\当サイトおすすめNo.1運行管理システム/


物流業界では従来の効率化を超えた「物流高度化」が求められています。国土交通省も、DX・自動化・共同配送などを含む高度化施策を推進し、業務の省力化と環境負荷低減を同時に実現する動きが加速しています。
本記事では、倉庫業務の自動化や配送ルート最適化、AI・ロボティクス活用、ブロックチェーンによるトレーサビリティ強化など、国内外の最新成功事例10選を紹介します。さらに、課題別の解決策や導入を成功させるためのポイントも解説します。
物流は単なるモノの移動手段から、企業の競争力強化や持続可能な社会の実現に不可欠な戦略的基盤へとその役割は拡大しています。ここでは、物流高度化が求められる背景について具体的な根拠を示しながら解説します。
日本のBtoC-EC市場は堅調な成長を続けており、物販系分野では2014年の6兆8,043億円から2023年には14兆6,760億円へと倍増しました。特に直近5年間では、EC化率も4.37%から9.38%へと大きく伸び、消費者の購買行動がオンラインへシフトしていることが明らかです。
こうした市場全体の拡大と多様化は、物流業務に対し「より早く、より柔軟に、より高品質に」商品やサービスを届ける体制の構築を求めています。
結果として、倉庫の自動化や配送ルート最適化、ラストワンマイルの強化など、物流高度化への投資と取り組みが一層加速しています。さらに、配送リードタイム短縮や返品対応の効率化など、従来はコスト増と捉えられていた領域においても、先端技術を活用した改善が進みつつあります。
道路貨物運送業では、長期的な人手不足と労働力の高齢化が深刻化しています。
1985年に72.6万人だったトラックドライバーは、1995年に98.0万人とピークを迎えた後、減少傾向に転じ、2020年には77.9万人まで縮小しました。
さらに年齢構成をみると、30代以下の若年層は少なく、50代以上の割合が全産業平均よりも高い状況です。平均年齢も近年上昇傾向にあり、若い担い手の不足と高齢化の進行が同時に進む二重の課題に直面しています。
こうした状況は、従来の労働集約型モデルに依存する限り、物流サービスの質と持続性を脅かす要因となります。
そのため、業務の自動化やデジタル技術の導入による省力化、運行計画の最適化による労働時間削減、作業効率向上による生産性改善など、物流高度化によって限られた人員で最大限の成果を上げる体制づくりが求められています。
国土交通省が進める「物流革新に向けた政策パッケージ」においても、人手不足の克服は最優先課題と位置づけられており、業界横断的な協力や新技術の社会実装が急がれています。
米国のPlus.aiはレベル4相当の自動運転技術を搭載した大型トラックを開発し、2019年12月に米国初となる大陸横断の商用輸送を成功させました。
輸送したのは農業共同組合Land O’Lakesの生鮮貨物で、冷蔵トレーラに満載された状態で西海岸カリフォルニア州Tulareから東海岸ペンシルバニア州Quakertownまで約4,500kmを走破しており、所要日数はわずか3日間でした。
2025年6月には、SPAC社との合併契約を発表し、上場および最大3億ドルの資金調達を見込んでいます。これにより、2027年までにSuperDrive搭載トラックの商用展開を目指しています。
スイスの自動輸送カートシステムでは、第一段階としてチューリッヒ〜ヘルキンゲン間の約70km区間を2031年までに完成・運用開始する計画で、最終的には2045年までに全線開通を目指します。総工費は約5.7兆円と見込まれ、貨物を道路交通から地下専用ルートへ移行させることで、地上の交通渋滞や環境負荷の軽減、輸送の定時性向上を狙います。
自動輸送カートは完全無人で運行し、一定速度で貨物を都市間輸送するため、トラックドライバー不足やCO₂削減といった現代の物流課題への解決策となる可能性があります。この取り組みは、従来の道路や鉄道に依存しない「第三の物流ルート」として、将来の都市間輸送のモデルケースになると注目されています。
