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物流統括管理者の義務化とは?対象企業・CLOとの違いまで解説

物流統括管理者(CLO)の選任義務化は、部門最適に留まりがちな物流を「経営レベルで統治する」ことを企業に求める制度です。

本記事では、国土交通省所管の関連法令とスケジュールを踏まえ、物流統括管理者の義務化について、実務手順に沿って整理します。

目次

1.物流統括管理者とは?CLOとの違いも紹介

まずは物流統括管理者(CLO)の定義や位置づけを整理したうえで、次にCLOとの違いをわかりやすく解説します。

(1)物流統括管理者(CLO)の定義と位置づけ

物流統括管理者とは、ドライバーの負荷軽減や輸送効率化を経営課題として推進する責任者を指します。

国土交通省の定義では事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者が任命対象とされており、経営幹部や役員クラスなど、企業全体のサプライチェーンにおける経営的意思決定を担う人材から選任することが求められます。

この制度は、ドライバー不足や荷待ち時間の長期化、輸送効率の低下といった物流の構造的課題を企業全体で解決するために設けられました。実際に、国土交通省の最新調査(令和6年度)では、トラックドライバーの1運行当たりの荷待ち時間は平均1時間28分、荷役時間は平均1時間34分となっており、合計で約3時間が運転以外の作業に費やされています。

物流統括管理者は、こうした課題を現場任せにせず、経営視点で把握し、改善を主導する役割を担います。

(2)CLOと物流統括管理者の違い

CLOと物流統括管理者は、どちらも企業の物流を統括する役割を指しますが、使われる文脈と法的な位置づけに違いがあります。

CLO物流統括管理者
意味企業の物流戦略全体を統括する「最高物流責任者」企業の物流を法的責任のもとに統括・管理する制度上の責任者
法的根拠任意の社内ポジション(法的規定なし)改正物流総合効率化法 第47条・第66条(特定荷主・特定連鎖化事業者に選任義務)
設置義務任意(企業判断による)法律で選任・届出が義務化(違反時は罰則あり)
報告義務特になし国土交通省への届出・定期報告が必要
担当範囲サプライチェーン全体(調達・生産・販売・在庫・物流)同様に全社横断的だが、特に輸送・荷役効率化への責任が重い
最終的な責任範囲経営判断・企業戦略の実行責任物流業務全般の統括・報告・改善責任

つまり、CLOは企業の自主的な経営役職であり、物流統括管理者は法制度上の義務として設置される管理的地位の担当者です。

ただし、国土交通省の物流効率化法ポータルサイトでは「物流統括管理者は、ロジスティクスを司るわゆるCLO(Chief Logistics Officer)としての経営管理の視点や役割も期待されています」と明記しており、実務的には両者はほぼ同義の役割を果たすと考えてよいでしょう。

2.物流統括管理者の義務化の背景と法制度

ここでは、物流統括管理者義務化の背景と法制度の位置づけを整理します。

(1)なぜ物流統括管理者が義務化されるのか

物流統括管理者の選任義務化は、国土交通省が主導する物流革新政策の一環として導入されました。
慢性的なドライバー不足や長時間労働、荷待ち・荷役時間の増加といった課題が深刻化しており、今後、輸送能力が大幅に低下する可能性が指摘されています。

こうした義務化の背景には、以下のような構造的課題があります。

背景要因内容
輸送能力の大幅な低下予測何も対策を講じなければ、2024年度には輸送能力が約14%、2030年度には約34%減少すると試算→物流の停滞が経済全体に波及するリスクが指摘されている
物流事業の担い手構造の脆弱化ドライバー不足や高齢化、長時間労働の常態化により、「運べない」「待たせる」構造が進行荷主・運送事業者双方に過重な負担が生じている
物流の効率化・多重下請構造の是正荷待ち・荷役時間の増加、トラックへの過度な物資集中、多重下請構造などがコスト増・環境負荷・安全リスクを引き起こしており、サプライチェーン全体での改善が求められている

これらを踏まえ、物流統括管理者制度は、企業が自ら物流の量・構造・取引形態を俯瞰し、経営課題として改善計画を策定・実行することを促す仕組みとして位置づけられています。

