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ドライバー不足や再配達問題、地域交通の維持といった課題が重なるなか、貨客混載トラックが新たな物流モデルとして注目を集めています。
一方で、導入にあたっては国土交通省による許可制度や規制緩和の適用範囲を正しく理解することが不可欠です。
本記事では、貨客混載に関する制度の基本と、国交省の推進方針・許可条件・規制緩和の概要を整理します。そのうえで、事例を踏まえ、企業が導入を検討する際の現実的な判断ポイントを明らかにします。

貨客混載はもともとは鉄道やバスを中心に実施されてきた取り組みですが、国土交通省による制度整備と規制緩和によって、近年はトラック輸送分野でも導入が進みつつあります。
貨客混載とは、旅客輸送事業と貨物輸送事業を同一の車両・運行枠内で行う仕組みを指します。
たとえばトラックを用いて「人+荷物」を同時に運送するケース、またはバス・タクシー等の旅客車両を貨物運送にも活用するケースなどが該当します。
国土交通省は2017年9月に貨客混載の規制緩和を実施し、過疎地域における交通・物流の維持を目的として制度を整備しました。
この仕組みの特徴として、以下のようなポイントがあります。
さらに、車両・運行の仕組みを明確に定めるため、国土交通省のガイドライン上では次のような要件も設定されています。
このように、貨客混載の仕組みは効率化と安全・サービス品質の担保という双方を実現するための設計がなされています。
参考:https://www.totokyo.or.jp/management/topics/file/20230530_kakyakukonsaiseidominaosi.pdf
これまで貨客混載は、乗合バス事業者を除き「人口3万人未満の過疎地域」に限定されていました。しかし、過疎地以外でも輸送効率化を図りたいという自治体や事業者の要望が増加したことから、国交省は2023年4月に制度の見直しを実施し、適用範囲を全国的に広げる方向で調整を行いました。
以下は、規制緩和の主な内容とその狙いを整理したものです。
| 規制緩和の区分 | 改正・緩和の内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 対象地域の拡大 | 貨客混載の需要が確認された地域では、過疎地以外でも許可が可能に | 地方都市や観光地など、実情に応じた柔軟な貨客混載の導入を促進 |
| 対象事業者の拡大 | 貨客混載の対象を、貸切バス・タクシー・トラック事業者へと拡大 | バス・鉄道に限らず、多様な輸送モードでの混載を可能に |
| 制度運用の見直し | 現行制度で対応できないニーズに対して速やかに措置を講じる方針を決定 | 制度の柔軟性を高め、地域単位での事業承認・運用をスムーズに |
このように過疎地に限定されていた貨客混載を、全国レベルで活用できる体制へと転換しています。
これにより、トラック事業者をはじめとする民間企業も、地域特性に応じた混載モデルを構築しやすくなりました。

とくにトラック事業者が旅客輸送を行う場合、従来の貨物自動車運送事業の枠を超える運行となるため、旅客・貨物の双方に関する法的要件を満たさなければなりません。
ここでは、まず貨客混載の許可制度の基本的な仕組みを整理し、そのうえで許可取得までの手順と必要な準備体制を解説します。
旅客輸送は「道路運送法」、貨物輸送は「貨物自動車運送事業法」に基づく別の事業とされており、両者を兼ねる運行には、新たな許可または変更認可が求められます。
つまり、トラック事業者が旅客を運ぶ場合や、バス・タクシーが貨物を運ぶ場合はいずれも、事業内容の変更を運輸局に申請し、審査を受けなければなりません。
このとき、国土交通省の審査基準で重視される主なポイントは次のとおりです。
| 運行管理体制の整備 | 運行管理者の配置・乗務員の安全教育など |
|---|---|
| 保険や賠償制度の適合 | 旅客・貨物双方のリスクに対応できること |
| 運行計画の明確化 | 旅客輸送と貨物輸送を同時に行っても支障がないこと |
ただし、安全性と制度適合性の両立が前提となるため、導入にあたっては、自社の運行形態・車両区分・運送範囲が許可条件を満たしているかを事前に確認することが欠かせません。
参考:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000275.html
参考:https://www.totokyo.or.jp/management/topics/file/20230530_kakyakukonsaiseidominaosi.pdf
貨客混載を導入する際は、国土交通省(地方運輸局)への許可申請が必要です。
特にトラック事業者が旅客を輸送する場合は、通常の貨物自動車運送事業とは異なる運行形態となるため、法令上の適合性を確認したうえで申請を行います。
国土交通省では、最低車両台数や積載できる貨物の重量上限などの許可基準を設けており、これらの基準を満たした上で申請する必要があります。
| 手順 | 内容 | 主なポイント |
|---|---|---|
| ① 運行計画の策定 | 輸送ルート、運行頻度、車両構成、積載方法を明確化し、旅客・貨物双方の運送が安全かつ効率的に行える計画を作成する | ・旅客と貨物の動線を分ける設計・安全性と採算性を両立させる計画づくり |
| ② 関係機関・連携先との調整 | 鉄道・バスなどの旅客事業者や自治体と運行区間、積載スペース、ダイヤなどを事前協議する | ・運行ダイヤや積載時間の調整・連携先との役割分担を明確に |
| ③ 申請書類の準備と提出 | 地方運輸局に事業計画書、運行管理体制図、安全管理マニュアル、保険契約書などを提出する | ・旅客・貨物両事業に対応した保険加入証明が必要・申請内容の不備がないか事前確認 |
| ④ 審査・許可の取得 | 提出内容をもとに、安全性・管理体制・採算性などを運輸局が審査し、問題がなければ正式な許可が下りる | ・審査期間中に追加資料を求められる場合もある・許可取得後に運行開始可能 |
| ⑤ 運行開始と継続的な管理 | 許可後も安全管理者による点検や乗務員教育、実績報告を継続的に実施する | ・定期的な報告義務と安全体制の維持・実績を蓄積し次回更新に活かす |
このように、貨客混載の許可取得は単なる申請手続きではなく、運行計画・安全管理・関係者調整を含む総合的な準備プロセスです。
なお、必要書類や審査の詳細は地域や運行内容によって異なる場合があります。ケースごとの判断が求められるため、必ず最寄りの地方運輸局で最新の条件を確認することが重要です。

