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2024年4月から施行される改善基準告示の改正において、特に1日の運転時間に関する規制が強化されることで、運送事業者や荷主企業にはこれまで以上に厳格な対応が求められます。
本記事では、2024年問題における改正改善基準告示に着目した1日の運転時間について、1日の運転時間の限界や15時間超過時の対応等について解説します。なお物流の2024年問題の基本事項は以下の記事で解説しています。
>>物流の2024年問題とは?労働時間規制、デメリット等わかりやすく
2024年問題とは、働き方改革関連法によりドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されることから、物流サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼす事柄を指します。その中核となる施策が、改善基準告示の改正です。
改善基準告示の改正による代表的な取り決めは、以下のとおりです。
改正後の原則 | |
---|---|
年間の拘束時間 | 3,300時間以内 |
1ヶ月の拘束時間 | 284時間以内 |
1日の拘束時間 | 13時間以内 |
運転時間 | 2日平均で1日あたり9時間以内2週間平均で1週あたり44時間以内 |
連続運転時間 | 原則4時間以内。不継続の場合、10分以上×複数回で合計30分以上の休憩が必要(「430休憩」) |
休息期間(勤務終了後) | 継続11時間以上が基本。最低9時間を下回ってはならない |
ここでは、改正の背景と目的、そして企業・事業者に及ぶ影響の全体像を整理します。
なお以下の動画では2025年の改正に対応した改善基準告示をわかりやすくご確認いただけます。
近年、トラック運転者の長時間労働や過労運転に起因する交通事故が社会的な問題となっています。
国土交通省の統計によると、令和3年に発生した事業用自動車の重大事故4,320件のうち、乗務員に起因するものが1,468件を占めています(出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/subcontents/data/statistics64.pdf)
こうした事故は運転者本人の健康被害だけでなく、一般市民の安全にも重大な影響を及ぼすため、早急な対策が求められてきました。
特に2024年4月からは、働き方改革関連法に基づく時間外労働上限規制が運送業にも適用されました。
これに対応する形で、厚生労働省はトラック運転者の労働時間を適正に管理し、過重労働を防止するための指針として定めている改善基準告示の改正も同月に決定しました。
今回の改正では、現場の実態を踏まえ、より厳格かつ具体的な運転時間の上限規制や休息期間の確保が義務付けられます。改正の最大の目的は、運転者の疲労軽減を促進し、安全で持続可能な輸送体制を構築することです。これにより、事故の未然防止はもちろん、運転者の健康維持や労働環境の改善を図り、物流業界全体の健全な発展を支えることが期待されています。
2024年問題の本質は、運送業に抜本的な対策を求める点にあります。
たとえば、従来15時間の拘束が可能だった運行も、原則13時間以内に短縮する必要があり、運転時間の上限規制と休息期間の確保義務も厳格化されたことで、運行スケジュールやドライバーの勤務配置はこれまで以上に複雑化することが予想されます。ここで必要な対応とその概要を、以下にまとめました。
必要な対応 | 概要 |
---|---|
運行時間の適正管理 | 各運行の所要時間を事前に精査し、法令で定められた上限を超えないよう勤務シフトを設計する |
労務管理体制の強化 | 勤怠管理や運行記録の精度向上、監視体制の強化により法令遵守と過重労働防止を徹底する |
配車業務の効率化 | ITシステムや運行管理ツールを活用して、配車計画の最適化やムダのないルート設定を行う |
荷主との連携強化 | 荷待ち時間の短縮や運行スケジュール調整を行い、効率的かつ安全な輸送を実現する |
したがって、企業は労務管理体制の強化や配車業務の効率化、さらには荷主との連携を深めるなど、総合的な対策を講じることが不可欠となります。これにより、安全かつ円滑な物流運営とコンプライアンスの両立を目指すことが求められています。
