削減と配送効率向上への取り組みが広がっています。

(2)環境負荷の軽減

輸送効率を向上させることは、単なる経済的なメリットだけでなく、環境保全にも大きく貢献します。

国土交通省によれば、運輸部門からのCO2排出量は日本全体の18.5%を占め、貨物自動車による排出量は運輸部門の38%を占めています。

配送システムの導入によって車両台数を減らし、走行距離を最適化できれば、燃料消費量の削減とともに温室効果ガスの排出量も大幅に抑制できるでしょう。

企業の環境・社会・ガバナンスへの取り組みが評価される現代において、輸送効率化は環境対応と事業効率改善を同時に実現できる重要な戦略です。

(3)2024年問題

①ドライバー不足の深刻化

物流業界が直面している課題の1つとして、トラックドライバー不足があげられます。

ドライバー不足は年々深刻さを増しており、改善されなければ物流ネットワーク全体の機能不全を招きかねない状況にまで発展しています。このような危機的状況を打開する鍵となるのが輸送の効率化です。

システムを導入することで、より効率的な輸送計画が作成できれば、必要なドライバー数や車両台数を削減しながらも同じ業務量をこなすことが可能になります。

2024年問題により、人材不足は今後さらに加速すると予測されています。1人あたりの労働時間が制限される中で現状の輸送量を維持するには、より効率的な配送体制の構築が不可欠です。

②物流コストの増加

物流業界において、物流コストの増加も課題とされています。
2024年問題によりドライバーの労働時間が制限され、1人当たりの輸送能力が低下すると、物流供給量の減少によりさらなるコスト上昇が見込まれます。

このような状況下では、システムを活用して効率的なルートを運行することで、車両費や燃料費、人件費などの輸送コストを大幅に削減できるでしょう。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会によれば、2023年度の荷主企業における売上高に対する物流コスト比率は5%とされています。

2021年の5.7%から年々減少傾向にあり、徐々に成果として表れている状況です。今後は効率性を重視した物流システムの構築がさらに重要性を増していくでしょう。

3.輸送効率化におすすめのシステム

(1)物流基幹システムAIR

引用:五十鈴株式会社

物流基幹システムAIRは、物流業務全般をワンストップで管理できるクラウド型総合システムです。

受注管理から配車計画、運転日報、請求・仕入れまで一連の物流業務を一元化することで、業務効率が大幅に向上し、AI技術を活用した自動配車機能では、最適な配送ルートを自動計算することで、高精度な輸送計画を自動作成できます。

また、スマートフォンアプリとの連携により、運行情報がシステムに自動連携されるため、日報作成および管理の手間が大幅に削減されるでしょう。

対応業務・最適な経路を計算する自動配車機能搭載
・運転手の労務管理や運転日報登録を効率化
・デポ経由の配送や傭車利用に対応
・クラウドシステムのため自社サーバーは不要でブラウザから操作可能
所在地東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル
価格・料金プランこちらからお問い合わせできます

(2)Loogia

引用:株式会社オプティマインド

Loogia(ルージア)は1,000万回を超える走行実績データを学習したAIエンジンが搭載されており、複雑な配送計画を自動で最適化できるクラウドシステムとして注目されています。

本システムの強みは、40項目以上の制約条件を任意で選択できる点です。

配送先の時間指定・車両の積載量・Uターン・右折の制限など、実務で直面するさまざまな条件を加味した実践的な配送ルートを生成します。

長年ベテラン担当者の暗黙知とされてきた配車業務が標準化されることで、業務の属人化を解消してくれるでしょう。

対応業務・配車条件の詳細設定
・注文情報のデータ入力
・VICS統計情報を用いた高精度な配車計画の策定
所在地東京都目黒区下目黒1-7-1 パスコ目黒さくらビル
価格・料金プラン・パブリッククラウド版初期設定費用:30万円月額費用:4万8千円/1ライセンス
・スタンドアロン版アプリケーション利用料:300万円月額費用:4万円/1ライセンス
・イントラ初期費用:500万円月額費用:5万円/1ライセンス

(3)ODIN リアルタイム配送システム

引用:株式会社オンラインコンサルタント

ODIN リアルタイム配送システムは高度な処理性能を特徴としており、100か所の配送先を含む複雑なルート計画をわずか89秒で自動生成できます。

また、スマートフォンアプリとの連携による情報共有機能も充実しており、配送状況の進捗管理や配送先ごとの注意事項など、リアルタイムで共有可能です。

さらに、急に配送先が追加された際にも、地図情報付きメッセージ送信機能によって迅速に対応できます。

車両5〜500台規模の中小物流事業者を中心に普及しており、フードデリバリー、卸売業、建設業などさまざまな業界での導入実績があります。

特徴・豊富な導入実績を誇る・日報作成などの業務効率化を支援する機能を搭載・GPS機能のON・OFF設定機能
所在地〒220-0004神奈川県横浜市西区北幸2-10-39 日総第5ビル9F
価格・料金プラン月額税込1,500円 / 1ドライバー