現在では「計画に遅れが出ている」との報道もありますが、2026年の第1期工事開始に向けて着工しています。
自律型荷下ろしロボットは、不規則に積まれた複数種類のケースを自動で荷下ろしでき、商品情報の事前登録や動作ティーチングも不要です。
混載パレットでも1時間あたり平均400〜450ケースを安定処理し、高精度な段ボール検出と世界最速レベルの処理能力により作業負荷を大幅に軽減でき、省力化と生産性向上を同時に実現した好例です。さらに、既存の倉庫管理システム(WMS)やマテハン機器との連携も容易で、人手不足への即効的な解決策として国内外で実装が進んでいます。
北海道石狩市石狩湾新港地域では、無人自動配送ロボットを複数の事業者でシェアし、地域内配送を効率化する実証実験が行われました。大型で高速走行可能な車両に20個のロッカーを搭載し、小売店の商品(BtoC)から企業間貨物(BtoB)まで幅広く配送しています。
ロッカー単位で荷物を管理することで、複数の配送先や集荷先を一度の運行でカバーでき、従来の人手依存型ラストワンマイル配送の効率化とコスト削減を実現しました。
さらに、事業者間の共同利用というスキームにより、ラストワンマイルにおける「空車率の低減」や「配送頻度の最適化」にもつながり、単なる実証を超えて地域物流モデルとしての拡張可能性が示されています。
在庫保管センター間で使用するパレットは種類や管理システムが異なり、効率化や管理負荷の軽減が課題となっていました。この課題を解消するため、複数拠点・複数種類のパレットを一元的に管理できるクラウド型物流容器在庫管理システムを導入しました。
WEB上で出荷・入荷情報を照合し、パレットの流れをリアルタイムで把握できるようになったことで、帳簿と実在庫の差異を減らすことに成功し、さらに使用時期や数量を可視化することで、適正投入によるコスト削減と在庫精度の向上を実現しました。加えて、AIによる需要予測データと連携させることで、繁忙期や閑散期に応じた在庫配置の最適化が可能となり、過剰在庫や欠品リスクの低減にもつながっています。
長距離輸送におけるトラック不足の解消と環境負荷低減を目的に、ビール4社が連携して関西・中国〜九州間で鉄道コンテナを共同利用する取り組みを開始しました。これにより、大型トラック約2,400台分の輸送力を鉄道に置き換え、年間1,500トンのCO₂排出を削減し、物流効率化と環境配慮の両立を実現しました。
さらに、競合企業同士の連携は業界全体に波及効果をもたらし、日用品や食品業界などの他分野での共同配送やモーダルシフトのモデルケースとして注目されています。
ある企業では倉庫での積込み・荷下ろし待ちが長く、周辺渋滞や貨物回転率の低下が課題となっていました。これを解消するため、同社はバース予約・受付システムを自社開発し、2019年1月から運用を開始しました。
乗務員が携帯端末から予約・受付を行うと、接車順が近づいた際にSMSやメールで呼び出される仕組みを導入したことで稼働状況をリアルタイムで可視化できるようになり、バース運営の秩序化と効率化を実現しました。その結果、待機時間を大幅に削減し、渋滞緩和や環境負荷低減にもつなげています。
さらに、システムを他拠点や協力会社にも展開したことで、サプライチェーン全体での情報共有が加速しました。これにより、荷主・物流事業者双方にメリットをもたらす先進的な取り組みとして評価されています。
トランコム株式会社では、倉庫事業における労働力不足や重筋作業の改善を目的に、有軌道無人搬送台車(RGV)と無人搬送ロボット(AGV)を組み合わせた自動化システムを導入しました。
上部空間をRGVによる在庫保管エリア、床面をAGVによるピッキング・搬送エリアとして活用し、省スペース化と効率的な動線を実現しました。これにより、ケースピッキングや搬送作業を自動化し、作業負荷を軽減するとともに出荷スピードを向上させました。さらに、今後はロボットによる自動パレタイズを導入し、荷姿が異なる製品でも自動で積み付けられる体制を構築する計画です。
