物流の運行管理システムは?比較ポイント、無料を含むおすすめ15選

運行管理における運転時間の計算は?2日平均、16時間を超えた場合

運行管理における運転時間の計算は、ドライバーの健康状態や過労を予防するためにも上限規制の遵守が求められます。

本記事では、運行管理における運転時間拘束時間計算方法を解説します。それぞれの定義やどのような問題が生じるのか等も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 運行管理における運転時間と計算方法

運行管理における運転時間と計算方法について、定義等も交えて解説します。

(1)運転時間の定義

運転時間とは、トラックドライバーの労働時間中における車両を運転している時間のみを指します。回送運行は運転時間に含みますが、点呼や点検等の時間は運転時間に含みません。

運転時間は、一運行と1日で意味合いの範囲が異なります。

一運行の運転時間1人の運転者が1回の運行で運転した時間
1日の運転時間1人の運転者が24時間以内に運転した時間

一運行とは、回送運行を含む運転を開始してから終了するまでを指し、1日の運転時間は24時間以内に運転した時間の合計で計算します。

(2)連続運転時間とは

連続運転時間とは、トラック運転者が一度に運転できる最大時間であり、具体的には4時間以内と定められています。

連続運転時間の4時間以内に少なくとも30分以上の休憩が必要で、分割して合計30分にあわせることも可能です。

例外として、やむを得ない場合は4時間30分まで延長できますが、前提は4時間以内の休憩となります。

画像引用:トラック運転者の改善基準告示(2024年4月1日施行)|厚生労働省

(3)1日の運転時間の上限と2日平均運転時間の計算方法

自動車運転者の労働時間等の改善基準告示」によると1日の運転時間は、原則として9時間以内です。1日の運転時間に関する基準と例外は、以下のとおりです。

詳細
基準1日あたり2日間の平均運転時間が9時間以内に収まるよう管理
例外1週間に3回まで9時間を超える運転が認められる※超過の翌日8時間以上の休息期間が必要

1日の運転時間を計算する際には、以下の規制内容にも配慮する必要があります。

  • 一運行の運転時間:連続運転時間が4時間を超えないようにする
  • 運転時間の上限規制:2週間平均で1週間あたり44時間に収める必要がある

例えば、1日に9時間以上の運転が発生し、2日間の平均運転時間が9時間を超過していないかを確認する場合、特定の日と前日、または特定の日と翌日の運転時間を足し、2で割ります。いずれかが9時間を超えると違反となります。

画像引用:運転時間による基準の考え方 |厚生労働省

(4)1週間の運転時間の上限と2週平均運転時間の計算方法

1週間あたりの運転時間は最大44時間に制限されています。これは運転時間のみが対象で、荷待ちや休憩は含まれません。
2週間の総運転時間を合計し、1週間あたりの平均運転時間が44時間以内でなければなりません。

例えば、1週目が42時間、2週目が46時間なら平均44時間で基準内ですが、1週間でも46時間を超えると違反となります。

画像引用:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント|厚生労働省

2.運行管理における拘束時間と計算方法

運行管理における拘束時間と計算方法

運行管理における拘束時間は、運転手が企業に拘束される全体の時間を指し、運転時間はその中でも実際に車両を運転している時間です。

以下では、運行管理における拘束時間の概要計算方法を解説します。

(1)拘束時間とは?運転時間との違い

拘束時間とは、始業から終業までの全ての時間を指し、運転や待機、整備、休憩などの時間が含まれます。

一方、運転時間はその中で実際に車両を運転している時間のみを指します。

例えば、1日の拘束時間が13時間の場合、運転時間が9時間であっても、残りの4時間は休憩や荷待ち等の時間となります。

画像引用:拘束時間と休息期間について|厚生労働省

(2)1日の拘束時間の上限と計算方法

改善基準のポイント

トラック運転手の1日の拘束時間は、改善基準告示により原則13時間までと定められています。ただし、繁忙期などの業務の必要性に応じて最大16時間まで延長が可能で、週2回までこの延長が認められます。

