EDIシステムを導入することで、受発注業務や請求業務をスムーズに行えるだけでなく、取引先との連携を強化し、コスト削減や生産性向上にもつながります。
本記事では、EDIシステムの基本から導入メリット、選定のポイントまで詳しく解説します。
1.EDIシステムとは?EDI等もわかりやすく解説

EDI(Electoronic Data Interchange)とは、企業間の商取引で発生する発注書や納品書、請求書などの文書を電子データとして自動的にやり取りするシステムです。
ここでは、EDIシステムの概要を解説します。
(1)EDIの仕組み
EDI(Electronic Data Interchange)では、企業間のコンピュータ同士が通信回線を介してデータをやり取りします。この通信プロセスでは、双方のシステムが互換性を保ちながら正確にデータを処理できるよう、以下の3つの重要なデータ変換処理が行われることがあります。
文字コード変換 | 異なる文字コード規格を使用する企業間でデータを正しく表示・処理できるよう、文字コードを統一する処理 |
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データフォーマット変換 | 企業間で異なるデータ形式を統一する処理 |
データコード変換 | 企業ごとに異なる商品コードや管理番号を互いに変換し、正確なデータ連携を可能にする処理 |
これら3つの変換処理により、異なるシステム環境やデータ形式を持つ企業間でもスムーズなデータ連携が可能になります。
(2)EDIの種類
EDIの種類と概要は、以下のとおりです。
標準EDI | データ形式や取引ルールが共通化されており、多数の取引先と効率的に連携できる |
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個別EDI | 取引先の独自要件や特殊な業務フローにも対応可能 |
業界VAN | 特定業界向けの専用ネットワークサービスで、業界ごとにコード体系や運用ルールが統一されている |
Web-EDI | 専用回線や特殊ソフトが不要で、低コストで導入可能 |
以下でそれぞれを解説します。
①標準EDI
標準EDIは、第三者機関によって規格が標準化されたEDIシステムです。
データ形式や運用ルールが統一されているため、複数の取引先とスムーズにデータをやり取りできます。
ただし、カスタマイズ性に制限があるため、特定の取引先の要件に柔軟に対応するのは難しい場合があります。
②個別EDI
個別EDIは、特定の取引先の要件にあわせてカスタマイズ可能なEDIシステムです。
取引先固有の通信形式や業務フローに対応できる一方、取引先が増えるほどシステムの管理が煩雑になり、コストが高くなる可能性があります。
柔軟性の高さが魅力ですが、管理・運用にかかるリソースの確保が重要です。
③業界VAN
業界VAN(Value Added Network)は、特定業界向けに商品コードや運用ルールが統一されたEDIネットワークです。
たとえば、食品業界や医療機器業界などで広く利用され、業界内での効率的なデータ連携を実現します。
ただし、特定業界以外の取引には対応が難しくなる場合もあるため、業界依存の課題があります。
④Web-EDI
Web-EDIは、インターネットとWebブラウザを活用するEDIシステムで、専用の通信回線や特殊なソフトウェアを必要としません。
そのため、初期費用を抑えながら導入でき、インターネット環境さえあればどこでも利用可能です。一方、セキュリティ対策や通信の安定性に配慮が必要です。
(3)EDIとAPIの違い
EDI(Electronic Data Interchange)とAPI(Application Programming Interface)は、どちらもシステム間でデータをやり取りするための技術ですが、データ交換形式や通信方式、主な利用シーンが異なります。
EDI | API | |
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データ交換形式 | 標準化されたデータフォーマット例: UN/EDIFACT、ANSI X12 | JSON、XMLなど柔軟なフォーマット |
通信方式 | 専用の通信プロトコル例: JX通信、AS2 | HTTP/HTTPSなどの一般的なプロトコル |
処理方法 | バッチ処理 | リアルタイム処理 |
主な利用シーン | 製造業、物流業、小売業などでの業務フローの標準化・効率化 | クラウドサービスやモバイルアプリ、IoTデバイスなどの連携 |
EDIは、業務の正確性や大量データの処理に優れており、特に安定した業務フローを求める企業に適しています。
一方、APIはリアルタイム性や柔軟性に優れ、動的なデータ連携を必要とする場面で威力を発揮します。
(4)EDIとBtoB ECの違い
BtoB-EC(Business-to-Business Electronic Commerce)は、企業間の商取引をオンラインで完結させるプラットフォームを指します。
商品の検索、注文、決済、配送管理など、取引の全プロセスをECサイト上で一貫して行えるのが特徴です。
EDIとBtoB ECの違いは、以下のとおりです。
EDI | BtoB EC | |
---|---|---|
主な用途 | 企業間での取引データ(注文書、請求書など)の自動交換 | 商品検索、注文、決済、配送管理など取引全体をオンラインで管理 |
適用範囲 | 定型化された反復的な取引例: 大量注文や定期納品など | 多様な商品・サービスを扱う企業間取引全般 |
特徴 | ・注文書、請求書の自動送受信・バッチ処理による大量取引データの効率的な交換 | ・商品カタログ表示・価格設定のカスタマイズ・顧客管理・決済処理 |
利用例 | 製造業や卸売業での定期的な取引 | サプライヤーが複数の法人顧客に商品やサービスを提供 |
導入コスト | 通常、初期費用や通信コストが高め | 専用のECプラットフォームを利用する場合は比較的低コスト |
EDIは取引データの効率的な交換に適した仕組みであり、特に定型的な取引や大量データ処理に向いています。
一方、BtoB-ECは、顧客が自由に商品を選び、購入プロセスを完結できる柔軟性を持ち、特に取引先が多い場合に効果的です。
(5)EDIとEOSの違い
EDI(Electronic Data Interchange)とEOS(Electronic Ordering System)は、どちらもビジネスプロセスのデジタル化を実現するシステムですが、その目的と機能に明確な違いがあります。
EDI | EOS | |
---|---|---|
主な用途 | 取引全体のデジタル化(発注、納品、請求、支払いなど) | 発注業務の効率化(注文データの送受信に特化) |
カバー範囲 | 発注、納品、在庫、請求、支払いなどの幅広い取引プロセスをカバー | 発注業務に特化 |
利用分野 | 製造業、物流業、小売業、卸売業など多業種 | 主に小売業や卸売業 |
操作の柔軟性 | 大量データ処理や定期取引に最適 | 現場での操作が簡単で、迅速な発注が可能 |
EDIは、取引先が多く、大量のデータを効率的に処理する必要がある企業や、複数の業務プロセス(発注、請求など)を統合して管理したい企業に向いています。
一方、EOSは店舗や現場で迅速な発注が求められる環境で特に効果を発揮します。例えば、小売店の店舗スタッフが売り場から直接タブレットを使って発注を行う、といった使い方が一般的です。
2.EDIシステムを導入するメリット