これらの取り組みは、単なる省人化にとどまらず、持続可能な倉庫運営モデルとして他業界からも注目されています。またトランコムの事例は、世界的潮流に呼応する日本発の取り組みとして位置づけられ、グローバル競争力強化にもつながる可能性を秘めています。
菱木運送株式会社では、運行管理者の負担軽減と安全管理の強化を目的に、顔認証やアルコールチェックなどの機能を備えた自動点呼ロボットを導入しました。
このロボットは、本人確認、免許証チェック、体調確認、指示伝達までを自動で行い、点呼終了後にはシステム連動でキーボックスを開錠し車両キーを渡します。さらに、出退勤・労働時間管理システムと連携することで、ドライバーの勤務状況をリアルタイムに把握し、残業時間を自動計算できるようになりました。これにより、点呼業務を効率化しつつ、働き方改革や安全対策の推進にもつなげています。
点呼業務の確実な実施をAIが支援することで、ヒューマンエラーを最小化し、夜間や早朝など管理者が常駐しにくい時間帯でも安定した運用を可能にしている点が大きな成果です。
旭化成株式会社とTIS株式会社は、皮革製品や鞄の偽造を防ぐため、偽造防止ラベルと真贋判定デバイス、ブロックチェーンを組み合わせたデジタル・プラットフォームを構築しました。
製造から小売までの各拠点で製品をスキャンし、真正品であることを確認すると同時に流通状況を記録します。これにより、偽造品の排除と真正品の数量把握を実現し、発生状況をサプライチェーン全体で可視化して被害防止に活用しています。
ブロックチェーン技術により、透明性の高い購買を実現し、ブランド価値の維持や顧客信頼の向上にもつなげています。今後は医薬品や食品など、安全性確保が重要な分野への展開も期待されています。
物流の高度化には、まず自社の物流における具体的な目的と課題を明確に定義することが重要です。
それを基に、効果を検証しながら段階的にシステムを導入するスモールスタートでリスクを抑えた運用開始が可能となります。ここでは、成功事例から学ぶ物流高度化のポイントを解説します。
EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化は、物流業界全体に影響を与えていますが、企業ごとに直面している問題は異なります。
具体的には、以下のような課題の中から、自社にとって最も優先順位の高いもの、あるいは最も改善効果が見込めるものを特定し、物流高度化の目的を明確に設定することが、成功への第一歩となります。
課題項目 | 具体的な内容 |
---|---|
人手不足 | トラックドライバーの高齢化、若年層の参入減少 |
積載効率の悪化 | トラックの空車率の高さ、運賃上昇による負担増 |
長い荷待ち・荷役時間 | ドライバーの長時間労働、荷主との認識のギャップ |
再配達の増加 | EC利用拡大に伴う宅配便増加、ドライバー負担増 |
デジタル化の遅れ | アナログな業務プロセスの残存、効率化の阻害要因 |
カーボンニュートラル対応 | CO₂排出削減や環境規制強化への準備不足 |
目的が明確であれば、どのような技術やシステムを導入すべきか、どのような改善策が有効かといった具体的なアクションプランも立てやすくなります。
物流高度化への取り組みは、一度にすべてを刷新しようとすると、失敗のリスクが高まるため、まずは特定の業務や部署に絞って試験的に導入するスモールスタートが有効です。
たとえば、一部の倉庫でロボットを導入してピッキング作業の効率を検証したり、特定の配送ルートでAIによる最適化システムを試したりすることが挙げられます。
導入例 | 内容 | 期待される効果 |
---|---|---|
倉庫内ピッキングロボット導入 | 一部のエリアでロボットによる商品棚搬送を試験 | 作業効率向上、負担軽減 |
AI配送ルート最適化 | 特定の配送エリアでAIによるルート生成を試行 | 配送時間短縮、燃費改善 |
バース予約システム導入 | 特定拠点の倉庫で予約制を導入 | 荷待ち時間削減、渋滞緩和 |
このように段階的に導入を進めることで、現場の従業員も変化に慣れやすく、スムーズなシステム浸透につながります。また、初期投資を抑えつつ、実際の効果を確認しながら本格導入の計画を立てられるため、リスクを最小限に抑えながら物流高度化を進めることが可能です。