長距離運行後は、最低8時間の連続休息期間が必要です。

計算方法は、始業時から24時間以内の全活動時間を基準にします。例えば下図のように月曜日の朝8時に始業した場合、火曜日の8時までを1日の拘束時間として求めます。

よって下図における月曜日の拘束時間は、始業からの13時間と、休息期間をはさんだ翌火曜日の6時~8時までの2時間を合計した15時間になります。

(3)1ヵ月の拘束時間の上限と計算方法

1ヵ月の拘束時間に関する制限は、以下のとおりです。

原則284時間まで
例外労使協定の締結で6ヵ月まで310時間まで延長可能連続3ヵ月以上で284時間を超えられない

1ヵ月の拘束時間に関する計算方法は、日ごとの拘束時間の合計です。

(4)拘束時間が16時間を超えたときの対応

トラック運転手の拘束時間は労働基準法で明確に管理され、1日の上限は通常13時間例外時でも15時間までです。

1週間の運行がすべて長距離運行で宿泊を伴う場合は例外的に16時間まで拘束時間を超えることが認められますが、16時間を超える拘束は週2回までに制限されます。ただし翌日には12時間以上の休息の確保が必要であり、ケースに応じた対応が必要となります。

3.運行管理における運転時間を計算する際の問題

以下では、運行管理における運転時間を計算する際の問題について解説します。

(1)渋滞などによる運転時間の延長

トラック運転手の運行管理では、渋滞や事故による運転時間の延長が課題となります。

駐停車できないなどの例外となる状況下で、連続運転時間を通常の4時間から30分まで延長可能です。

なお交通事故や自然災害などの予期しない渋滞などが起きた場合、その時間は運転時間に含まれず記録にが必要となります。

(2)荷待ち時間の発生

荷待ち時間が長引くと、当初の計画よりもドライバーの拘束時間が延長され、改善基準告示が定める1日の拘束時間や休息期間を超過するリスクが高まります。

荷待ち時間の主な原因は荷主のスケジュール調整の遅れ受け入れ体制の不備が多い傾向にあります。

(3)運行管理業務の熟練度

運行管理業務は、ドライバーの運転時間休息時間の管理、シフト調整、法令遵守など、複雑かつ重要な要素が絡み合うため、高い熟練度が求められます。手動でこれらの業務を行う場合、担当者の経験やスキルによって業務の正確さや効率が左右されることがあります。

運行管理業務の効率化と精度向上のためには、運送業向けのシステム導入が非常に有効です。システムを導入することで、担当者の熟練度に依存せず、正確な運行管理が可能になり、ミスを防ぐことができます。

4.運転時間の計算を効率化できる運送業向け運行管理システム5選

(1)物流基幹システム AIR

引用:五十鈴株式会社

物流基幹システム AIRは、運行管理や運転時間の計算を自動化し、正確かつ効率的な業務運営をサポートする強力なツールです。

高精度な配車計画を自動で作成できる機能を備えており、法令遵守と効率化の両立を目指すことができます。

以下では、多機能でありながらも操作しやすさにこだわったAIRの操作画面を紹介します。


メインメニュー


・配送量やドライバーの状態をリアルタイムで監視
・直感的に操作しやすいデザイン性


配送依頼登録


・登録業務の効率化
・データアップロードによる登録も可能


配車計画

・配車後、地図で経路を確認可能
・携帯アプリと連動し、配送進捗の確認ができる


運転日報入力


・日報管理・入力の効率化
・ドライバー用アプリの使用で運行情報が連携される


請求


・輸送金額を荷主・明細単位ごとに確認できる
・確定後はExcel・PDFで請求書を出力可能

1つのプラットフォームで受注、配車、運転日報、請求、仕入の機能を備えるため、物流における多様な業務を一元管理できます。複数のシステムを使い分ける必要がなく、クラウドベースで管理できるため、導入時の負担まで軽減できます。