4.輸送効率化におけるシステムの選定ポイント

ここからは、システムを選ぶ際のポイントを3つ解説します。

  • 他システム・ツールとの連携ができるか
  • 経営分析に役立てられる機能
  • 同業種での導入実績

順に見ていきましょう。

(1)他システム・ツールとの連携ができるか

輸送効率化システムを選ぶ際のポイントとして、他のシステムやツールとの連携性があげられます。

物流業務から生成されるデータは、会計処理や人事管理など他部門の業務にも活用されるため、システム間のスムーズなデータ連携が業務効率化の鍵となるでしょう。

たとえば、配送実績から自動生成された売上データや請求情報を会計ソフトに直接連携させることで、二重で入力する手間が省けるため、経理業務の大幅な効率化が図れます。

また、ドライバーの運行実績や労働時間データを給与システムに自動連携させることで、時間外手当や走行距離に応じた各種手当を正確に反映した給与計算が可能になるでしょう。

システム導入前には、既存の業務システムとの互換性や連携方法について確認しておくことが重要です。

(2)経営分析に役立てられる機能

輸送効率化システムの選定において、経営判断に活用できる分析機能の有無は重要なポイントです。

現代の物流システムは、配送実績や稼働状況といった基本データに加え、配送コスト分析・配送遅延率・顧客満足度など、さまざまなデータを可視化できます。

一部のシステムでは、運転行動パターンの分析や急加速・急ブレーキなどの安全運転指標、整備履歴の追跡まで確認可能です。

システムを選ぶ際は、自社の経営課題にあわせた分析指標が提供されているか確認することが重要です。

たとえば、コスト削減を重視する企業なら燃料効率や車両稼働率の分析機能、顧客満足度向上を目指す企業なら配送時間の正確性や遅延率の分析機能があると便利でしょう。

(3)同業種での導入実績

同じ業種での導入実績もシステムを選ぶ際の重要なポイントです。

単に配車システムを提供しているだけでなく、物流業務全般の課題解決に取り組んできた実績がある企業を選ぶことで、現場の実情にあった実用的なシステムが期待できます。

たとえば、物流業務改善のコンサルティングも手がけている企業であれば、システム導入前後のサポートも含めた総合的な支援が受けられる場合もあるでしょう。

また、最新技術への対応状況も重要な判断材料といえます。

とくに、IoT技術を活用した車両・貨物の追跡システムやビッグデータ分析の実績は、リアルタイムな情報把握と効率的な運用を実現するうえで不可欠です。

同業他社での導入事例や具体的な成果指標を確認することで、自社での導入効果も予測しやすくなります。

5.輸送効率化にシステムを活用するメリット

輸送効率化のためにシステムを活用することで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか?

ここでは具体的なメリットを3つ紹介します。

  • 業務の属人化を解消する
  • 配送計画の作成を効率化できる
  • ヒューマンエラーを防げる

順に見ていきましょう。

(1)業務の属人化を解消する

システムの導入によるメリットの1つは業務属人化からの脱却です。

今までの物流現場では、とくに配送計画の作成において、ベテラン社員の経験や勘に大きく依存する傾向がありました。

ベテランは土地勘や交通事情を総合的に判断して効率的なルートを組み立てられますが、このようなノウハウは簡単に共有できるものではありません。

システムの導入により、今まで個人の暗黙知だった配送ノウハウがデータとしてシステムに蓄積・活用されることで、経験の浅いスタッフでも質の高い配送計画を作成できます。

結果として、人材の流動性にも柔軟に対応できる強力な業務体制を作り上げることが可能です。

(2)配送計画の作成を効率化できる

システムの活用によって、複雑で時間を要する配送計画の作成業務を大幅に効率化します。

今までの方法では配送先の位置や時間指定、車両の積載能力、ドライバーの勤務時間など、さまざまな条件を考慮しながら人の手で最適なルートを導き出す必要がありました。

システムを導入することで、複雑な条件が考慮されたルートを自動で作成してくれるため、最適な配送計画を短時間で作成できます。

さらに、システムによっては複数の配送パターンを提案することで、異なる条件での結果を比較検討できるものも存在します。

その結果、輸送コストの削減だけでなく、法定休憩時間の確保やドライバーの負担軽減といった働き方改革にも貢献してくれるでしょう。

(3)ヒューマンエラーを防げる

輸送効率化にシステムを活用することで、ヒューマンエラーを大幅に削減できます。

たとえば、バーコードやQRコードによる管理を導入すれば、スマートフォンなどの機械でコードをスキャンすることで、誤った荷物の積載や配送先の取り違えといったミスを防止できます。

誤配送などの物流ミスは、再配送コストだけでなく、顧客対応や謝罪などの二次的な業務負担も発生させるため、このようなエラー防止対策は重要な取り組みです。

さらに、高品質な物流サービスの提供は顧客満足度の向上につながり、継続的な取引関係の構築や企業ブランドの強化にもつながるでしょう。

6.まとめ

ここまで、輸送効率化の概要やおすすめのシステム、システムを選ぶ際のポイントについて解説しました。

2024年問題により、物流業界は輸送効率化という大きな課題に直面しています。

トラックドライバーの労働時間制限は、運送事業者だけでなく荷主企業や一般消費者にも影響を及ぼす恐れがあります。

この課題に対応するためには、業務プロセスの見直しやITシステムの導入が不可欠です。

本記事で紹介したシステムの選び方を参考に、自社にあったシステムを導入することで、輸送効率化による持続可能な企業体制を構築していきましょう。

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