現場任せの運用から、経営層が主導する「全社的な物流改革」への転換が、義務化の狙いです。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html

(2)物流統括管理者制度の関連法令と所管機関

物流統括管理者制度は、令和6年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(物流改正法)により整備されました。荷主や物流事業者に対してその責任を明確化することが主な目的であるため、以下の法律・所管機関により整備されています。

法律名概要所管
物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)※・荷主・物流事業者に対して物流効率化の取組を義務化・一定規模以上の事業者を「特定事業者」として指定し、中長期計画の策定・報告を求める・特定荷主・連鎖化事業者には物流統括管理者の選任・届出・定期報告を義務付け※令和6年改正により法律名を変更(旧:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)経済産業省・農林水産省・国土交通省
貨物自動車運送事業法・荷主と運送事業者の契約適正化を目的に改正・契約内容の書面化義務や取引改善を通じ、輸送効率の確保・多重下請構造の是正を促進・実運送体制管理簿の作成義務を新設国土交通省
物流革新政策パッケージ(政府方針)・省庁横断で物流DX・標準化を推進する政府戦略・法改正に基づき、荷主・物流事業者双方の責任明確化とデータ活用の促進を図る内閣官房・経済産業省・国土交通省

主な施行スケジュールとしては、下記の通りとなります。

・令和7年(2025年)4月:判断基準の施行、努力義務の開始

・令和8年(2026年)4月:物流統括管理者の選任・届出義務、中長期計画の策定・提出義務の開始

企業はスケジュールを踏まえ、サプライチェーンの現状把握と体制整備を進める必要があります。

参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/butsuryu-kouritsuka.html

(3)義務化スケジュールと報告・届出義務について

物流統括管理者制度は、2024年の法改正を経て以下のように段階的に施行されます。

時期主な内容対象企業・対応事項備考
2024年(公布)「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」改正法公布(令和6年法律第23号)企業は制度概要を把握し、体制整備の準備を開始公布日:2024年5月15日交付から約1年後に努力義務施行
2025年4月1日「荷主・連鎖化事業者の判断基準」施行自社が特定荷主・特定連鎖化事業者に該当するかを確認判断基準に基づく自己判定フェーズ
2026年4月1日特定荷主・特定連鎖化事業者の指定・届出制度が施行該当企業は物流統括管理者を選任し、届出・定期報告を開始中長期計画の作成・提出義務化本格始動(届出・報告制度)※違反時は罰則あり
以降(毎年度)中長期計画および取組状況の定期報告義務物流効率化計画の実施・評価・改善を継続所管:国土交通省/経済産業省

物流統括管理者制度は、2025年度に対象企業の判定、2026年度に届出制度の本格施行と、2段階で進みます。

このため企業は、まず自社が「特定荷主」や「特定連鎖化事業者」に該当するかを早期に確認し、該当する場合は物流統括管理者の候補選定と体制構築を進めることが重要です。

また、届出・報告には中長期の物流計画や改善状況の把握が必要となるため、社内の調達・生産・販売など各部門と連携し、データの可視化と報告体制の整備を行うことが今後の対応ポイントとなります。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html

参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/butsuryu-kouritsuka.html

(4)罰則・未対応リスク

特定荷主・特定連鎖化事業者が選任を行わなかった場合は100万円以下の罰金、届出を怠った場合は20万円以下の過料と定められています。

違反内容対象想定される措置根拠法令・取り決め
物流統括管理者を選任しない特定荷主・特定連鎖化事業者100万円以下の罰金物流効率化法第47条・第66条
選任届出を怠る特定荷主・特定連鎖化事業者20万円以下の過料物流効率化法第47条・第66条
改善計画・報告を怠る/虚偽報告特定荷主・特定連鎖化事業者行政勧告・公表・改善命令国交省・経産省ガイドライン
中長期計画に基づく取組みが著しく不十分特定荷主・特定連鎖化事業者勧告→公表→命令物流効率化法第48条・第67条
命令違反特定荷主・特定連鎖化事業者100万円以下の罰金物流効率化法第78条

行政処分は段階的に実施され、まず国が判断基準に基づき指導・助言を行い、取組が不十分な場合は勧告、勧告に従わない場合は企業名等の公表、さらに従わない場合は命令が発令されます。命令に違反した場合は100万円以下の罰金が科せられます。