物流高度化を成功させるためには、従業員のスキルアップと教育体制の整備が不可欠です。
以下のようなDX推進や生産性向上、CS向上、マネジメント力強化など、目的に応じた研修を実施することで、変化に対応できる人材育成を目指しましょう。
研修テーマ例 | 内容 |
---|---|
DX推進 | データ分析・活用、業務デジタル化など |
生産性向上 | タイムマネジメント、AI活用、業務プロセス改善など |
CS向上 | マナー・接遇、クレーム対応、ヒューマンエラー防止など |
マネジメント力強化 | 目標設定・管理、部下のモチベーション向上、コミュニケーションなど |
安全・コンプライアンス研修 | 法令遵守、労働安全衛生、事故防止など |
自社の課題に合わせた研修プログラムを計画的に導入することが、物流高度化成功へとつながるでしょう。
物流高度化を推進する上で、自社だけでは補いきれない機能や専門知識を外部パートナーとの連携によって補完・拡充することが重要です。特に、国内外の事業を効率的に推進するためには、パートナーシップが不可欠となります。
例えば、山九株式会社の中期経営計画では、外部パートナーとの協調・協創を推進し、不足機能の補完・拡充を目指す戦略が示されています。
これは、DX推進や自動化、データ連携強化といった取り組みを進める上で、専門的な技術やノウハウを持つ企業との連携が、物流高度化を加速につながることを意味しています。
連携の目的 | 具体的な取り組み例 |
---|---|
専門知識・技術の獲得 | ロボット開発企業との協業、AIベンダーとの提携 |
機能の補完・拡充 | 他社倉庫の活用、共同配送ネットワークへの参画 |
新規事業領域への進出 | スタートアップ企業とのアライアンス、M&A |
グローバル展開の加速 | 海外物流企業との提携、現地パートナーの活用 |
環境・サステナビリティ対応 | 再生可能エネルギー活用、グリーン物流推進、循環型資材の共同開発 |
このように、外部パートナーとの戦略的な連携は、物流業界全体の最適化・高度化に貢献し、持続的な成長を実現するための重要な要素となるでしょう。
参考:中期経営計画2026 | IR情報 | 山九株式会社 (https://www.sankyu.co.jp/ir/management/midplan.html)
物流高度化への取り組みは、導入した施策の効果を定期的に測定し、その結果に基づいて継続的な改善を行うことが、重要です。具体的には、以下のような指標を用いて効果を測定し、改善サイクルを回していくことが重要です。
測定項目 | 具体的な指標例 |
---|---|
生産性向上 | 単位時間あたりのピッキング数、出荷件数 |
コスト削減 | 配送コスト、倉庫保管コスト、人件費 |
品質向上 | 誤出荷率、破損率、配送遅延率 |
在庫精度 | 在庫差異率、欠品率 |
従業員満足度 | アンケートによる満足度調査、離職率 |
リスク対応力 | 代替ルート活用率、システム障害時の復旧時間、災害時の物流継続率 |
これらの指標を定期的に確認することで、施策の有効性を客観的に評価できます。
たとえば、ロボット導入によってピッキング時間が短縮されたか、ルート最適化によって配送コストが削減されたかなどを数値で把握します。
効果測定の結果、目標達成度に応じて、さらなる自動化の検討、現行システムのチューニング、従業員への追加研修の実施など、次のアクションを決定します。このPDCAサイクルを継続的に回していくことで、物流システム全体の最適化と、変化し続ける市場ニーズへの対応力を高めていくことが可能になります。
EC市場の拡大や人手不足といった課題に対応し、競争力を維持・向上させるためには、物流高度化の成功事例を参考に、自社の状況に合わせた無理のない範囲で、段階的に先進技術やシステムを導入し、その効果を可視化・改善していくことが不可欠です。
ぜひ自社の物流現場を見直し、課題の優先順位を明確にした上で、小さな改善から着手してみましょう。