バース予約管理システムを利用することで、ドライバーや運送会社は指定された時間にスムーズにバースを利用でき、荷待ち時間の改善や配送スケジュールの安定化などの効果が期待できます。
この記事では、おすすめのバース予約管理システムなどを解説します。
1.バース予約管理システムとは?
荷役業務の円滑化や混雑の解消を目的に導入され、トラックバースにおける課題の解消に役立てられます。
(1)トラックバース予約システムの主な機能
トラックバース予約システムの主要機能は、バース予約や予約状況の確認などです。
バース予約・受付 | ドライバーの予約申請や倉庫側からの予約通知などに対応(複数の予約パターンに対応している場合もある) |
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バース割り当て | 予約時間から空いているバースへ自動的に割り当てを行う |
予約状況確認 | 予約状況や荷卸し状況などをリアルタイムで確認できる |
動態管理 | トラックの位置情報や到着予測時間がわかる |
ドライバー受付 | ドライバーのスマートフォンなどから受け付けができる |
ドライバー通知 | ドライバーへのバースへの案内をSMSやLINEなどで通知する |
複数箇所積み降ろし | 複数拠点での作業の受付を一回の予約で完了できる |
データ分析 | 待機時間や作業時間などを自動で集計してグラフ化する |
システム連携 | WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)など連携できる |
上記の機能はあくまでも主要なものであり、トラックバース予約管理システムによってはその他の機能を備えているシステムもあります。
(2)トラックバースにおける課題
トラックバースにおける課題としては、荷待ち時間の長さやリソース不足、倉庫内オペレーションの非効率性が挙げられます。荷待ち時間が頻発することで、ドライバーの長時間労働や配送遅延といった問題も生じるでしょう。
トラックバースでのスムーズな作業を妨げるもう一つの主な要因が、です。具体的には、以下のような状況が作業の滞りを引き起こします。
トラックバースで発生する問題は、現場の効率性を低下させるだけでなく、物流全体や関連する業界に幅広い影響を及ぼす可能性があります。
待機時間の増加 | ・ドライバーの労働時間増加 ・人件費が増大する |
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バースの利用効率の低下 | ・荷物の積み下ろしの遅れで、バースが必要以上に占有される ・全体の物流効率が低下する |
倉庫オペレーションへの影響 | ・荷役作業の遅延が在庫管理システムに影響し、受注対応に問題が発生する ・不均一な作業負荷でスタッフのモチベーション低下し退職率が高まる |
サプライチェーン全体への影響 | ・納期遅延が連鎖し、取引先の信頼を損なう ・在庫切れが販売機会の喪失につながる |
環境問題への影響 | ・待機中の燃料消費が増える ・交通渋滞や騒音、排気ガスの問題を引き起こす |
人手不足の悪化 | ・物流業界全体の人手不足を加速 ・スタッフ補充に必要な人件費や採用コストが増大 |
取引関係への影響 | ・荷主が新たな配送業者に切り替えるリスクが増加する ・遅延や不適切な対応による契約違反として罰金が科される場合がある |
トラックバースの課題を解消するためには、バース予約管理システムの導入が有効です。システムで発着時間を事前に調整し、荷待ち時間の短縮やバース利用効率の向上が期待できます。
2.バース予約管理システムのメリット
ここでは、トラックバース予約管理システムのメリットを解説します。
(1)バース内の混雑解消
バース予約管理システムは、トラックの到着予定時刻を事前に予約・管理する機能を提供します。これにより、以下のような改善が期待できます。
到着時間の分散 | システムが時間帯ごとの予約を調整するため、ピーク時の集中を回避できる |
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荷待ち時間の短縮 | トラックが指定された時間に到着・作業を開始できるため、待機時間が減少する |
作業スケジュールの最適化 | 倉庫スタッフや荷役設備の稼働率を均等化し、効率的な作業が可能になる |
バース予約管理システムは、混雑緩和を通じて物流業務全体の効率化を実現することで、現場作業の円滑化とコスト削減を同時に達成することが可能となります。
(2)作業効率化
トラックバース予約管理システムは、トラックの到着時間を正確に把握・調整できるため、事前に効率的な作業計画を立案することが可能になります。
バース内での作業がスムーズに進行し、全体的な業務効率が向上します。作業時間の短縮や倉庫スタッフの負担軽減などの作業効率化が期待できます。
作業時間の短縮 | 荷役作業や入出荷作業の時間短縮で、1日に処理できるトラックの台数が増加する |
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倉庫スタッフの負担軽減 | スタッフの過剰負荷が軽減され、均一な作業量の配分が可能になる |
全体業務の効率向上 | 入出荷作業が迅速化されることで、物流全体の流れが最適化される |
トラックバース予約管理システムは物流業務全体の生産性を向上させ、企業競争率を高めるためにも有効です。
