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手書きの配車表の問題点とは?エクセルの作成方法、配車管理システム

手書きの配車表は長年にわたり多くの企業で使用されてきた実績がありますが、その一方で記載ミスや修正の手間が発生しやすいなどの課題が浮き彫りになっています。

2024年の働き方改革改正により、年間残業時間の上限規制などが強化される中で、効率的な業務フローの構築が企業の競争力に直結する時代となり、システム導入を検討している企業も増えています。

本記事では、配車表の基本的な役割や、手書きで管理することの具体的なデメリット、そしてデジタル化やシステム導入を検討すべき理由について、わかりやすく解説します。

目次

1.配車表とは?

配車表とは?

配車表とは、配送業務運行管理を効率的に行うために作成される運行計画表のことです。

ここでは、配車表の定義や管理方法等について解説します。

(1)配車表とは?

配車表は、ドライバーにおける1日のスケジュールを配送指示ごとにひと目で確認できる一覧表です。具体的には以下の情報を記載します。

  • 配送先
  • 担当ドライバー
  • 使用車両
  • 出発・到着日時
  • 所要時間
  • 走行ルート
  • 経由地
  • 荷物の種類や量

運送会社や配送会社では、配車表を管理システムやエクセル、ホワイトボード、手書きなどで作成し、社内で共有します。作成方法ごとの特徴は、以下のとおりです。

作成方法特徴
管理システムデータ共有がスムーズで、記載漏れや誤記の防止が期待できる
エクセル導入コストが低く柔軟性に優れるものの、手動管理の負担が増える場合もある
手書き簡易で迅速な作成が可能な一方で、情報更新や保存に課題がある

配車担当者は、荷物の量や配送先に応じて車両とドライバーを適切に割り振り、効率的な配送計画を立てます。これにより、ドライバーは担当する配送ルートや時間を明確に把握でき、誤配送や配送遅延を防ぐことが可能です。

また、各車両の走行時間や空き時間も把握できるため、効率的な配送計画の立案にも役立ちます。

(2)配車表の管理方法

配車表の管理方法は、紙以外にも、データやクラウドによる管理があり、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。

管理方法の種類メリットデメリット
紙媒体・初期コストがほとんどかからない
・簡単に記入・修正できる
・情報の更新・共有が非効率
・保存や検索が困難
・ミスや漏れが発生しやすい
エクセル・初期コストが低い
・データの編集や検索がしやすい
・手動入力のためミスが発生しやすい
・複数人での同時編集が難しい
・データ分析が手間
配車管理システム・自動化により入力ミスを防止
・データのリアルタイム共有が可能
・分析や最適化が容易
・導入・運用コストが発生
・システム障害のリスクがある

以下で、それぞれの配車表の管理方法について解説します。

①紙媒体

紙媒体での管理は、物流業界で長く活用されてきた方法です。配車担当者が荷物の伝票や地図を確認しながら、配送ルートを手書きで決定し、配車表を作成するという手法は、現在でも親しまれているケースがあります。

経験豊富なベテランの配車担当者は、知識やスキルを活かしながら紙媒体で柔軟に対応していることも少なくありません。

手書きによる管理は、シンプルな運用を好む現場には適している場合もあります。

②エクセルでのデータ保存

エクセルは、計算や集計が得意なソフトウェアであり、無料または低コストで導入できる点が魅力です。

インターネット上には無料でダウンロードできる配車表テンプレートも多数公開されており、手軽に運用を開始できるという特徴があります。

しかし、配車表への入力自体は依然として手作業となるため、人的ミスのリスクは紙媒体と同様に存在します。

さらに、誤操作で作成した配車表が消失するトラブルや、リアルタイムでの情報共有が難しい等の課題も抱えています。

こうした背景から、エクセルでの運用が難しいと感じた場合には、配車管理システムへの移行を検討することも選択肢の一つです。

③配車管理システムの活用

配車管理システムの活用

配車管理システムは、荷物情報、顧客情報、ドライバー情報を一元管理し、効率的な配送計画ルート作成を支援するツールです。

手書きやエクセルとの大きな違いは、作業者の経験やスキルに依存せず、誰でも一定水準の配車計画を立てられることです。

全ドライバーの配送ルートを一覧で表示し、リアルタイムでの情報更新が可能であり、配車漏れや重複配車を防止する等の柔軟な対応を行えます。

これからの物流業界で競争力を高めるために、配車管理システムの導入は欠かせない選択肢と言えるでしょう。

(3)配車業務の課題

配車業務は運転作業と異なり身体的負担はどちらかといえば小さいものの、業務上の課題が多く、効率的な運営を妨げる要因となっています。現在の配車業務における主な課題として、業務の属人化があります。