このような多面的な対策には、運送業向けの基幹システム導入が有効です。自動配車機能や法令対応など、運送業に特化した機能を備えるシステムであれば、幅広い課題を一元的に解決できます。
2024年4月以降の改正改善基準告示で注視すべき点は、トラック運転者の1日の運転時間に関する規制がより厳格化されることにあります。
ここでは、2024年問題後の1日の運転時間について、拘束時間や連続運転時間などの観点から多面的に解説します。
2024年4月施行の改善基準告示の改正により、原則として1日の拘束時間は13時間以内と定められており、例外とあわせて把握しておくことが重要です。
内容 | 具体例 | |
---|---|---|
原則 | 1日の拘束時間は13時間以内 | 朝8時に点呼を受けて出発し、荷積み・配送・荷下ろしを行い、夜21時までに業務終了(拘束時間13時間) |
例外(延長) | 労使協定(36協定など)により、最大15時間まで延長可能※但し、14時間を超える場合は週2回まで | 朝7時に出発し、遠方への配送や荷待ちを経て夜21時に業務終了(拘束時間14時間、週に2回まで) |
特例(長距離貨物) | 宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回まで最大16時間延長可能 | フェリーを利用した本州⇔北海道間の運送や、東京→九州など1,000km超の長距離で現地宿泊を伴う運送 |
管理条件 | 延長があっても、2週間(14日)平均で13時間以内に収める必要がある | 2週間のうち延長日(14時間)が2日あった場合、他の日は12時間以内に勤務を抑え、平均13時間以内を維持 |
この改正により、運転者の過度な長時間拘束を防ぎ、疲労蓄積の軽減を図ることで、安全運転の促進と健康維持が一層強化されます。
なお、拘束時間とは始業時刻から終業時刻までの時間で、運転時間だけでなく荷役作業や休憩時間も含まれます。企業としては、これまで以上に拘束時間を正確に把握・管理し、配車計画や労務管理に反映させる必要があります。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/2023_Pamphlet_T.pdf
新たに設定された1日の運転時間上限の13時間は、ドライバーの肉体と心理的疲労の蓄積を考慮した数値的結果です。
長時間にわたる連続運転は、判断力の低下や注意力の散漫を引き起こし、交通事故のリスクを大幅に高めることが明らかになっています。
自動車事故報告規則に基づく報告を集計した結果、令和3年に発生した重大事故のうち、乗務員に起因する事故が1,468件(全体の約34%)発生しており、その多くが長時間労働による疲労が要因とされています。
さらに、警察庁の統計データによると、交通死亡事故の原因となった法令違反の上位に「漫然運転」「脇見運転」が挙げられており、これらは疲労による注意力の低下と密接に関連しています。
つまり、この13時間規制は単なる労働時間管理ではなく、管理者が主体となって交通事故リスクを未然に防ぐ仕組みを整えるためのルールです。事業者は規制を遵守した運行計画を策定し、無理のない勤務体制を組むことで、安全と法令遵守を両立させる責任があります。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/subcontents/data/statistics64.pdf
参考:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027458&cycle=7&year=20210&month=0
今回の改正では、原則として、4時間以内に必ず休憩を取り、やむを得ない場合でも4時間30分を超えてはなりません。この休憩は1回がおおむね10分以上で、合計30分以上が必要です(いわゆる「430休憩」)。
例えば、午前8時から運転を開始した場合、正午までに合計30分以上の休憩を取る必要があります。
長時間の連続運転は疲労蓄積を加速させ、居眠り運転や漫然運転など重大事故のリスクを高めます。
今回の規制は、ドライバーの集中力維持と疲労軽減を図るもので、単なる休止ではなく、心身のリフレッシュと注意力回復を目的としています。
企業は配車計画や勤務管理において、このルールの順守を徹底する必要があります。特に、渋滞や荷待ちで予定が遅れがちな路線では、事前に休憩時間を織り込んだ余裕のある運行計画の策定が不可欠です。
