\当サイトおすすめNo.1運行管理システム/


適切な積み付けは荷崩れ防止だけでなく、限られたスペースを最大限活用することで輸送コストの削減にもつながります。
近年ではAIや専用システムの活用により、より高精度な積み付け計画が短時間で立てられるようになっています。
本記事では、積み付けの概要や最適化に活用できるおすすめシステムも紹介します。
荷物を限られたスペースにいかに無駄なく、安全に積み込むかは、運搬効率や商品の品質保持、作業者の安全性にも大きく影響を与えます。
しかし一方で、積み付けと積み込みの違いがあいまいになっている現場も多く、目的や重要性について正確に理解できていないケースも見受けられます。
ここでは、積み付けの基本的な定義を確認したうえで、積み込み作業との違い、役割や重要性について解説します。
積み付けとは、トラックの荷台やコンテナ内といった限られたスペースに、多種多様な形状・サイズの貨物を効率的かつ安全に配置する作業を指します。適切な積み付けを行うことで、一度の輸送量を最大化できるほか、輸送コスト削減にも大きく寄与します。
積み付けにおいて特に重要なのは、重量バランスの管理です。
重さが偏った積み付けは車両の安定性を損ない、走行中のふらつきや横転リスクを高める恐れがあります。
特に重心位置が高くなりがちな積み付けでは、カーブや急ブレーキ時の横転リスクが増大するため、重量物は可能な限り低い位置に配置することが重要です。また、積み上げ高さについても注意が必要です。
また過度な積み重ねは下段の商品に過大な荷重がかかり、包装の変形や商品の品質劣化を招く恐れがあります。このため、各商品の耐荷重特性を考慮した段積み制限を設定することも、適切な積み付けには欠かせません。
さらに、積み付けた貨物は、以下のような器具を使って確実に固定することが不可欠です。
これにより、走行中の振動や急ブレーキによる荷崩れを防ぎ、貨物の損傷リスクや交通事故リスクを大幅に低減できます。
積み付けは、物流効率と輸送時の安全性を両立させる重要な要素であり、すべての物流現場で高い精度が求められています。
物流業界では「積み付け」と「積み込み」という似た用語が使われますが、その意味と目的には明確な違いがあります。
これらの用語の混同は現場での作業指示の混乱を招くため、正確な理解が重要です。
両者の違いを整理すると、以下のようになります。
意味 | 目的 | |
---|---|---|
積み付け | 荷物の配置方法や積み方の工夫 | 安全性・効率性の最大化 |
積み込み | 荷物をトラック・コンテナに搬入する作業 | 実作業の遂行 |
積み付けは、荷物をどのように配置するかを工夫する作業を指し、荷物の配置順序、向き、重量バランス、固定方法など、安全性と効率性を両立させるための計画・設計が求められます。
一方で積み込みは、荷物を実際にトラックやコンテナに搬入する作業そのものを意味します。
つまり、積み込みは何をするか(搬入作業:実行業務)を指し、積み付けはどのようにするか(配置の工夫)を表す言葉です。
両者が連携することで効率的な物流オペレーションが実現されます。
積み込み作業では、事前に計画された積み付け指示に従って、作業者が物理的に荷物を配置していきます。
以下の動画ではトラックの積み込み風景をご確認いただけます。
積み付けは、限られた輸送スペースを最大限に活用し、輸送効率と安全性を両立するために重要な作業です。
適切な積み付けを行うことで、一度に運べる貨物量が増え、配送回数を減らしてコストを削減できます。積み付けによる主な効果は次のとおりです。
積み付けは安全性の確保においても、極めて重要な役割を果たします。荷物の固定が不十分だと、走行中の振動や急ブレーキで荷崩れや車両の横転事故を招くリスクが高まります。
特に重量物を扱う場合は、重心バランスの崩れが重大な事故につながるため、慎重な積み付けが求められます。
2024年問題によりドライバーの労働時間が制限される背景も相まって、積み付けの最適化は、持続可能な物流体制を支えるポイントとなっています。
