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荷下ろしは連続運転時間に含まれる?定義や法律、4時間おきの休憩

2024年4月からの改善基準告示の改正に伴い、多くの運送業者が、連続運転時間荷下ろし作業に関する労働環境の改善対応に取り組んでいます

本記事では、連続運転時間の定義や荷下ろし作業の扱い、430休憩の詳細、そして違反時の罰則などを詳しく解説します。

「荷下ろし時間が連続運転時間に含まれるのか」といったそもそもの疑問に対して、法令遵守のための具体的な対応策を提示しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

1.連続運転時間に荷下ろしは含まれるのか

荷下ろしの時間は、一般的には連続運転時間に含まれません

理由は荷下ろし作業が運転ではなく、連続運転時間の定義が実際に車両を運転している時間と定められているためです。

以下では、連続運転時間の定義と荷下ろしの時間が連続運転時間に含まれない理由を詳しく解説します。

(1)連続運転時間とは

連続運転時間とは、ドライバーが休憩などを取らずに継続して車両を運転する時間を指します。道路交通法や労働基準法、そして改善基準告示によって連続運転時間は制限されており、ドライバーの健康維持と交通の安全確保を目的としています。

連続運転時間の管理は、労働時間の制限に留まらず、疲労による判断力の低下反射神経の鈍化を防ぎ、交通事故のリスクを大幅に軽減する役割を果たします。連続運転時間の具体的な規定は、以下の内容となっています。

連続運転時間4時間を超えてはならない
休憩の頻度連続運転4時間ごとに30分以上の休憩が必要※休憩は概ね10分ごとに分割することも可能

連続運転時間の規定によってドライバーの長時間労働による健康被害を予防することで、長く働ける環境を整えて、運送業界全体の持続可能性向上にも寄与します。

連続運転時間や休憩については2章でさらに詳しく解説しています。

(2)荷下ろしの時間は連続運転時間に含まれるのか

荷下ろしの時間は連続運転時間に含まないのが一般的です。しかし、作業時間の長さによっては連続運転時間に含まれる場合があります。荷下ろし作業の時間ごとの連続運転時間との関係性は、以下のとおりです。

荷下ろし作業の時間連続運転時間に関する判断
10分以上連続運転時間に含まない
10分未満連続運転時間に含む

厚生労働省では、連続運転時間は4時間以内で、運転の中断時には原則として休憩を与えるとしています。運転の中断時に休憩をとることが難しい場合は、運行計画の見直し等が使用者には要請されますが、すぐに改善できるケースばかりではないため、荷積み・荷卸し、荷待ちなど、休憩以外の中断でも違反ではないとしています。

また、「運転の中断」とはおおむね連続10分以上としており、荷下ろし作業は運転とは異なる業務であるため、10分以上の荷下ろし作業は運転の中断に当てはまります。連続運転時間ではなくなりますが、労働時間に含まれる拘束時間である点には変わりないため、全体の労働時間の管理には注意が必要です。

参考:https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/001434519.pdf

2.荷下ろし作業とは?連続運転時間と430休憩

長距離トラック運転手の労働環境を守り、安全運行を確保するためには、荷下ろし作業や連続運転時間、そして430休憩といった規定を正確に理解することが重要です。

以下では、荷下ろし作業の定義と連続運転時間や430休憩との関連性を詳しく解説します。

(1)荷下ろし作業の定義

荷下ろし作業とは、目的地でトラックから荷物を降ろす作業を指します。単に荷物を車両から降ろすだけでなく、荷物の仕分け、検品、伝票処理なども荷下ろし作業に含まれる場合があります。

荷下ろし作業の方法は、荷物の種類や量、作業場所の環境によって異なります。荷主の指示に従って特定の場所に配置したり、温度管理が必要な商品であれば適切な保管場所への移動も含まれます。

(2)連続運転時間と430休憩

連続運転時間とは、休憩を取らずに車両を運転し続ける時間を指し、上限は4時間と定められています。ドライバーの疲労蓄積を防ぎ、安全運転を確保するために設けられています。

430休憩とは、4時間の連続運転後に30分以上の休憩を取る取り決めです。ドライバーの疲労軽減と安全運転の確保を目的としており、単なる時間の経過ではなく、実質的な休息を取ることが重要です。