業務の属人化とは特定の個人に業務が依存している状態であり、経験で培われた暗黙知やノウハウが1人に蓄積され、他の担当者と共有されにくい状況となることです。

人材育成の妨げとなるだけでなく、退職により円滑に業務を行えなくなるリスクもあり、事業継続性にも関わります。

配車業務の複雑さと相まって、業務の属人化は運送業界全体の課題として認識されています。

2.手書きやエクセルの配車表による問題点

手書きやエクセルの配車表による問題点

手書きやエクセルは簡単に導入できることがメリットですが、運用面での課題を複数抱えています。

ここでは手書きやエクセルの配車表による問題点を解説します。

(1)手書きでの配車表の問題点

現在の物流業務で求められる迅速さや正確性を考えると、手書き管理では対応が難しいケースも増えています。具体的なデメリットは以下の通りです。

配送計画変更時の負担配車計画の書き直しに時間と手間がかかる
リアルタイムでの情報共有が困難最新の情報を即座に共有することが困難
保管場所の確保保管に要するスペースが必要

ドライバーの体調不良や遅延が発生した場合、他のドライバーへの割り振り変更が必要になりますが、紙媒体では全体のスケジュールを一から見直し、手作業で書き換える手間が発生します。

一人の担当者がドライバーの行き先を変更した場合、手書きでの配車表ではその情報が他の担当者や関係者に伝わるまでにタイムラグが生じます。結果として、ダブルブッキングや誤配送といった企業の機会損失につながる問題につながる可能性もあるでしょう。

さらに、過去の配車記録を保管する場合、大量の紙が必要になり、長期保存が求められる業務では保管スペースの確保が難しくなります。コストや日常管理の面においても、デメリットが多いです。

(2)エクセルでの配車表の問題点

エクセルを使った配車表の作成は、手軽にデジタル化を進められますが、業務規模が拡大するにつれて以下のような課題が顕著になります。

シート管理の非効率性データ量の増加に伴う検索性の低下
データの不安定性と共有の制約複数スタッフが同時にエクセルを操作できない

シート数が増えると、必要な情報を探し出すために多大な時間がかかります。

たとえば、特定の配送日の記録を参照する際、ファイルやシートを一つひとつ確認する必要があり、業務効率が低下する可能性があります。

上記の課題は、複数拠点を持つ企業や大規模な配送網を運営する事業者にとって、業務効率の低下を招く恐れがあります。

3.配車表の作り方

ここでは、配車表の作り方を解説します。エクセルの無料テンプレートも配布しているので、必要に応じてご活用ください。

(1)エクセル

エクセルは配車表の作成において手軽なツールであり、以下の手順で作成できます。

  • テンプレートの準備
  • 必要項目の設定
  • 保存とバックアップ

エクセルでの配車表の作成は、以下の動画が参考になります。

(2)手書き

小規模な運送業務や急なスケジュール変更時には、手書きでの管理が役立つ場合もあります。手書きでの配車表作成には、以下の方法があります。

  • 紙媒体で作成
  • ホワイトボードを活用

配送先やドライバー名、車両情報、出発・到着時間などの情報を、A4サイズの紙に配車表に記入するのが一般的です。

その他にも配車表の枠組みがあらかじめ書かれたホワイトボードを利用する方法もあり、ホワイトボードはネット通販等で手軽に購入可能です。

(3)配車管理システム

配車管理システムを活用して配車表を作成することで、業務の効率化と正確性が大幅に向上します。AIや高度なアルゴリズムが搭載されているものが多く、配車表作成において活用が可能な以下のような機能が備わっています。

最適な配車計画の提案ルートや車両の特性を考慮・学習する
効率的なルートを瞬時に計算燃料消費や運行時間を最小限に抑えられる
法規制も自動で考慮拘束時間や休憩時間などの上限規制に対応

また、突発的な事故やトラブルが発生しても、車両状況がリアルタイムでわかるので、適切な割り当て対応を行うことが可能です。

導入にあたっては、自社の業務に適した機能を備えるシステムを選定することが、最大限の効果を引き出すポイントとなります。

4.配車管理システムのおすすめ

(1)トータル物流基幹システムAIR

引用:五十鈴株式会社

トータル物流基幹システムAIRは、物流業務全般を一元管理できる統合型のプラットフォームです。

受注管理から配車計画・運転日報の作成・請求処理・仕入管理まで、物流業務のあらゆる工程を連携させることが可能です。

AIRは操作性だけでなく、視認性にも配慮されており、画面上の重要な情報が強調されます。そのため、デジタル化への抵抗がある現場でも導入しやすく設計されています。


メインメニュー


・配送量やドライバーの状態をリアルタイムで監視
・直感的に操作しやすいデザイン性


配送依頼登録


・登録業務の効率化
・データアップロードによる登録も可能


配車計画

・配車後、地図で経路を確認可能
・携帯アプリと連動し、配送進捗の確認ができる


運転日報入力


・日報管理・入力の効率化
・ドライバー用アプリの使用で運行情報が連携される


請求


・輸送金額を荷主・明細単位ごとに確認できる
・確定後はExcel・PDFで請求書を出力可能

運送業務における個別のツールではなく、業務全体を包括的に効率化したい方に最適なシステムです。導入により、物流業務全体の生産性向上管理工数の削減を手助けしてくれます。

お問い合わせボタン
主要機能・物流業務の業務を一つのプラットフォームで管理
・配車計画の自動最適化
・リアルタイムでのデータ管理(複数営業所間での連携可能)
所在地〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル
料金こちらからお問い合わせできます