積み付けは、現場での臨機応変な対応に頼るのではなく、事前に計画を立てることが極めて重要です。ここでは、積み付け計画を立てる意義や、その具体的な効果についても解説します。
積み付け計画では、荷物の重さ、形状、強度、配送順序といったさまざまな要素を総合的に考慮し、最適な積み付け方法を導き出す必要があります。
理想的な積み付け計画を作成するには、専門的な知識と豊富な現場経験が求められます。
そのため、多くの物流現場では、積み付け計画の作成が担当者の経験や勘に依存しているのが実情です。この属人化の課題を解決するため、近年では次のような取り組みが進められています。
国土交通省では「総合物流施策大綱」において、物流産業のビジネスモデルを革新させる「物流DX」を推進し、属人化解消のためのシステム化・標準化を政策として掲げています。
また、経済産業省も「物流効率化に向けた実証事業」を通じて、積み付け計画を含む物流業務のデジタル化を官民一体で促進しています。
こうしたデジタル化の動きにより、誰でも一定水準の積み付け計画が立案できる環境整備が進められています。
特に中小物流事業者向けにも、国土交通省が「物流業務のデジタル化の手引き」を提供するなど、システムベースの計画立案への転換支援が進められています。
戦略的な積み付けによって積載率を向上させることで、物流現場には次のようなメリットがもたらされます。
国土交通省では、物流効率化法において「全体の車両で積載効率44%に増加(5割の車両で積載効率50%を実現)」という目標を設定し、積載効率向上による物流生産性向上を政策として推進しています。同省は「積載効率の向上や事業者間連携の円滑化等を図り、物流の生産性向上を推進する」ことを明確に掲げています。
このように、積み付けの最適化は作業効率化にとどまらず、収益性向上と環境負荷軽減を同時に実現する物流戦略の要となる取り組みです。
輸送中に発生する荷崩れの主な原因は、不適切な積み付けにあります。
走行中のトラックは、路面の凹凸、カーブ、急ブレーキなど、さまざまな方向から継続的に力を受けています。こうした環境下では、積み付けが不十分な場合、荷崩れが発生するリスクが高まります。
安全な輸送を実現するために、次のポイントを適切に管理することが求められます。
とくにコンテナ輸送においては、コンテナ内部での荷物配置と、コンテナ自体の車両への固定という二重の安全確保が求められるため、より慎重な積み付け計画が不可欠です。
適切な積み付け方法を選択することは、輸送効率の向上や貨物の安全確保に直結する重要なポイントです。
ここでは、代表的な積み付けの種類と、それぞれの特徴について解説します。
ブロック積みは、すべての段において荷物を同じ方向に並べて積み上げる方法で、平積みとも呼ばれています。
単純な配置パターンであるため、作業効率が非常に高く、経験の浅い作業者でも短時間で多くの荷物を積むことが可能です。
また、荷下ろし時も縦にまとめて取り出すことができ、倉庫作業全体の生産性向上にも寄与します。段ボールの場合は、角部分に重量が集中するため構造的に強いという利点もあります。
ただし、ブロック積みは前後左右への振動や急ブレーキに対して構造的に弱く、荷崩れが発生しやすいという弱点も抱えています。
このような性質も踏まえて、ブロック積みは次のような条件に適しています。
重量物や長距離輸送の場合には、より安定性の高い積み方(交互積み、レンガ積みなど)を検討する必要があります。
ピンホール積みは、長方形の荷物を風車のように積み上げる方法で、風車積みやピンホイール積みとも呼ばれます。
ピンホール積みのメリットは、輸送中に発生する横方向の揺れや振動に対して非常に高い耐性を持つ点です。荷物同士が互い違いに支え合う構造となるため、ブロック積みと比べて荷崩れリスクが大幅に軽減されます。
ただし、中央部に空洞(デッドスペース)ができるため、積載効率がやや低下するという欠点があります。
ピンホール積みは特に次のような貨物に適しています。
ピンホイール積みは空洞部分で通気性を確保できるため、温度管理が必要な冷蔵品や低温保存が必要な商品の輸送・保管に適しています。