(3)CO2排出量の削減
トラックバース予約管理システムは、環境問題への取り組みにも貢献できる重要なソリューションです。
待機中のアイドリング時間が減少することで、CO₂排出量が大幅に削減され、燃料消費量の削減により運送コストの低減が可能です。
さらに待機時間削減によるCO₂排出量削減は、SDGsやカーボンニュートラル目標の達成に向けた企業の責任ある活動の一環として高く評価されるでしょう。
(4)蓄積されたデータの分析
トラックバース予約管理システムを活用することで、ドライバーの入退場時間や作業時間などのデータが自動的に蓄積されるため、現場運用の課題を特定し、具体的な改善策を立案するための重要な指標を得ることが可能です。
データ分析では、以下のような効果が期待できます。
作業効率の向上 | 特定のプロセスでの遅延を特定できる |
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トラブル傾向の把握 | 故障予防のメンテナンススケジュールを効率的に組める |
リソース配分の最適化 | ピーク時間帯に合わせた柔軟な運用が可能となる |
トラックバース予約管理システムは、物流業務全体における可視化を実現し、継続的な業務改善をサポートします。
(5)荷待ち時間の解消
トラックバース予約管理システムを導入することで、バース内の混雑が緩和され、ドライバーの荷待ち時間を大幅に短縮することが可能です。
バース内の作業がスムーズに進むことで、トラックの回転率が向上し、ドライバーの次の配送先への移動が計画通り進められるようになります。
(6)コスト削減
トラックバース予約管理システムによる作業効率化や荷待ち時間の短縮を通じて、直接的かつ間接的なコスト削減につながります。
人件費の削減 | スタッフの残業が減少し、人件費を抑制できる |
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燃料費の削減 | トラックのアイドリング時間が減少し、燃料消費を抑えられる |
運営コストの最適化 | 設備の無駄な稼働を防ぐことで、運営コストが削減される |
効率化によるコスト削減は、利益率の向上につながり、競争力のある価格設定や新規事業への投資も行いやすくなります。
3.バース予約管理システムのおすすめ10選
(1)トータル物流基幹システムAIR
トータル物流基幹システムAIRは、五十鈴株式会社が提供するトラックバース予約管理を含む高度な物流管理システムです。受注や運転日報、請求管理などを一元化し、バース内の作業効率化を実現します。
複数拠点の配車状況をリアルタイムで把握できるため、バースの混雑を事前に回避しやすくなり、荷待ち時間の短縮や効率的な配車により物流フローの最適化までサポートします。
以下でAIRの操作画面の一部を紹介します。
メインメニュー | ・配送量やドライバーの状態をリアルタイムで監視 ・直感的に操作しやすいデザイン性 |
配送依頼登録 | ・登録業務の効率化 ・データアップロードによる登録も可能 |
配車計画 | ・配車後、地図で経路を確認可能 ・携帯アプリと連動し、配送進捗の確認ができる |
運転日報入力 | ・日報管理・入力の効率化 ・ドライバー用アプリの使用で運行情報が連携される |
請求 | ・輸送金額を荷主・明細単位ごとに確認できる ・確定後はExcel・PDFで請求書を出力可能 |
トータル物流基幹システムAIRは、物流業務全体を効率化したい運送会社や物流事業者にとって、有益なソリューションとなるでしょう。
主要機能 | ・受注・配車・運転日報 ・請求・仕入を最適化できる幅広い機能 ・幅広い業務の一元管理・操作性に優れた画面 |
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所在地 | 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(2)MOVO Berth
MOVO Berthは物流拠点における荷待ち時間や荷役作業時間を記録し、実態の把握と生産性向上に貢献します。
事前にルールを設計することで、複雑な割り当てパターンにも柔軟に対応可能です。
ドライバー呼び出し機能、メールやSMSを活用して無駄なくバースへ誘導することができます。
また、データ分析機能を使って過去の傾向を把握し、効率的な改善策を立案できます。これらの機能により、物流拠点全体の運営効率を最適化します。
主要機能 | ・荷待ち時間の削減と実態把握 ・作業効率の向上 ・各拠点のデータを横断して一括管理 |
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所在地 | 東京都港区三田3-14-10 三田3丁目MTビル9F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(3)R-Teams
R-Teamsは、トラックバースなど物流現場での作業の可視化・効率化・省力化を実現します。
自社のニーズに合わせて機能を組み合わせることができ、業務内容に最適なシステム構築が可能です。
スマートフォンを活用したドライバーへの通知機能に対応しており、バース場外からのチェックインも可能です。作業のスムーズな進行と現場の効率化が図れます。
主要機能 | ・柔軟な機能選択 ・リアルタイムのバース管理 ・ドライバーとのスムーズな連携 |