これらの行政処分に加え、届出義務や報告を怠ることは取引先からの信頼低下・監査強化・契約見直しといった実務上のリスクにも直結します。特に、企業名の公表は社会的信用やサプライチェーン評価にも影響を与え、物流効率化に非協力的な企業として取引条件の悪化や取引制限を受ける可能性もあるため、早期の体制整備が重要です。

参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/clo/

参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/butsuryu-kouritsuka.html

3.物流統括管理者義務化の対象企業と選任基準

物流統括管理者の義務化は、すべての企業に一律で適用されるものではなく、国が定める「特定荷主」または「特定連鎖化事業者」に該当する事業者が対象となります。

ここでは、物流統括管理者義務化の対象企業と選任基準について解説します。

(1)義務化の対象となる「特定荷主」「特定連鎖化事業者」の範囲

2025年4月に施行された「荷主・連鎖化事業者の判断基準」により、物流統括管理者の選任義務は物流効率化法第47条および第66条に基づいて運用が始まっています。

「特定荷主」は、自社で製造・販売する物資の輸送量が多く、物流全体に影響を及ぼす企業を指します。特定荷主には「特定第一種荷主(発荷主)」と「特定第二種荷主(着荷主)」があり、主な対象は製造業、卸売業、小売業、大手EC事業者などです。

一方、「特定連鎖化事業者」は、ランチャイズチェーンの本部を指します。具体的には、コンビニエンスストアチェーン、外食チェーン、ドラッグストアチェーンなど、複数の加盟店に対して物流を統括的に管理する本部が該当します。連鎖対象者(加盟店)が取り扱う貨物の受渡しに関する日時を運転者に指示できる立場にある本部が対象となります。

これらの事業者には、物流統括管理者の選任・届出・定期報告が義務付けられ、法令遵守体制の整備が求められます。なお、指定基準を満たすにもかかわらず届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、50万円以下の罰金が科せられます。

参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/designation/

参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/butsuryu-kouritsuka.html

(2)年間取扱貨物量・委託件数など目安となる基準

経済産業省の「特定荷主の物流効率化法への対応の手引き」によると、特定荷主の指定判断には、第一種荷主(発荷主)として年間取扱貨物重量9万トン以上、第二種荷主(着荷主)として年間取扱貨物重量9万トン以上を目安とする基準が設けられています。

また、取扱量の算定にあたっては、物流業務を委託している場合でも、自社が発注した貨物の総量を対象とし、複数拠点や関連会社分も合算して算出することが求められます。

委託件数については明確な数値基準が定められていませんが、年間9万トン相当の取扱規模を持つ企業は、物流全体に与える影響が大きいため、指定対象となる可能性が高いとされています。

このため、製造業・卸売業・小売業・EC事業者など大規模な物流を取り扱う企業では、自社の物流量を定期的に算出し、特定荷主に該当するかを早期に確認しておくことが重要です。

参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/specified-sippers_ver.1.0.pdf

(3)中小企業・下請け企業の取り扱いについて

物流統括管理者の選任義務は取扱貨物重量が年間9万トン以上の「特定荷主」または「特定連鎖化事業者」として指定された事業者に適用されます。
企業規模による判断ではない 特定荷主の指定基準は、企業規模(大企業・中小企業の別)ではなく、年間取扱貨物重量が9万トン以上か否かという客観的な数値基準のみで判断されます。したがって、中小企業であっても9万トン以上の貨物を取り扱う場合は特定荷主に指定され、物流統括管理者の選任義務を負います。

ただし、特定荷主に該当しない事業者であっても、全ての荷主には物流効率化のための努力義務が課されている点には注意が必要です。

プライチェーン全体での協力として、 特定荷主に指定されていない中小企業や下請け企業であっても、取引先が特定荷主である場合、その効率化計画に協力することが実務上求められる可能性があります。例えば、発注のリードタイム確保、パレット規格の統一、出荷日時の調整などについて、取引先から協力を依頼されるケースが想定されます。

中小企業にとっては、法的義務を直接負う場面は少ないものの、取引先の指定状況や効率化方針を把握し、サプライチェーン全体の最適化にどう貢献できるかを明確にすることが重要となります。

4.物流統括管理者の資格・スキル要件と役員関係

物流統括管理者制度では、企業経営に関与できる立場の人材が選任されることを前提としています。

ここでは、物流統括管理者に求められる資格やスキルの有無などについて整理します。

(1)必須資格やスキル要件はあるか?