※空洞部分で通気性を確保できるため。(輸送時の温度ムラを防ぐ効果があります。)
レンガ積みとは、各段の配置パターンを維持しつつ、段ごとに荷物の方向を180度反転させて積み上げる方法です。
荷物同士が互い違いにかみ合う構造をつくることで、輸送中の振動や衝撃に対する耐性を大幅に向上させる効果があります。さらに、レンガ積みでは荷物の側面が外側に露出するため、バーコードやラベルといった商品識別情報が視認しやすくなり、検品作業の効率化にも寄与します。特に紙袋などズレやすい貨物に対して高い安定性を発揮します。
ただし、レンガ積みは荷物の向きに左右されるため、正方形のパレットでは実施しにくいという課題があります。
このため、レンガ積みは主に長方形パレットやカゴ車を使用する輸送・保管場面に適しています。
なお、レンガ積みはブロック積みと比べて多少の習熟が必要な積み方のため、作業者への適切な教育と訓練が重要になります。
スプリット積みとは、レンガ積みの応用形として開発された積み付け方法で、多様な形状やサイズの荷物を積載する際に用いられる積み付け方法です。
荷物を横向きに配置しながら、荷物同士の間に一定の隙間を設け、段ごとに180度方向を反転させて積み上げることで、全体の安定性を確保します。
この構造により、不揃いな荷物同士でも互いに支え合う力を生み出すことが可能となり、振動や衝撃への耐性が高まります。
注意点として、スプリット積みではパレットの外側に隙間を作ると、支えがなくなり荷崩れするリスクが高まることが挙げられます。
そのため、隙間は必ずパレットの内側に設定して、荷物全体がパレット面積内に収まるよう配慮する必要があります。標準的なパレットサイズに収まりきらない荷物がある際に効果的な積み方です。
積み方や荷物の固定方法が適切でないと、走行中の振動や衝撃によって荷物が崩れ、貨物の破損だけでなく重大な事故を引き起こすリスクも高まります。
ここでは、荷崩れを防ぐために押さえておくべき具体的なポイントについて、解説します。
異なる重さの荷物を積む際は、重い荷物を下に配置し、その上に軽量の荷物を積むことが基本です。
また、重い荷物をパレットの中心部に集中させれば、重心が中央に保たれるため、輸送中の安定性を高められるでしょう。
陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の荷役作業安全ガイドラインでは、「最大積載重量を遵守するとともに、偏加重が生じないようにすること」が義務付けられており、重量配分の適正化は法的要件となっています。
ストレッチフィルム(ラップ)は高い伸縮性と適度な粘着力を持つ包装資材で、パレットに積まれた荷物全体を包み込むように巻きつけることで、荷物同士を一体化させる効果があります。
ストレッチフィルム(ラップ)による固定では、適切な張力調整が重要です。
張力不足では荷崩れ防止効果が得られず、過度な張力は段ボールケースの変形や商品への圧迫ダメージを引き起こします。 現場では商品特性に応じた最適な張力判断が求められますが、経験豊富な作業者でも商品ごとの調整に時間を要するのが実情です。
結束バンドは、強度に優れた固定方法であり、重量物や固定力が特に求められるケースに適しています。
固定資材の活用は、単に荷崩れを防止するだけでなく、次のような効果ももたらします。
固定資材の使用は単に荷崩れを防ぐだけでなく、商品の破損防止や作業者の安全確保、効率的な荷役作業の実現といった複数のメリットをもたらします。
オーバーハングとは、積載した荷物がパレットの縁からはみ出している状態(特に荷物の角の部分がはみ出すこと)で、最も強度のある角がパレットで支えられなくなります。一見小さな問題のように思えますが、物流プロセス全体でさまざまなリスクを生み出します。
たとえば、物流倉庫内での荷役作業時にオーバーハングしている荷物は、倉庫内で他のパレットや設備と接触しやすく、商品破損のリスクが高まります。
また、積み重ねた荷物の重量で下の荷物がつぶれ、そこからバランスが崩れて荷崩れ全体につながる危険性もあります。