2024年4月に施行される改善基準告示の改正では、原則として休息期間は継続11時間以上とされ、最低でも継続9時間を下回ってはなりません。これは従来の継続8時間以上から延長されたもので、ドライバーの疲労回復をより確実にすることを目的としています。
なお、休息期間とは勤務と次の勤務の間に設けられ、睡眠や食事など運転者が自由に過ごせる時間のことで、企業の拘束を一切受けない時間を指します。
また、やむを得ず休息期間を分割して取得する場合にも条件が厳格化され、1回あたり3時間以上の休息時間を確保し、2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上が必要です。ただし、3分割となる日が連続してはならず、分割休息は1ヶ月の全勤務回数の半分を超えてはいけません。
例えば、夜21時に業務を終了した場合、翌日の始業は最低でも朝6時以降(9時間後)、理想的には朝8時以降(11時間後)となります。
企業は、この休息期間を確実に確保できるよう、配車計画やドライバーの勤務ローテーションを見直す必要があります。
今回の改善基準告示改正では、2人乗務やフェリー利用など、特別な運行形態に対する特例措置についても見直しが行われました。これまで特例として認められていた条件の一部が厳格化され、以下のように適用可能な範囲や条件が限定されるケースがあります。
特例項目 | 改正ポイント | 具体的な条件・例 |
---|---|---|
2人乗務 | 従来よりも休息期間や交代運転のルールが厳密化され、運転時間の累積管理がより細かく義務付けられた | 車両に身体を伸ばして休息できる設備(長さ198cm以上、幅80cm以上の連続した平面)が必要。最大拘束時間を20時間まで延長可能(通常は24時間、8時間以上の仮眠時は28時間まで) |
フェリー利用 | 船内での休息時間の計上方法が見直され、拘束時間や運転時間の計算に新基準が適用された(例:一部の船室条件を満たさない場合は休息として認められない) | 個室または準個室で適切な休息環境が確保される場合のみ休息期間として認定。※大部屋や椅子席は休息期間に計上されない |
特に、従来の2人乗務体制やフェリー航路を活用している事業者は、車両設備の改修や航路・船室の変更が必要になる可能性があります。
さらに、変更点を踏まえた社内規定の見直しや乗務員への周知徹底を行うことで、法令遵守と安全運行の両立を確実に行うことが重要です。
2024年4月の改善基準告示改正は、事業運営の前提条件そのものを変える重大な転換点です。
拘束時間や運転時間、休息期間の上限が厳格化されたことで、従来の配車計画や労務管理をそのまま継続すれば、法令違反や取引トラブルのリスクが高まります。
ここでは、事業者・荷主が今すぐ取るべき具体的な対策を解説します。
事業者にとって、2024年4月施行の改善基準告示改正に対応するためには、ドライバー一人ひとりの勤務時間や休憩時間、拘束時間を正確に把握し、新基準を満たした無理のない配車計画を立てることが不可欠です。
具体的な対応方法 | 概要 | 実施のポイント |
---|---|---|
過去の運行実績データの分析 | 実績データをもとに所要時間や遅延傾向を把握し、無理のない運行計画を立案する | デジタコやGPSデータを活用し、渋滞多発時間帯や荷待ち頻発地点を特定 |
ドライバーのスキル・経験の考慮 | 個々の運転技量や業務経験を踏まえて、適切なルートや業務内容を割り当てる | 新人ドライバーには余裕を持った時間設定、ベテランには効率的なルートを配車 |
ルート設定の最適化 | 交通状況や道路条件を考慮して最短・安全ルートを選定し、拘束時間短縮を図る | リアルタイム交通情報システムと連携し、動的なルート変更に対応 |
荷役時間の調整 | 荷積み・荷下ろし作業の所要時間を正確に見積もり、運行スケジュールに反映する | 荷主との事前調整により、作業時間の標準化と効率化を推進 |
法定上限に沿った時間管理 | 1日拘束時間13時間以内や休憩確保などの法定基準を満たすよう勤務計画を管理する | 430休憩(4時間運転後30分休憩)を確実に織り込んだスケジュール作成 |
さらに、日々の勤務状況をリアルタイムで監視できる体制を整備し、予期せぬ遅延や長時間労働の兆候が見られた際には、迅速に代替措置や休憩延長を行うことが重要です。
特に、改善基準告示の拘束時間違反は1件でも10日間の車両停止処分、2件以上で20日間の車両停止処分の対象となる※ ため、違反の予兆を早期発見し、即座に対応できる管理体制の構築が不可欠です。