430休憩の定義としては休憩時間を一度に取る必要はなく、一度の休憩がおおむね10分以上であれば数回に分けて合計30分以上の休憩を取ることも認められています。

画像引用:トラック運転者の改善基準告示|厚生労働省

また、430休憩には、以下のように特例や予期し得ない事象が起きた際の例外的な扱いなどがあります。

連続運転時間に関する規制内容
上限時間4時間まで
休憩4時間連続運転後には、30分以上の休憩が必要
特例例外的な状況では連続運転時間の延長が最大30分まで認められる
予期し得ない事象予期し得ない事象が発生した場合には、その対応時間を1 日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から除くことができる

4時間を超えて運転する場合は30分以上の休憩を取る必要がありますが、駐車や停車が難しいなどの例外的な状況下では、連続運転時間を最大30分まで延長することが認められています。

ただし休憩を延長できるのは、一の連続運転時間につき1回までです。

休憩を予定していたサービスエリアが常に混雑していることを知っているにも関わらず連続運転時間が4時間以上になるような運行計画を作成することは、認められません。

また、「予期し得ない事象」とは以下の通りです。

3.連続運転時間の違反による罰則と責任範囲

連続運転時間の違反による罰則と責任範囲

ここでは、連続運転時間の違反に関する具体的な罰則と、誰がどのような責任を負うのかについて詳しく解説します。

(1)罰則

連続運転時間に関する規制に違反した場合、直接的な罰則は存在しません。改善基準告示は法律ではなく、厚生労働大臣による告示であるため、罰金や刑罰の対象にならないためです。

しかし、連続運転時間に関する違反が発覚した場合には、労働基準監督署による監督指導が行われるうえに、重大な違反や違反行為が持続している場合には、道路運送法貨物自動車運送事業法に基づき、地方運輸局への通報によって追加の監視や指導が行われる可能性があります。

(2)責任範囲

連続運転時間違反の責任は、運送事業者と運転者の双方に及びます。事業者は適切な労務管理と運行計画の策定を行う義務があり、運転者は規定を遵守して安全運転に努める責任があります。運送事業者と運転者における責任内容の詳細は、以下のとおりです。

運送事業者運転者
責任内容適切な運行計画の作成十分な休憩時間の確保ドライバーへの教育と指導労働時間の適切な管理必要な員数の運転者の確保規定の遵守適切な休憩の取得体調管理異常を感じた際の報告

重大な違反や事故が発生した場合、事業者の管理責任も厳しく問われることになります。

そのため、事業者は単に規則を守るだけでなく、積極的に安全運転を推進する体制を整えることが求められます。

4.連続運転時間の基準を遵守するための対応策

(1)中継輸送

中継輸送は、長距離トラック運行において、途中でドライバーを交代させる輸送方法です。長距離運行時にドライバーの負担を軽減し、連続運転時間の基準を遵守するためのさまざまな方法があります。主な中継輸送の形式は以下の4つです

中継輸送の形式概要
ドライバー交代方式中継地点でドライバーが車両を乗り換える
貨物積み替え方式中継地点で貨物を別の車両に積み替える
トレーラー・トラクター方式(外回り型)中継地点でドライバーがシャーシ(荷台部分)を交換する
トレーラー・トラクター方式(内回り型)車庫を中継地点として使用し、シャーシの交換を行う

トレーラー・トラクター方式の特徴はトラクターの入れ替えで、貨物の中継を行うことです。

外回り型は、専用の中継地点でシャーシを短時間で交換し、柔軟な運行が可能です。

一方、内回り型は車庫を中継地点として使用し、定期的かつ安定した運行が特徴ですが運行ルートに制限があります。

(2)運転手の増員

十分な数の運転手を確保し、適切なシフト管理を行うことで、一人あたりの連続運転時間を分散できるようになります。運転手の増員によって、以下の効果をもたらします

  • 連続運転時間の分散
  • 休憩時間の確保しやすさ
  • 緊急時における対応力の向上
  • 運転手の健康維持

運転手の増員はコストが増加する面もありますが、長期的には事故防止業務の効率化につながり、企業にとって重要なリスク管理手段となるでしょう。

(3)システム導入による業務効率化

システムの導入により運行管理や荷下ろし作業の効率化を図ることで、ドライバーの負担軽減と法令遵守を両立することが可能です。

運送業向けのシステムには、主に以下の機能が搭載されています。

主な機能概要
運行管理の最適化・運転状況をリアルタイムで把握・連続運転時間を適切に管理
荷下ろし作業の効率化・荷下ろしの進捗や待機時間をデジタル管理
ドライバーの労務管理・システムで労働時間を自動記録・労働基準法や改善基準告示に準拠した運行計画を作成

