物流の運行管理システムは?比較ポイント、無料を含むおすすめ15選

AI配車計画とは?トラックにおすすめ配車計画システム7選

AI配車計画システムは、効率的な配送ルートの設計やコスト削減を可能にし、多くの企業が課題解決の切り札として導入を進めています。

本記事では、AI配車計画のメリット・デメリットからおすすめシステム、さらに具体的な導入事例まで徹底解説します。ぜひ最後までお読みいただき、導入のヒントにお役立てください。

目次

1.AIを使った配車計画とは?

まずは、AIを使った配車計画の必要性機能性を解説します。

(1)配車システムの必要性

配車システムの導入は、物流業界の直接的な解決が難しい課題に対処できる重要な取り組みです。

現在、物流業界では2024年問題への対応が喫緊の課題となっています。

2024年問題とは労働環境の改善を目的に、2024年4月1日に施行される働き方改革関連法により、ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることから生じる物流業界の危機的状況を指します。

物流の2024年問題の主な影響は以下のとおりです。

物流の2024年問題の影響具体的な内容
ドライバーの労働時間時間外労働が年間960時間に制限され、シフト調整や配送ルートの再設計が必要になる
ドライバー不足労働時間の減少による給与低下や業界の既存の魅力が低下がドライバー離れを加速させ、若年層の参入も減少する
輸送能力の低下規制強化により、これまでできていた長距離輸送ができなくなる
コスト増加人手不足と供給過多により、相対的なコストが高騰する
顧客対応の遅延納期遅れや柔軟な対応が難しくなり、顧客満足度の低下につながる場合がある

上記の課題解決を手助けするものが、配車システムです。

AIを活用した配車システムの導入により、トラックドライバーの労働負荷を大幅に軽減すると同時に、配送業務全体の生産性を向上させることが可能です。

配車システムの導入は、2024年問題に対応し、持続可能な物流体制を構築するための重要な解決策といえるでしょう。

(2)AIによる配車システムの機能

AI配車システムには、以下の3つの主要な機能があります。

  • 配車管理
  • 自動配車
  • 車両管理

以下では、主要機能を解説します。

配車管理

配車管理機能は、車両と荷物の組み合わせを最適化することで、効率的な配送計画を立案する機能です。

この機能では、以下の情報を活用して配送効率を最大化します。

  • 車両の最大積載量や積載率
  • 配送先の順番や距離
  • 荷物のサイズや特性

たとえば、複数の荷物を同一ルートで効率よく運ぶ方法をシステムが提案することで、無駄な運行を削減し、コスト削減につなげることが可能です。

自動配車

自動配車機能は、AIと高度なアルゴリズムを駆使して、最適な配送ルートを自動生成する機能です。

この機能は、以下のような要素をリアルタイムで分析して計画を立てます。

配送先の時間指定顧客が指定した配送時間に基づくスケジューリング
車両の停車可能位置道路事情や駐車条件を考慮
交通状況の変化渋滞情報や道路の閉鎖などのリアルタイムデータ
複数の配送先の効率化最短ルートを算出し、時間と燃料を節約

これにより、ドライバーの労働負担を軽減し、全体の配送効率を大幅に向上させることが可能です。

車両管理

車両管理機能は、GPSを活用して車両の動態やドライバーの運転状況をリアルタイムで把握できる機能です。この機能により、以下の業務が効率化されます。

位置情報の把握車両の現在地や走行ルートをリアルタイムで確認
デジタル運転日報の生成手作業不要で運行履歴を自動記録
危険運転の検知急発進や急ブレーキを検出し、安全運転の徹底を支援

これにより、配送業務の透明性と安全性が向上し、管理者が即座に問題に対応できる環境を提供します。

2.AIによる配車計画を導入するメリットとデメリット

ここでは、AIによる配車計画を導入するメリットとデメリットを解説します。

AIによる配車計画
メリット・属人化を防止できる
・配車業務の工数削減につながる
・全体の生産性が向上する
デメリット・費用がかかる
・業務上のルール変更が必要な場合がある

それぞれ解説します。

(1)属人化防止

AI配車システムでは、業務知識をデータとして蓄積・共有し、経験の浅い担当者も効率的な配車計画を作成可能にします。これにより、柔軟な人員配置が可能となり、業務継続性が確保されます。

従来の経験と勘に頼る配車体制をデータ主導型に転換することで、業務の属人化を防ぎ、担当者が不在の場合や人員の入れ替わりがあっても安定した運用が可能になります。

(2)工数削減

画像引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001608991.pdf

AI配車システムは配送条件や交通状況を即座に分析し、最適なルートを短時間で作成できるため、配車業務の工数削減につながります。

国土交通省デジタル化の事例によると、これまで2〜3日を要していた業務が2〜3時間に短縮できた事例があります。

配送条件や交通状況を即座に分析し、最適なルートを短時間で作成します。これにより、担当者は戦略的業務に集中でき、業務効率が大幅に向上します。

(3)生産性の向上

AI配車システムはリアルタイム分析などで効率的な運営にも役立てられます。

渋滞や事故情報などのリアルタイムデータを活用して、最短ルートを自動で提案し、配送先の時間指定や複数の配送先を効率的に組み合わせ、移動距離や待機時間を最小化します。