物流統括管理者の選任にあたって、特定の国家資格や免許の取得は義務付けられていません。
制度上の要件として定められているのは、「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」であることです。

資格の代わりに求められるのが、社内外の物流全体を統合的にマネジメントできる知見と調整力です。
具体的には、調達・生産・販売・在庫管理など、サプライチェーン全体を俯瞰し、物流効率化に関する施策を主導できる能力が必要とされます。

求められる具体的な役割としては、社内的には生産・在庫管理・販売など経営全体をみた上で物流の効率化を進めるための調整・判断を行うこと、対外的には他社の物流統括管理者等と物流の効率化に資する折衝や協力を行うことが期待されています。単なる物流部門の長ではなく、部門横断的な調整が可能な経営幹部レベルの立場にあることが重要です。

役職としては、取締役、執行役員、事業本部長、またはこれに準ずる管理職が望ましいとされます。

(2)なぜ役員・経営層が物流統括管理者を担うべきか

物流統括管理者には、企業全体の経営戦略に直結する物流改革を主導する責任が求められます。

そのため、物流効率化法では「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」と明記し、経営層・役員クラスの選任を原則としています。

背景には、物流課題がもはや現場レベルでは解決できない構造的問題に発展しているという現状があります。
荷待ち時間の長期化、ドライバー不足、コスト高騰といった課題は、調達・生産・販売などの事業構造全体に関係しており、経営判断を伴う意思決定が不可欠です。

物流統括管理者には、中長期計画の作成、関係各部門間の連携体制の構築、取引先との連携・調整など、部門横断的かつ対外的な業務が求められるため、経営幹部レベルの決定権限が必要とされています。

ただし、現場の実務知識を補うために、経営層のもとに専門部署や担当マネージャーを配置する「補佐体制」の構築が現実的ともされています。

5.物流統括管理者の義務化に際する実務対応ステップ

物流統括管理者制度の施行により、自社の物流体制全体を再構築する対応が求められます。

ここでは、義務化対応を進める際の基本ステップを4段階に分けて解説します。

(1)対象判定とデータ棚卸

まずは、自社が「特定荷主」または「特定連鎖化事業者」に該当するかを判断します。
この対象判定を行うには、まず社内に散在する物流関連データを整理・可視化する必要があります。
主に確認すべきデータは以下のとおりです。

  • 年間の出荷・受入実績(重量・件数・拠点別内訳)
  • 委託物流会社別の契約数・輸送量
  • 生産・調達・販売に関わる物流コストとリードタイム
  • グループ会社・関連会社を含む物流量の合計値

取扱貨物重量の算定にあたっては、実測のほか、単位重量×数量、トラックの積載量×台数、容積換算(例:1㎥あたり280kg)などの方法が認められています。また、郵便物、30kg以内の宅配貨物(合計150kg未満に限る)、軽量な資材・事務用品(取扱貨物の1%程度まで)は算定対象から除外できます。なお、貨物を中継輸送する場合は、貨物自動車を手配するごとに重量を計上する必要があります。

これらの情報を棚卸することで、自社が義務化対象に該当するかどうかを定量的に把握できます。
対象判定の段階で正確な数値を把握しておくことは、後続の「届出」「報告」プロセスを円滑に進めるうえでも不可欠です。

(2)物流統括管理者の選任と社内規定整備

対象企業に該当する場合は、次のステップとして物流統括管理者の選任と、これに関連する社内規程の整備を行います。

特定荷主の指定を受けた後、すみやかに物流統括管理者を選任し、荷主事業所管大臣に届出を行う必要があります。(遅くとも中長期計画・定期報告を提出するまでが目安)

なお、物流統括管理者は事業者ごとに選任する必要がありますが、特定の人物がグループ会社内の複数事業者の物流統括管理者を兼任することは可能です。ただし、兼任するためには、当該人物がそれぞれの事業者に籍を置いている必要があります。