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所在地 | 岡山県岡山市北区下石井二丁目10番12号 杜の街グレース オフィススクエア4階 |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(4)トラック簿
トラック簿は物流シェアリングプラットフォームで、トラックドライバーがトラックバースに到着後、スマートフォンやタブレット端末を使って簡単に受付ができます。
SMSやLINEを活用した呼び出し通知機能により、スムーズな誘導が可能です。
複数拠点での荷物の積み下ろしにも対応しており1回の受付で作業が完了するため、待機時間の短縮と作業効率化が実現します。
主要機能 | ・効率的な受付とバース割り当て ・作業進行と通知の効率化 ・運用最適化とデータ活用 |
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所在地 | 東京都中央区日本橋三丁目9-1 日本橋三丁目スクエア2F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(5)LogiPull
LogiPullではバースの受付からドライバーの誘導までの各作業の省人化をサポートしてくれるため、作業効率の向上につなげられます。
ドライバーの案内は自動音声通話で行われるため、受付に人員を割かずに利用できます。
事前に荷物の積み込みや積み下ろしに関する情報も確認できるため、作業に何人必要でどのくらい時間がかかりそうなのかといったことも予測可能です。
主要機能 | ・トラックバース予約受付・管理 ・GPS連携 ・入出荷予定取り込み |
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所在地 | 東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 JR恵比寿ビル |
料金 | こちらから資料をダウンロードできます |
(6)TruckBerth
TruckBerthは自社のニーズに合わせて予約形式を選べる点が特徴です。
ドライバー主導の予約形式ではドライバーがバースを予約し、倉庫側が承認後配送を行います。倉庫側主導では、荷物の量を基に倉庫側が予約スケジュールを組みます。
システムにログインするだけでサービスを利用でき、導入の手間も抑えられます。これにより予約管理が簡便化され、作業効率が向上します。
主要機能 | ・バース予約登録 ・予約状況確認 ・遅延アラート |
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所在地 | 東京都渋谷区恵比寿1-18-18 東急不動産恵比寿ビル6F |
料金 | こちらからお問い合わせできます |
(7)TruckCALL
TruckCALLは、LINE・電話・SMSを活用し、ドライバーの待機時間の解消とバース管理を効率化します。
ドライバーは受付時に発行されるQRコードを読み込むだけで、その後はLINEなどで呼び出し待機できます。
倉庫側は呼び出しボタンをタップするだけで簡単に呼び出しが可能で、待機時間が可視化されるためドライバーがどれくらい待っているかを考慮しながらバース管理を行えます。
主要機能 | ・日時指定予約に対応 ・プッシュ通知のメッセージ内容を自由に設定 ・待ち時間統計データを閲覧 |
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所在地 | 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目4−4 |
料金 | こちらから資料請求できます |
(8)Li-SO
Li-SOは物流現場での実務経験を持つ物流コンサルタントが開発に携わっています。
作業内容に応じてクリックするだけで操作ができるため、現場で働く人々にとって非常にシンプルで使いやすい点が特徴です。
インターネットに接続できる端末さえあれば、すぐに導入できるため、導入の手間が少なく効率的な運用が可能です。
主要機能 | ・予約を最適バースに自動配置 ・バースモニタで全体把握 ・操作性に優れた画面 |
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所在地 | 東京都江戸川区船堀3-7-13ヴァンテアンビル5階A |
料金 | 12万円〜 |
(9)Airウェイト
Airウェイトは物流業界以外にも、飲食店や医療施設・金融機関・携帯電話ショップなど幅広い業界で利用されています。
受付後に自動で呼び出しができ、無駄な待機列を作らず効率的な管理を実現します。
ドライバーはスマートフォンで自分の順番を確認でき、倉庫側はボタン一つで呼び出しが可能です。これによりバース管理の手間を軽減し、作業のスムーズな進行がサポートされます。
主要機能 | ・受付管理 ・順番管理 ・電話でお呼出し ・自動でお呼出し |
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所在地 | 東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー |
料金 | 無料 ベーシック:11,000円/月(税込)スタンダード:22,000/月(税込) |