制度上の規制緩和によって導入のハードルは下がりつつありますが、実際の運行では荷扱いの責任分担やコスト配分など、慎重な判断が求められる場面も少なくありません。
ここでは、貨客混載トラックの導入における主なメリットと課題を整理し、企業が検討段階で押さえておくべきポイントを解説します。
貨客混載トラックの最大の利点は、「輸送効率の最適化」と「環境・サービス両面での持続性確保」にあります。
ドライバー不足や燃料費高騰など、物流業界が抱える構造的な課題に対して、貨客混載は複数の側面から解決を目指すことができます。
国土交通省の調査によると、全国の複数の自治体から貨客混載導入のニーズが寄せられており、輸送効率化や地域交通維持への期待が高まっています。
| メリット | 具体的な効果 |
|---|---|
| 空車率の低減による収益改善 | ・車両稼働の効率化・燃料・人件費の削減・輸送コストの圧縮 |
| CO₂排出量の削減 | ・カーボンニュートラル対応・ESG・SDGs方針との整合性向上 |
| サービス水準の維持・地域物流の安定化 | ・地域住民の利便性確保・社会的インフラとしての評価向上 |
| 新たなビジネスモデルの創出 | ・異業種連携による収益機会の拡大・企業ブランドの強化 |
このように、貨客混載トラックは積載効率化だけでなく、収益性・環境性・公共性を同時に高められる新しい物流体制として注目を集めています。
貨客混載トラックの導入には多くの利点がある一方で、荷扱い・保険・運行スケジュール・収益構造といった領域では、事前の協議や契約整備が不可欠です。
国土交通省が実施した全国調査では、貨客混載の導入を検討する自治体や事業者から、運転手の労務管理、荷主と荷受人間の貨物発着体制、貨物の安全輸送体制の整理などが課題として挙げられています。
| 課題 | 想定される影響・対応策 |
|---|---|
| 荷扱い責任の所在 | ・契約書や運送約款で責任範囲を明示・貨物管理マニュアルの策定 |
| 保険・賠償制度の整合性 | ・既存保険の見直しと補償範囲の追加・リスク発生時の対応ルールを共有 |
| ダイヤ連携・運行調整の難しさ | ・運行管理システムの導入・リアルタイム情報共有による調整 |
| 採算性・コスト配分の壁 | ・実証段階での費用対効果分析・自治体や補助金制度の活用 |
とくに複数事業者・自治体が関与する場合は、運行計画や責任範囲を共有し、事前に協定書や契約で明確化することが重要です。

制度上は貨客混載が実施可能であっても、事業規模や地域特性によっては採算が取れない場合や、既存の旅客サービスに影響が生じる可能性もあります。
ここでは、企業が貨客混載トラックの導入を検討する際に押さえるべき3つの現実的な判断ポイントを整理します。
旅客と貨物を同時に扱うことで新たなコストが発生する可能性があり、収益構造を正確に把握することが欠かせません。
運行コストには、車両整備費や燃料費に加え、荷扱い担当者の人件費や積載・積降時間に伴う運行遅延リスクなどが含まれます。一方で、貨物を同時輸送することで空車率を下げ、片道輸送の損失を抑制できる効果もあります。
こうしたコスト増と効率化効果のバランスを定量的に比較し、損益分岐点を算出することが導入判断の前提となります。
旅客輸送を主軸とする事業者が貨物を扱う場合、積載・荷下ろしにかかる時間やスペースの確保が運行ダイヤに影響を与えるおそれがあります。
わずかな遅延でも利用者の満足度に直結するため、旅客サービスへの影響を最小限に抑える設計が欠かせません。
また、荷扱い手順の標準化や乗務員への安全教育、貨物固定装置の整備など、物理的な安全対策を徹底して構築することも求められます。
旅客事業者、物流事業者、自治体、地域の荷主など、関与する主体が多岐にわたるため、荷物の引き渡し方法や運行スケジュールの調整、費用負担の割合などを明確に定める必要があります。
国土交通省が実施した全国調査では、貨客混載の導入にあたり、運転手の労務管理や荷主・荷受人間の貨物発着体制の整理が課題として挙げられています。また、2023年の制度見直しでは、地域の関係者による協議が調ったことを条件として、全国での貨客混載が可能となりました。
また、運行の実効性を高めるためには、情報共有と運行管理を支えるデジタル基盤の活用が効果的です。リアルタイムで位置情報や積載状況を共有できる運行管理システムを導入すれば、旅客・貨物双方のスケジュール調整を円滑に行えます。
このように、貨客混載トラックの導入は制度的な許可取得だけでなく、現場レベルでの連携・調整力が事業成否を左右する要素となります。関係者間の信頼関係と運用ルールの明確化が、持続可能な混載モデルの構築につながります。
貨客混載トラックは、国土交通省による制度後押しのもと、物流業界におけるCO₂排出量削減や地域交通網の維持・向上に貢献する可能性を秘めています。
しかし、その導入には採算性、旅客サービスへの影響、関係者間の連携といった現実的な課題をクリアする必要があります。
これらの課題を克服し、持続可能な運行モデルを確立することが、貨客混載の成功につながるでしょう。
10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。