AIRで配車業務や労務管理といった日々の業務を強力に効率化してみましょう。

お問い合わせボタン
対応業務配車業務の自動化・最適化
・労務管理や運転日報登録の効率化
受注、配車、運転日報、請求、仕入れを一元管理
所在地東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル
価格・料金プランこちらからお問い合わせできます

(2)Cariot

引用:株式会社フレクト

Cariotは、ドライバーの運行時間や拘束時間を適切に管理し、リアルタイムで車両の位置情報を活用することで、企業の安全管理と業務効率化を支援します。

主な機能には、運行時間の自動計算、リアルタイム監視、運行履歴を基にした日報の自動作成があり、違反防止や事故対応を迅速に行います。これにより、ドライバーの負担軽減や安全性向上、労働基準に基づく管理が徹底できます。

対応業務・運行時間の自動計算
・運転日報の自動作成
・運行履歴を基にした日報の自動作成
所在地東京都港区芝浦1丁目1番1号 浜松町ビルディング 11F
価格・料金プラン導入費用は0円※月額費用は契約台数とアカウント数に応じて設定(最低5台から)

(3)LINKEETH

LINKEETH
引用:株式会社JVCケンウッド

LINKEETHは、ドライバーの運転時間や拘束時間を正確に管理し、規制違反を未然に防ぎます。

リアルタイムで車両の位置情報を監視し、トラブルの際にも迅速な対応が可能です。日報の自動作成機能を備えており、手間を削減して業務効率を向上させます。

対応業務・車両の位置情報を監視
・危険運転をリアルタイムで検知
・オンラインでの安全運転フォロー研修
所在地神奈川県横浜市神奈川区守屋町3-12
価格・料金プラン月額1,980円~※機能によっては追加料金がかかります

(4)Loogia

Loogia
引用:Loogia

Loogiaは長距離トラック運転手の運行管理に役立つ機能として、運行時間の自動計算、リアルタイム監視、日報の自動作成を備えます。

運行時間や拘束時間を正確に計算し、法令違反を予防します。車両の位置情報をリアルタイムで把握し、迅速な対応が可能です。

対応業務・配車計画の自動作成
・運行時間の自動計算
・日報の自動作成
所在地愛知県名古屋市中区栄2丁目11番30号セントラルビル9階
価格・料金プラン拠点数、車両台数に応じた利用料金※具体的な金額は要問い合わせ

(5)DRIVE CHART

DRIVE CHART
引用:GO株式会社

DRIVE CHARTは、運行時間や拘束時間を自動で計算し、法令に基づく管理を効率化します。

リアルタイムで車両の位置や運行状況を監視でき、運行中の異常事態にも迅速に対応が可能です。運行履歴を基に自動で日報を作成する機能により、業務効率が大幅に向上します。

対応業務・運行時間や拘束時間を自動で計算
・車両の位置や運行状況の監視
・日報の自動作成
所在地東京都港区麻布台1丁目3-1
価格・料金プランお問い合わせからご確認ください

5.運行管理システムの選び方

運行管理システムの選び方

運行管理システムを導入する際、導入コストランニングコストのバランスを考えることが重要です。

運行管理システムの選び方
  • 導入コストとランニングコスト
  • GPS機能が搭載されているか
  • 外部システムとの連携
  • 自社にあったタイプ・機能か
  • 必要なデバイスとの相性