(10)telesa-reserve
telesa-reserveは荷卸しの事前予約や受付簿のデジタル管理を通じてバース内の業務を効率化します。
入場台数の事前把握やバースの予約機能、入退場記録の管理によりトラックの待機時間削減と業務効率化が実現します。
シンプルな画面で操作が簡単なため、初めてシステムを導入する企業にとってもハードルが低く、導入しやすい点も大きな魅力です。
主要機能 | ・トラック予約、受付 ・呼び出し、実績管理 ・トラック予約の開始・終了時間の設定 |
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所在地 | 東京都千代田区大手町1丁目1−3 |
料金 | 月額3万円 |
4.バース予約管理システムの選び方
ここでは、バース予約管理システムの選び方を解説します。
(1)自社にあった機能を備えているか
バース予約管理システムを導入する際には、自社が必要とする機能を事前に明確化し、基本機能以外で必要な機能を把握しておく必要があります。
一般的なバース予約管理システムには、以下の基本機能が含まれます。
予約機能 | トラックの到着予定時刻を事前に登録 |
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バース割り当て | 効率的なバース利用のための自動割り当て |
バース表の作成 | 作業スケジュールやバース利用状況を可視化 |
ドライバーの呼び出し | 荷役完了後のスムーズなドライバー呼び出し機能 |
基本機能以外とは、多拠点間のデータ共有、APIを活用した他システムとの連携、あるいは特定の業務に対応したカスタマイズなどです。
(2)予算内で利用できるか
バース予約管理システムの利用料金は月額料金制が一般的ですが、料金体系や機能はシステムによって異なります。
機能の充実度や利用規模に応じて料金が設定される場合が多いため、利用ニーズに合わせたプランを選ぶ必要があります。
料金を抑えたプランにする場合には、機能性が不足がないかを事前に確認しましょう。
また、システムによっては初期設定費用が発生する場合があるため、初期費用の有無を確認することで、初月の予算オーバーを予防できます。
(3)トラックの動態管理ができるか
バース予約管理システムに動態管理機能があれば、トラックの現在地や予想到着時刻をリアルタイムで把握できるため、スムーズな作業計画が立てられます。
たとえば、渋滞や事故といった道路状況の変化を踏まえた到着予測が可能となり、作業計画の柔軟な調整が実現します。
遅延が発生した場合でも迅速に対応できるため、バース利用の効率化を図ることが可能です。
(4)操作画面が扱いやすいか
どれほど便利なシステムでも、現場で使いづらい場合は効果を発揮しないため、操作画面の扱いやすさを事前に確認することが重要です。使いやすい操作画面には、以下の特徴があります。
特徴 | 確認方法 |
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直感的なデザイン | マニュアルがなくても操作できるかを確認する |
タップ操作の簡便性 | スマートフォンやタブレットでの動作性を確認する |
現場作業の適応性 | デモやトライアルを活用する |
選定時には現場スタッフがスムーズに利用できるかを重視し、デモやトライアルを利用するのも有効です。
(5)複数拠点に対応できるか
1回の受付で複数拠点の予約をまとめて管理できるシステムを選ぶと、予約時の手間や負担を軽減することが可能です。
1回の受付で複数拠点の予約を一括管理することで、作業がスムーズになり、拠点ごとの個別手続きが不要になれば、ドライバーの移動や待機のストレスを軽減できるでしょう。
複数拠点の対応については、以下を参考に確認します。
- 複数拠点のスケジュールを一括管理できる機能が備わっているか
- 各拠点のバース利用状況や予約状況がリアルタイムで確認可能か
- 複数倉庫間での運用フローに適応する柔軟性を備えているか
拠点間の予約管理がスムーズに行えるシステムを選ぶことで、物流全体の最適化が実現します。
5.バース予約管理システムの導入事例
ここでは、バース予約管理システムを実際に導入した事例を紹介します。
(1)待機時間の発生が課題だったが庫内作業の平準化に成功
ドライバーの長時間労働や仮置きスペースの不足、検品作業の停滞などが頻発していた企業では、倉庫内の作業効率が低下し、業務全体に悪影響を及ぼしていました。
バース予約管理システムの導入により、トラック待ち時間の削減、作業効率の向上、ドライバーの負担軽減といった効果が実現されました。倉庫運営の効率化にとどまらず、物流全体の持続可能な成長にも寄与しています。
(2)非効率なオペレーションから荷待ち時間を1日あたり9.5時間削減
ある企業ではバース予約システムを導入したものの、システム使用率が低いという課題がありました。原因は指示遅れや、予約なしで利用可能な時間帯の存在などです。
これらの課題に対し、元請けから下請けへの迅速な指示連携や予約ルールの徹底などを行い、車両の待機時間が1日あたり9.5時間短縮することに成功しました。
6.まとめ
今回はトラックバース予約管理システムについて解説しました。
トラックバース予約管理システムによって、ドライバーの負担軽減や物流全体の効率化だけでなく、企業の競争力強化や環境問題への対応にもつながります。