こうした運行管理の強化により、安全性と効率性を両立した物流運営が可能となります。
※参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000880790.pdf?utm_source=chatgpt.com
トラック運行の効率化と安全確保には、集荷・配達先での荷待ち時間をいかに削減するかが非常に重要です。
荷待ち時間が長引くと、ドライバーの拘束時間(原則1日13時間以内)が不必要に延長されるだけでなく、休息期間(原則継続11時間以上)の確保も難しくなり、2024年4月施行の改善基準告示に基づく労働時間規制の遵守に支障をきたします。
荷主企業の取り組み | 概要 |
---|---|
集荷・配達時間の厳守 | 指定時間を守ることでトラックの待機を防ぎ、拘束時間延長や休息期間不足を回避する |
到着予定時刻の事前共有 | 運送事業者と到着予定を共有し、受け入れ準備を整えることで荷役作業をスムーズに進める |
受け入れ体制の整備 | 荷役スタッフや設備を事前に配置し、到着後すぐに荷積み・荷下ろしを開始できる状態にする |
荷待ち時間削減の目標共有 | 運送事業者と改善目標や対策を共有し、継続的な業務効率化と法令遵守を実現する |
こうした協力体制を荷主と運送事業者が連携して構築することで、ドライバーの負担軽減と法令遵守が促進され、安全で効率的な物流の実現につながります。
なお、荷主の指示によって改善基準告示違反が発生した場合、荷主勧告制度により荷主名と事案の概要が公表される可能性があるため、荷主側も積極的な協力が不可欠です。
実際の事例として令和6年には、NX・NPロジスティクス株式会社と株式会社吉野工業所の2社に対して「長時間の荷待ち」を理由とした荷主勧告と社名公表が実施※ されています。
※参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001878631.pdf
改善基準告示の厳格化に対応するため、運送事業者は物流効率化と物流DXの推進が重要となります。
国土交通省が推進する物流効率化では、複数荷主による共同配送や、長距離輸送における中継輸送の活用、トラック輸送から鉄道・船舶への転換(モーダルシフト)等が有効な対策として挙げられています。
これらの取り組みにより、ドライバー一人当たりの拘束時間を短縮し、法令遵守と効率的な物流運営の両立が可能となります。以下の記事では、物流DXの取り組み内容を詳しくご確認いただけます。
運転時間の適正管理は、改善基準告示改正への遵守を可能にするだけでなく、2024年問題で懸念されるドライバー不足や輸送能力低下といった構造的課題への具体的な対策としても機能します。
近年はデジタコや勤怠管理システム、動態管理サービスなど、運行状況を可視化・記録できるツールが普及し、法令遵守や配車効率向上に大きく貢献しています。
ここでは、運転時間管理におけるシステム活用と人的管理の最適化について詳しく解説し、運転時間管理の精度と実効性を高めるためのポイントを整理します。
日々の業務の中で時間の使い方に意識を向けることで、過重労働防止に直結します。結果として拘束時間の短縮につながります。
このため、企業は従業員教育や意識改革を積極的に行い、タイムマネジメントの重要性を職場全体に浸透させる必要があります。以下の取り組みを通じて、ドライバーのタイムマネジメント能力向上を支援できます。
運行前計画の習慣化 | 430休憩の取得地点を事前に運行計画書に明記 |
---|---|
デジタルツール活用 | 渋滞情報アプリや運行管理システムによる リアルタイム調整 |
時間意識の共有 | 月次で拘束時間実績を開示し、 効率運行事例を職場で共有 |
これらの習慣により、法定基準内での効率的な運行とドライバーの健康維持を両立できます。
動態管理サービスの活用は、2024年4月施行の改善基準告示改正で求められる拘束時間13時間以内や連続運転4時間以内などの管理に有効です。さらに車両のリアルタイム位置情報や走行状況を正確に把握することで、遅延や異常の早期発見が可能となり、リスクの予兆管理も実現します。
国土交通省の物流DX導入事例集でも、こうしたデジタル化による業務効率化の成功事例が多数紹介されています。
デジタコや勤怠管理システムは、運転時間や勤務状況を客観的かつ正確に記録・管理するうえで非常に有効なツールですが、これらのシステムだけに依存することは以下のようなリスクがあります。