導入費用には、ハードウェアやソフトウェアの初期費用が含まれ、月額の利用料金はシステムの機能やサポート内容に依存します。

費用対効果を最大化するためには、自社の課題や目的に合った機能のシステムを選定することが不可欠です。

ここでは、運行管理システムの選び方を解説します。

(1)導入コストとランニングコスト

運行管理システムには、以下のように導入コストとランニングコストが必要です。

導入コストハードウェアやソフトウェアなどの初期費用
ランニングコスト月額費用となる機能の利用料金や保守費用

導入コストとランニングコストの費用はサービスによって異なるため、自社の予算にあわせて選びましょう。

運行管理システムで自社の課題解決を目指すには、目的に合った機能を備えるシステムを選ぶことが大切です。

(2)GPS機能が搭載されているか

運行管理システムにGPSが搭載されていると、車両のリアルタイム位置情報を正確に把握でき、運行管理者は車両の現在地や走行ルートを常に確認可能です。

効率的な運行管理が可能となり、無駄な走行や待機時間を削減できます。さらに事故やトラブル発生時に迅速な対応が可能となります。

(3)外部システムとの連携

運行管理システムが労務管理ソフトなどと連携できれば、運行記録や運転時間の自動連携により手入力が不要となる場合があります。

さらに運行管理システムで日報や月報の自動作成が可能となれば、手入力による無駄な作業が削減され、全体の効率がさらに向上します。

その他、スマホによるドライバーアプリが利用できれば、運転日報の作成や管理者とドライバー間でのコミュニケーションにも有効です。

(4)自社にあったタイプ・機能か

自社にあったタイプ・機能の運行管理システムを利用することで、課題の解決や業務効率化を強力に目指すことができるでしょう。

運行管理システムの主な機能は、以下のとおりです。

機能概要
位置情報の取得リアルタイムで車両の現在地を確認
走行記録の取得運行後に過去の走行データを見直せる
到着予定時刻の確認顧客や管理者が車両の到着時刻を把握
危険運転アラートドライバーの安全意識を高められる
運転傾向分析安全運転を促進する
アルコールチェック飲酒運転を予防
ルート提案最適なルートを自動提案

長距離運行が多い企業なら、位置情報の取得や走行記録の取得が備わった運行管理システムがおすすめです。安全運転の推進が目的なら、危険運転アラートの機能が備わったシステムが適しています。

(5)必要なデバイスとの相性

導入するシステムが自社で既に使用しているGPSデジタルタコグラフなどのデバイスと問題なく連携できることも、正確な運行管理を実現するためには重要です。

主に以下のデバイスとの相性を確認しましょう。

  • デジタルタコグラフ
  • アルコールチェッカー

アルコールチェッカーと連携が可能なら、アルコールチェックにかかる時間の省略や記録と管理に割く手間の軽減が可能です。

アルコールチェッカーなどの現在使用しているデバイスと運行管理システムが連携できるなら、日々の業務にかかる負担を軽減できるでしょう。

システム導入時にはデバイスごとの連携機能を事前に確認し、自社の運行管理業務に最適なものを導入することが必要です。

6.運行管理システムの導入事例

(1)運行状況を可視化でドライバーが運転に専念できる環境を構築

画像引用:https://www.kankeiren.or.jp/iot/pdf/iot27.pdf

株式会社ハンナではドライバー不足が深刻化し、効率的な運行の必要性が高まっていました。

運行管理システムの導入で運行計画作成の自動化運行状況の監視を行ったところ、一部社員への業務負荷を改善し、業務の標準化を図ることができました。

トラックドライバーの労働時間を均等化できて、社員の定着率が65%から90%になりました。

(2)運行管理システムでの業務量の把握で業務負担の平準化

画像引用:https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001408157.pdf

対象企業では、漠然とした長時間労働が問題視されていました。

運行管理システムの導入後は、各ドライバーの運転時間・拘束時間を一元管理することで業務量が把握できるようになりました。

データを基に運行経路の見直しが可能となり、業務の標準化を行っています。

またGPSで現在地を把握できることで、急な集荷依頼に対しても近くのドライバーによる柔軟な対応を行えるようになりました。

7.まとめ

運行管理業務において、正確な運転時間の計算は、ドライバーの安全確保や法令遵守に不可欠な要素です。しかし手動での運転時間管理や計算は、担当者の熟練度に依存しやすく、業務負荷が高まることがあります。

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