(2)Loogia

Loogia
引用:Loogia

Loogia(ルージア)は、AIを活用した効率的な配車計画が得意なシステムです。

実際の走行データを元に算出して配車計画を作成できるため、精度の高い配車を実現し、配送現場の効率的な業務遂行をサポートします。

さらに、専任のスタッフが導入をサポートしてくれるので、システムの知識が少ない方でも安心して導入を任せられるでしょう。

主要機能・AIを利用したズレない配車計画
・誰でも簡単に操作できるシンプルさ
・安心の導入サポート
所在地〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2-11-30 セントラルビル 9F
料金こちらからお問い合わせできます

(3)ビークルアシスト

ビークルアシスト
引用:パイオニア株式会社 

ビークルアシストは、通信型ドライブレコーダーやカーナビと連携し、事故リスクの低減と運行管理業務を実現する運行管理システムです。

わき見運転や居眠り運転、車間距離不足などのリスク行動を画像解析AIが検知し、運転者と管理者双方にリアルタイムで通知してくれます。

また、車両位置情報と配送進捗状況をリアルタイムで表示することで、顧客から問い合わせがあったときにドライバーへ確認する必要がなくなります。

主要機能・画像解析AIによる事故リスクの低減
・リアルタイムな稼働確認が可能
・初期支援等の導入サポートが充実
所在地〒113-0021東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコート
料金こちらからお問い合わせできます

5.配車管理システムのメリット

配車管理システムのメリット

配車管理システムのメリットは、業務の正確性スピード感が向上する等さまざまです。ここでは配車管理システムの導入によって、期待できるメリットを解説します。

(1)業務における正確性の向上

配車管理システムは、配車業務における正確性の向上ドライバーの仕事量を公平に配分し、業務の効率化と職場の満足度向上を実現します。

経験に依存していた配車業務をデータに基づいて行えるようになれば、経験を問わずスムーズに配車業務を遂行できる環境を提供します。

また、システムを活用することで、ドライバーの業務量を正確に数値化できます。

正確な業務量を可視化することで、各ドライバーに対して公平な配車計画が立てられ、特定のドライバーへの業務集中を防ぐことが可能です。

(2)配送ルート作成の効率化

配車管理システムは、リアルタイムの交通情報道路状況を考慮し、現状において最も効率の良い配送ルートを自動で計算することで、車両の移動距離や所要時間を最小限に抑えられます。

また、複数の配送依頼を組み合わせて1つのルートとして統合することで、無駄な移動を削減し、燃料費や人件費の節約につなげることが可能です。

さらに、事故情報や渋滞予測も考慮した配送タイミングの提案により、車両の待機時間を最小限に抑え、配送効率を最大化できます。

(3)急な計画の変更に柔軟に対応

事故や突発的な計画変更等の計画変更は日常的に発生しますが、配車管理システムには想定外のトラブルにも柔軟に対応できる以下の機能が備わっています。

リアルタイム位置情報追跡車両の現在地や配送状況を瞬時に確認できる
ルート再計算機能渋滞や事故情報を踏まえた最適な配送ルートの再提案
一元管理ダッシュボード車両や配送先情報を一つの画面で確認できる

なお、一部の配車システムには、配送先からの帰り道でも荷物を積めるよう自動で提案してくれる機能が備わっており、空車での走行時間が減らせることで、1台あたりの売上アップと燃料費の削減が実現されるでしょう。

車両情報をリアルタイムで把握し一元管理することで、トラブルへの迅速かつ企業競争率を高められる対応が実践できます。

(4)運賃交渉のエビデンス

配車システムによる分析データは、荷主との価格交渉時における有効な交渉材料となります。

客観的な数値(走行距離、稼働時間など)や視覚的な配送ルート情報は、運賃改定の妥当性を示す根拠として活用が可能です。

具体的には遠距離配送時の運賃増額交渉や、複雑なルートにおけるコストの説明等に用いることができ、荷主が理解しづらい配送条件(渋滞、悪路、複数経由地など)があったとしても、ルートマップで示し、適切な追加費用の説明を行えます。

定量的なデータに基づいた提案は、荷主の理解を得やすく、適正な運賃交渉を進める上で活用できます。

(5)人材不足の解消

配車管理システムの導入は、物流業界で深刻化している人材不足の緩和に貢献する可能性があります。

業務効率が向上し、限られた人材でも業務を十分に遂行できる体制を構築できるため、離職率低下既存の人材の定着率向上が期待できるでしょう。

システムの利用による残業時間の削減や業務の見える化など、労働環境が改善されれば、物流業界に人材が流れてくる可能性もあります。

システム導入による効率化の実現により、物流業界の人手不足に対応することが可能です。

6.まとめ

今回は、配車表の基本的な役割や、手書きで管理することの具体的なデメリット、そしてデジタル化やシステム導入を検討すべき理由について解説しました。

配車管理システムを利用すれば、配送ルート作成の効率化や急な計画変更にも柔軟に対応できるため、手書きの配車表で生じるさまざまな課題解決に役立ちます。

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