システムによって運行の全体的な可視化やリアルタイムでの柔軟なスケジュール調整ができるため、ドライバーの過剰労働や連続運転時間超過を未然に防ぐことができます。

また、データ分析を通じて、より効率的な運行計画の立案も可能となります。

システムによって機能の範囲や予算感が異なるため、自社の課題や目的にあわせて選ぶことが大切です。

5.連続運転時間における問題の解消を目指せるおすすめシステム5選

(1)物流基幹システム AIR

引用:五十鈴株式会社

トータル物流基幹管理システムAIRは、連続運転時間の管理と短縮に大きく貢献する革新的なソリューションです。柔軟な条件に対応できる高精度な配車計画の自動作成運転日報の作成の効率化により、物流に関わる多様な業務の効率化を1つのプラットフォームで行うことができます。

トータル物流基幹システムAIRのおすすめポイント
  • 物流業務(受注、配車、運転日報、請求、仕入れなど)のすべてを一つのプラットフォームで管理
  • 自社サーバーが不要で、リアルタイムでのデータ管理が可能
  • AIによる配送ルートの自動生成

AIRの導入により、連続運転時間の管理を大幅に改善し、法令遵守と業務効率化の両立を実現できます。ドライバーの労働環境改善にも貢献し、結果として安全性の向上と顧客満足度の増加につながるでしょう。

お問い合わせボタン
主要機能配車業務の自動化・最適化
・労務管理や運転日報登録の効率化
受注、配車、運転日報、請求、仕入れを一元管理
リアルタイムでのデータ管理
所在地東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル
価格・料金プランこちらからお問い合わせできます

(2)LYNA 自動配車クラウド

LYNA 自動配車クラウド
引用:LYNA自動配車クラウド
主要機能・配車計画の自動生成
・リアルタイム車両管理
・労務管理と運行記録
所在地千葉県市川市八幡3-4-1 アクス本八幡3F
価格・料金プラン月額50,000円~※拠点数や車両台数により変動

LYNA自動配車クラウドは、株式会社ライナロジクスが提供するAIによる自動配車システムです。20年以上にわたって物流業界で培われてきた独自のAIエンジン「ライナメタヒューリスティクス」を基盤としています。

  • AIによる高速かつ最適な配車計画の立案
  • クラウドベースで簡単に利用可能な使いやすいインターフェース
  • 実績データの学習による継続的な精度向上

(3)AI-Contact

AI-Contact
引用:AI-Contact
主要機能・運行管理と動態管理
・車両管理
・アルコールチェック電子記録
所在地神奈川県横浜市港北区新横浜2丁目8-12 Attend on Tower 7階
価格・料金プラン無料

AI-Contactの特徴は、全国の道路標識データベースとの連携があります。各道路の制限速度や一時停止などの規制を正確に把握し、ドライバーの運転行動と照合できます。その結果、速度超過や一時不停止などの違反を即座に検出し、管理者に通知します。

  • 全国の道路標識データベースとの連携による高精度な違反検知
  • 自動生成される日報レポートによるドライバーの自己改善支援
  • アルコールチェック管理機能による法令遵守サポート

(4)ODIN配送計画

ODIN配送計画
引用:ODINリアルタイム配送システム

ODINリアルタイム配送システムは、直感的なインターフェース充実したサポート体制により、システム導入に不安を感じる企業でも安心して利用できます。また、導入実績2700社以上という豊富な経験を活かし、配送業界の効率化と品質向上に貢献しています。