生産性の向上だけでなく、燃料コストの削減やドライバーの労働負担軽減にもつながるでしょう。

(4)費用がかかる

画像引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001608991.pdf

国土交通省の調査によると、物流業界のデジタル化が進まない主な要因として、運送事業者倉庫事業者の両方が導入時の初期費用ランニングコストを挙げています。

一方で、デジタル化意向度についてはおおよその工程が50%前後であり、デジタル化を進めたいと感じているが進められていない状態であることがわかります。

しかし、AI配車システムを効果的に活用している企業では、配送効率の向上人件費の削減などにより、導入コストを上回る経済効果を実現させた事例も多数あります。

導入時のトータルコストと、システム導入によって得られるコスト削減効果を事前にシミュレーションしたうえで、導入することが重要です。

(5)業務のルール変更が必要

AI配車システムを導入する際には、既存の業務ルールプロセスを見直す必要が生じる場合があります。

従来の手動プロセスに依存していた業務フローがシステムの自動化機能と整合しない場合、かえって作業が複雑化することも考えられます。

この課題を解決するためには、以下の取り組みが重要です。

業務プロセスの再構築AI配車システムの仕様に合わせて、効率的で一貫性のあるプロセスを設計する
従業員の教育・研修システムの操作方法や新しいルールを徹底的に理解させ、スムーズな移行を実現

国土交通省による導入事例にも、導入に関して苦労した点に長年のやり方に親しんできた人を説得する必要があったことが挙げられており、本格導入まで期間を設けるなどで対処を行う必要があります。

ルール変更を前向きに捉え、システム導入を事業成長のきっかけとすることが重要です。

3.AIによる自動配車でおすすめのシステム7選

(1)物流基幹システムAIR

引用:五十鈴株式会社

物流基幹システムAIRは、受注管理から配車計画、運転日報作成、請求処理まで、物流にかかわる一連の業務プロセスを一元管理できるクラウドシステムです。

システムの中核となる自動配車機能では、スマートフォンアプリと連携して車両の動態をリアルタイムで把握し、最適な配送計画を自動作成します。

さらに充実した労務管理機能の搭載により、ドライバーの労働時間を適正に管理し、2024年問題への対応も可能になるでしょう。

以下では、多機能でありながらも直感的な操作性にこだわったAIRの操作画面を紹介します。


メインメニュー


・配送量やドライバーの状態をリアルタイムで監視
・直感的に操作しやすいデザイン性


配送依頼登録


・登録業務の効率化
・データアップロードによる登録も可能


配車計画

・配車後、地図で経路を確認可能
・携帯アプリと連動し、配送進捗の確認ができる


運転日報入力


・日報管理・入力の効率化
・ドライバー用アプリの使用で運行情報が連携される


請求


・輸送金額を荷主・明細単位ごとに確認できる
・確定後はExcel・PDFで請求書を出力可能

また、複数の営業所間でリアルタイムな情報共有ができる点も魅力であり、営業所の枠を超えた配送ルートの最適化や、帰り便の有効活用、効率的な積み合わせ配送の実現により、物流全体の効率化とコスト削減を支援します。

特徴・物流にかかわる一連の業務を一元管理
・自動配車機能による最適な配送計画の作成
・充実した労務管理機能
所在地〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル
価格・料金プランこちらからお問い合わせできます

(2)ADS

引用:株式会社イーアイアイ

ADSは、配送ルートの自動生成により、経験の浅い担当者でもベテラン社員と同等の質の高い配車計画を作成できるため、人材育成の負担軽減と業務の標準化を同時に実現します。

エンドユーザーの既存システムとも連携できる柔軟な設計により、円滑な導入と運用が可能です。

業界特有の複雑な制約条件にも対応しているため、各企業の業務内容にあわせた細かなカスタマイズができることも特徴です。

特徴既存システムとも柔軟に連携可能・複雑な制約条件にも対応
所在地〒101-0054 東京都千代田区神田錦町1-23 宗保第2ビル4F
価格・料金プラン要お問い合わせ

(3)LYNA 自動配車クラウド

引用:株式会社ライナロジクス

株式会社ライナロジクスのLYNA自動配車クラウドは、独自のAIエンジンであるライナメタヒューリスティクスを搭載しており、距離や時間、人件費などの要素を総合的に分析し、効率的な配車計画を瞬時に提案します。

また、専門知識がなくても簡単に操作でき、必要な情報の入力や検索も容易に行えます。

結果が即座に表示されるため、迅速な意思決定をサポートしてくれるでしょう。

検討段階から導入後まで、スタッフが、オンライン・オフライン両面できめ細かなサポートを提供します。

特徴独自のAIエンジンで効率的な配送計画を作成・操作のしやすいUI設計・充実したサポート体制
所在地〒272-0021 千葉県市川市八幡3-4-8 田中ビル4F
価格・料金プラン要お問い合わせ