トラック輸送において、オーバーハングした荷物はほかの荷物と干渉しやすく、たとえ緩衝材を設置していても、走行中の振動や急ブレーキによって荷物が損傷することもあります。
さらに、フォークリフトでの荷役作業時には他のパレットや設備との接触リスクが高まり、作業員の怪我や設備損傷といった重大事故につながる可能性もあります。
荷物の形状や大きさ、重さを考慮した適切な積載計画により、オーバーハングは防止できます。
NECソリューションイノベータが提供するULTRAFIX/積付計画は、貨物の寸法・重量・体積などの基本データを入力するだけで、重心や重量のバランスを考慮した最適な積み付けパターンを瞬時に自動計算できます。
システムの特徴として、車両の最大積載重量や容積制限、荷役作業の効率性を総合的に判断し、積載率向上とコスト削減を実現します。
また、3D表示機能により視覚的に積み付け状態を確認することも可能です。
作成された積み付け計画は現場作業者向けの指示書として出力可能で、ベテランでなくても最適な積み付けを行えるでしょう。
主な特徴 | ・3D表示機能・現場作業者向けの指示書として出力可能 ・最適な積み付けパターンを瞬時に自動計算 |
---|---|
所在地 | 東京都江東区新木場一丁目18番7号 |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせ |
バンニングマスターは、自動車メーカー・食品・建材・官公庁まで幅広い分野で採用されており、高い汎用性を備えます。
複雑な形状の製品でも重量バランスや作業効率などの条件を組み込んだ計算により、最適な積み付けパターンを導き出します。
また、ハンディターミナルとの連携機能により、担当者は積載内容をチェックしながら作業を進められるため、作業ミスを防止できるでしょう。
主な特徴 | ・重量バランスや作業効率などの条件を組み込んだ計算・3Dシミュレーションで可視化・ハンディターミナルとの連携機能 |
---|---|
所在地 | 東京都港区三田4丁目8番41号 NTGビル |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせ |
PackingSimは、コンテナやパレットの種類、数をすばやく自動計算してくれるため、誰でも効率的に積載プランを作成できます。
また、高いカスタマイズ性も特徴で、長尺物のオーバーハング積みなど、業界特有の制約条件にも柔軟に対応可能です。
すでに複数の企業で積み付けの効率化に成功しており、信頼度も高いシステムといえるでしょう。
主な特徴 | ・柔軟性の高い積み付けアルゴリズム・業界特有の制約条件にも柔軟に対応可能・複数の企業で導入実績がある |
---|---|
所在地 | 東京都中野区本町4丁目38番13号 日本ホルスタイン会館内 |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせ |
物流現場では、積み付けの最適化システムを導入することで、業務効率や積載率の改善に成功している企業が増えています。
トヨタ輸送株式会社では、AIを活用した自動積付けシステムを導入し、積載率を約15%向上。あわせて作業時間を20%以上削減することに成功しています。(※国土交通省「物流DX導入事例集」より)
このように、AIによる積み付け最適化は、積載効率の改善だけでなく、人手不足対策やコスト削減にも直結する実用的な取り組みとして注目されています。
積み付けには、ブロック積み・ピンホール積み・レンガ積み・スプリット積みといったさまざまな種類があり、荷物の特性にあわせて適切な方法を選択することが重要です。
適切な積み付けを行うことで、積載効率の向上や荷崩れ防止、輸送コストの削減などのメリットが得られます。
積み付けを最適化することで業務効率を向上させて、競争優位性の高い企業を目指しましょう。
10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。