選任時には、以下のような基本方針を明文化しておくとスムーズです。

  • 経営会議などでの正式な選任決議(取締役会承認を含む)
  • 組織上の位置付け(経営層直轄・全社統括ポジション)
  • 物流効率化に関する責任範囲と権限の明示
  • 担当部門・補佐体制との連携ルール

また、物流統括管理者の活動を支えるために、社内規程や運用マニュアルの改訂も欠かせません。
具体的には、物流に関する意思決定プロセスや、改善施策の承認フロー、定期報告の提出方法などを社内ルールとして明確化します。

複数部門が関与する大企業では、調達・生産・販売・在庫などの関連部署を含めた「物流効率化委員会」や「横断プロジェクトチーム」を設け、物流統括管理者を中心とした全社的な連携体制を整えることも求められます。

(3)届出・報告体制構築

物流統括管理者の選任後は、荷主事業所管大臣(国土交通省・経済産業省・農林水産省のうち、当該事業を所管する大臣)への届出と定期報告の体制整備を行う必要があります。
これは、物流効率化法に基づく義務であり、指定を受けた特定荷主・特定連鎖化事業者は、毎年度の計画策定および実績報告を行うことが求められます。

届出の流れは、以下のような段階で構成されます。

  • 物流統括管理者の選任届の提出(事業者指定後すみやかに遅くとも中長期計画・定期報告の提出時までが目安)
  • 中長期計画(物流効率化計画)の作成・提出(初回は2026年度10月末、以後は計画内容に変更がない限り5年ごと7月末。変更がある場合は翌年度7月末)
  • 年次報告書による進捗・成果・課題の報告(特定荷主の指定を受けた年度の翌年度から、毎年度7月末)

この一連の手続きを円滑に進めるためには、荷主側と物流事業者、経理部門・生産管理部門などのデータ収集・報告の責任者を明確化し、提出期限を管理する仕組みを整えることが重要です。

報告内容には、判断基準の遵守状況(積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮)、荷待ち時間等の計測結果、寄託先との連携状況などが含まれます。特に荷待ち時間等の計測については、取扱貨物重量の半分程度をカバーする施設を対象に、四半期ごとに連続5営業日以上のサンプリング調査を行う方法が認められています。

また、経営層から現場まで一貫したデータ共有基盤を構築し、トラックドライバーの負荷軽減や輸送効率化の取り組み状況を継続的に把握できる体制を整えることが推奨されます。

(4)物流改善・DX化・連携強化

物流統括管理者を選任し、届出・報告体制が整った後は、企業は本格的な物流改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、及びサプライチェーン上の連携強化に取り組む必要があります。

1章で紹介した荷待ち時間・荷役時間といった課題を解決するため、物流効率化法の判断基準では、荷主に対して「積載効率の向上等」「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」の3つの措置が努力義務として課されています。改善の観点としては、輸送ルートの見直し・積載率の向上・共同配送の検討・保管倉庫の集約などが挙げられます。

具体的な取り組み例としては、積合せや配送の共同化に必要な時間の確保、貨物量の平準化、配車計画・運行経路の最適化、到着時刻表示装置(バース予約システム)の導入、パレット等の輸送用器具の導入、標準仕様パレットの使用、フォークリフトや荷役人員の適切な配置、事前出荷情報の通知などが挙げられます。

これらの取り組みを実行するためには、物流統括管理者が経営戦略の一環として物流改革を位置づけ、各部門・関連企業を巻き込んだプロジェクト体制を構築することが重要です。改革の効果を定量的に評価できるように、KPI(輸送コスト/積載率/ドライバー休息時間/荷待ち時間/荷役等時間など)を設定し、定期的な見直しサイクルを実装しておくべきです。

6.まとめ

本稿では、物流統括管理者の義務化について、その背景、対象企業、資格要件、そして実務対応ステップを包括的に解説しました。

物流効率化法への対応は、企業の競争力強化に不可欠な戦略的取り組みです。

本制度への理解を深め、計画的な準備を進めることが、持続可能な物流体制構築につながります。

監修

10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。

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