(4)LOG

引用:株式会社Logpose Technologies

LOGは、導入のしやすさと使いやすさを追求しており、システムの初期設定となるマスター登録は最短5分で完了するなど、日々の配送案件入力も効率的に行えるよう設計されています。

AI技術により、各企業固有の条件や制約を学習・分析し、現場の実態に即した最適な配車計画を自動で作成します。

また、配車計画の修正や追加の配車にも柔軟に対応し、状況の変化に応じて迅速な計画の見直しが可能です。

特徴最新のAIが配車結果を学習・分析・配車後の修正や追加配車を行える
所在地〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目12−1 渋谷マークシティW22F
価格・料金プラン要お問い合わせ

(5)Loogia

引用:株式会社オプティマインド

Loogiaは、実際の走行データから収集したビッグデータを活用し、経路探索を実施します。

また、メタヒューリスティクス技術を採用し、時間帯ごとの道路混雑状況やUターン、右折時の運転負担まで考慮したルートを提案します。

配送コース数の削減や稼働時間の圧縮を実現し、車両台数と人件費の削減に貢献します。

さらに、直感的なUIにより、経験や専門知識がなくても簡単に操作可能です。

操作性を高めることで、配車業務の属人化を防ぎ、誰でも即座に使いこなせるシステムとして、業務の効率化を支援します。

特徴ビッグデータを活用した経路探索・メタヒューリスティクス技術を用いた配車計画の作成
所在地〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2-11-30 セントラルビル9F
価格・料金プラン要お問い合わせ

(6)TOMAS

引用:株式会社ジェイ・ビー・クラフト

TOMASはスケジュール・進捗管理・メールの自動機能を搭載しています。

自動スケジュール機能ではAIにより配車計画を自動生成し、自動進捗管理機能で配送の進捗状況をリアルタイムで更新できます。

また、Google Mapとの連携により、ドライバーは訪問先をワンタッチで選択するだけで、現在地から目的地までの最適ルートを即座に確認できます。

顧客の実データを用いた自動配車のシミュレーションテストを無料で行っているため、十分に効果が見込めるか不安な方は一度相談してみてください。

特徴「スケジュール」「進捗管理」「メール」の自動機能を搭載・Google Mapとの連携で見やすい経路案内・無料のシミュレーションテストを実施
所在地〒564-0051 大阪府吹田市豊津町13-45 第3暁ビル7F
価格・料金プラン要お問い合わせ

(7)DRIVEBOSS

引用:パナソニックカーエレクトロニクス株式会社

DRIVEBOSSは、車両ごとの積載量制限や稼働時間、配送先の時間指定、さらにはドライバー個々の運転スキルなど、詳細な条件を反映した最適な配車計画を作成できます。

コスト削減を重視するため、可能な限り少ない車両台数で配送計画を作成する削減モードと、車両台数を変更せずに配車計画を作る固定モードがあります。

配車計画機能はシミュレーションツールとしても活用できるため、営業活動における提案資料としても利用できる実践的なシステムです。

特徴・きめ細やかな条件を指定できる配車計画・モードによって車両台数の指定が可能・配車計画機能を営業活動にも使用できる
所在地〒140-0013 東京都品川区南大井6-22-7 大森ベルポートE館11F
価格・料金プラン要お問い合わせ

4.AIによる配車計画システムの導入事例

ここでは、AIによる配車計画システムの導入事例を紹介します。

(1)システムの導入により配車計画の正確性と速度が向上

画像引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001609016.pdf

株式会社スーパーレックスでは、配送店舗の増減に伴うルート変更に丸2日を要しており、担当者の負担が大きな課題となっていました。効率的な配車には土地勘や経験が必要で、新人教育や業務の引継ぎも困難な状況でした。

これらの課題を解決するため、同社はAI搭載の自動配車システムを導入しました。

配送パターンを瞬時にシミュレーションし、コストと時間を最適化した配送ルートを提案します。さらに、車両の積載量や稼働時間、燃料費、人件費といったデータを総合的に分析し、企業固有の制約条件にも柔軟に対応できるようになりました。

(2)システムによる荷主同士のマッチングで積載効率の向上

画像引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001609016.pdf

AIマッチングシステムは物流費の高騰やドライバー不足、40%未満の低い積載率といった課題を解決するために設計されました。

荷主企業が登録した輸送ルート情報を基に最適なパートナーをマッチングし、空車での帰り便や異なる荷主間の混載便を活用することで、実車率93%を達成しました。

また、異業種間での新たな取引機会を生むなど、物流効率とビジネスチャンスの拡大にも成功しました。

5.まとめ

今回はAI配車計画システムのメリット・デメリットやおすすめのシステム、具体的な導入事例について解説しました。

AI配車計画システムでは、配車業務の効率を向上させることで、人的負担の軽減とコスト削減を可能にします。

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