  • 高速な配送計画立案
  • ドライバーの操作ミスを防ぐ高機能アプリ
  • 直感的なインターフェース
主要機能・リアルタイムで配送計画と進捗を管理
・動態管理、配送計画作成
・自動日報とメッセージ機能
所在地神奈川県横浜市西区北幸2-10-39
価格・料金プラン動態管理:月額1,200円(1ユーザー)

(5)TCloud for SCM

TCloud for SCM
引用:TCloud for SCM

TCloud for SCMは、物流業界のデジタルトランスフォーメーションを促進し、CO2排出量削減交通事故防止、人材不足対策など、業界が直面する様々な課題解決への貢献が期待されています。

  • 業界特化型ソリューション
  • スマートフォンのみで利用可能な手軽さ
  • 2027年3月までに12,000ライセンスの利用を目指す成長性の高いサービス
主要機能・リアルタイム配送状況管理
・積載物量の取込
・検品、納品先への配送状況公開
・車両走行情報管理
所在地東京都港区新橋6丁目19番15号
価格・料金プランアプリのみプラン:1,250 円/月スマホ+アプリセットプラン:2,950 円/月

6.2024年問題に関わる改善基準告示の改正

2024年問題に関わる改善基準告示の改正

以下で改正改善基準告示に準ずる主な上限規制について解説します。

(1)時間外労働の上限規制

2024年4月以降の具体的な時間外労働の上限規制は、以下のとおりです。

参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)
時間外労働の上限年960時間まで(36協定を締結した場合)
適用されない上限規制・時間外労働と休日労働の合計:100時間以内
・2~6ヵ月平均80時間以内
・時間外労働が単月45時間を超えられる月数:年間6ヵ月まで
参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)

トラックドライバーを含む自動車運転の業務は一般の労働者とは異なり、時間外労働と休日労働の合計時間外労働が単月45時間を超えられる月数の上限規制が適用されません。

ただし、運転時間や休息期間に関する改善基準告示を遵守する必要があるため、時間外労働に関する規制が一般的な労働者と異なるとしてもより詳細な上限規制を守る必要があります。

(2)拘束時間の上限規制

改善基準告示の改正後の2024年4月からは、トラックドライバーの拘束時間に関して年間3,300時間・月間284時間の上限が設定されます。36協定の締結による例外的な延長が可能なため、原則と例外をあわせて把握しておくことが大切です。

期間上限規制
年間原則:3,300時間以内例外:36協定の締結により、最大3,400時間まで延長が可能
月間原則:284時間以内例外:36協定の締結により、最大310時間まで延長が可能
1日原則:13時間例外:宿泊を伴う長距離運行の場合、週2回まで15時間に延長が可能
参考:トラックドライバーの新しい労働時間規制が始まります!|厚生労働省

ただし、36協定を締結したとしても月間の拘束時間を延長できるのは、年間6ヵ月までです。(年間の拘束時間は3400時間を超えないこと)

また、1ヵ月の拘束時間が284時間を超える月が3ヵ月以上連続しないことは必須であり、1ヵ月の時間外・休日労働時間数が100時間未満とすることも求められます。

(3)勤務間の休息期間

2024年4月から施行の改善基準告示では、トラックドライバーの勤務間の休息期間を11時間以上を基本とし、最低9時間を下回らないよう計画する必要があります。勤務間の休息期間に関する規定は、原則と例外を踏まえて把握しておくことが大切です。

規定詳細
原則的な休息期間11時間以上の連続した休息時間を確保
最低限の休息期間9時間の休息期間を下回らない
長距離輸送での例外宿泊を伴う運行や住所地以外での休息は週2回まで運行終了後には12時間以上の連続した休息期間が必要

1週間すべて長距離輸送で1回の運行における休息期間が住所地以外である場合に限り、週2回までで8時間以上の休息とする例外も存在しますが、その際は運行終了後に12時間以上の休息が義務付けられています。

画像引用:トラック運転者の改善基準告示|厚生労働省

7.まとめ

荷下ろし作業は要する時間によって連続運転時間に含まれるケース・含まれないケースがあります。運転時間に含まれない場合でも労働時間に含まれるため労務管理上で注意が必要です。
4時間を超えない連続運転時間の厳守や、荷下ろし作業の適切な扱いによって、労働時間全体を健全な状態で管理できます。

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