理由 | 概要 | 法的義務(輸送安全規則第7条)による人的管理 |
---|---|---|
ドライバーの健康状態や精神的ストレスを把握できない | システムでは体調不良やメンタル面の不調、疲労の蓄積など、 人間的要素を数値化・検知することは困難 | 点呼時の疾病・疲労・睡眠不足の確認が法的義務 |
突発的な外部要因への対応が必要 | 交通渋滞や事故、天候など予測不能な事態では、現場判断や柔軟な対応が求められる | 運行管理者による安全確保のための指示義務 |
状況の微妙な変化を捉えられない | ドライバーの表情や会話内容、運転の様子など、数値では表れない兆候を見逃す可能性がある | 対面による点呼実施が原則 |
コミュニケーション不足によるリスク | システム任せにすると管理者とドライバーの直接対話が減り、早期の異常発見や信頼関係構築が難しくなる | 定期的な点呼実施による運転者との接触機会確保 |
そのため、運行管理者はデジタルデータに加え、密なコミュニケーションを図ることが不可欠です。
デジタコ・勤怠管理システムだけでなく、人の目と声による状況確認を組み合わせることで、より効果的な労働時間管理と安全運転の実現につながります。
改善基準告示を遵守しない場合、単に法令違反として扱われるだけでなく、企業経営に深刻な影響を及ぼすさまざまなリスクが発生します。
ここからは、改善基準告示を守らなかった場合に企業が直面する具体的なリスクと影響について、3つの側面から詳しく解説します。
法令違反が発覚した場合、行政からの勧告や改善命令が下されることがあり、これらは企業にとって事業運営に直接かつ重大な影響を及ぼすリスクとなります。2024年4月施行の改善基準告示改正では拘束時間・休息期間の管理が厳格化されており、違反時の行政対応も強化傾向にあります。
国土交通省の国土交通省の行政処分基準では、次の条件を満たした場合に事業停止処分の対象となります。
また、違反点数は営業所に対して付し、運輸局単位で累計されます。累積期間は原則3年で、この間に違反点数が累積すると、事業の許可の取消しや事業の停止、違反事業者名の公表など、厳しい処分が適用されます。
参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000306033.pdf
2024年の改善基準告示改正により、拘束時間は原則1日13時間以内、連続運転は原則4時間以内と厳格化されました。この結果、従来の配車計画では運行が難しくなるケースが増えると予想されます。
たとえば、以前は1人のドライバーが朝に出発して深夜までかけて完了していた長距離配送ルートも、改正後は途中で休憩時間を確保する必要があり、1日では走破できなくなる場合があります。さらに、休息期間も従来の8時間から継続11時間(最低9時間)に延長されたため、翌日の始業時間も後ろ倒しになり、運行スケジュール全体の見直しが必要になります。
これにより、人件費や宿泊費、車両の稼働調整コストが増加し、従来よりも物流コストが膨らむ可能性が高まります。
法令遵守を怠ることによるリスクは単独ではなく、複数の問題が連鎖的に企業活動に悪影響を及ぼします。
規制違反が明るみに出ると、取引先や顧客からの信頼を失い、企業ブランドの価値が著しく低下します。以下は、違反による影響の連鎖例です。
影響の段階 | 具体的な内容 |
---|---|
信頼低下 | 規制違反の公表や報道により取引先・顧客からの信用を喪失 |
取引縮小 | 新規取引減少、既存契約の見直し・解消 |
収益悪化 | 売上減少や利益率低下により経営資源が圧迫 |
継続危機 | 事業規模縮小や撤退を迫られる可能性 |
したがって、経営層から現場まで一丸となって法令遵守体制を強化し、企業価値を守りながら安定した事業運営を実現することが求められています。
2024年問題への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、物流業界全体の持続可能性を高めるための重要な転換点です。
改善基準告示の改正内容を正確に理解し、企業は配車計画の見直し、勤怠管理システムの導入、荷主との連携強化といった具体的な対策を講じる必要があります。これにより、ドライバーの労働環境改善、安全確保、そして企業の競争力維持・向上を目指しましょう。
10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。