ここでは、企業がEDIシステムを導入するメリットについて解説します。
(1)コスト削減
EDIシステムの導入により、以下のようなコスト削減が実現します。
ペーパーレス化 | 紙の帳票をデジタル化することで、印刷コストや郵送料、書類保管スペースが不要になる |
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人的コストの削減 | 伝票作成やデータ入力などの作業が自動化され、作業時間の短縮が可能 |
EDIシステムは直接的な経費削減だけでなく、業務効率化による人件費の抑制やミス防止による損失回避で、企業の収益性向上に大きく貢献します。
(2)業務効率の向上
EDIシステムは、業務の効率化および経営判断、在庫管理の精度向上にも寄与します。
作業の自動化 | 受発注業務や帳票作成、データ入力の自動化 |
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リアルタイム連携 | インターネットを通じて取引データをリアルタイムで共有可能であり、基幹システムとの連携により、再入力や転記作業が不要になる |
在庫管理の最適化 | 在庫データをリアルタイムで把握し、適切なタイミングで発注することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えられる |
EDIシステムは取引業務の効率化や在庫管理の需要予測まで、経営のさまざまな側面での改善効果をもたらします。
(3)コンプライアンスの強化
EDIシステムは、企業のコンプライアンス強化と内部統制の確立に重要な役割を果たします。
取引データが自動的に記録・保存され、すべての取引履歴が追跡可能となるため、透明性の高い業務運営が実現します。
厳格な内部統制が求められる企業にとって、EDIシステムは業務の適正性を確保するための不可欠なツールとなっています。
3.EDIシステム導入のポイント

EDIシステム導入のポイントを解説します。
(1)自社システムと連携できるか

EDIシステムを導入する際には、自社の基幹システム(会計システムや販売管理システムなど)との連携が可能かを必ず確認しましょう。
基幹システムと連携できない場合、EDIで受け取ったデータを手作業で入力する必要が生じ、効率化のメリットが損なわれるだけでなく、入力ミスなどのリスクも高まります。
導入前に、自社システムとの連携機能や仕様を十分に確認し、スムーズにデータ連携できるシステムを選ぶことが重要です。
(2)取引先とのデータ連携ができるか
EDIシステムの効果を最大化するには、取引先とのデータ連携が不可欠です。
取引先がEDIに対応していない場合、その取引先とは従来の紙やFAXを使用したやり取りが必要となり、業務効率化の効果が減少します。
システム選定の際には、主要な取引先が対応可能なシステムかを確認し、必要に応じて取引先への移行計画を立てることがポイントです。
(3)電子帳簿保存法への対応可能か
EDIシステムを導入する際には、電子帳簿保存法に対応しているかを確認しましょう。
同法では、EDIによる取引データを原本のまま保存することが義務付けられています。
多くのEDIシステムには改ざん防止機能や修正履歴管理機能が備わっているため、基本要件を満たすものが多いですが、連携する社内システムも同法に対応していることを確認してください。
(4)セキュリティが考慮されているか

EDIシステムでは、商取引データを扱うため万全なセキュリティ対策が求められます。
特にWeb-EDIでは、不正アクセスや情報漏洩のリスクを防ぐため、以下の対策が重要です。
- HTTPS通信によるデータの暗号化
- 適切なアクセス権限の設定
- 監査ログの記録と管理
- 脆弱性診断の実施
また、利用するPCやソフトウェアを常に最新状態に保つなど、日常的な運用面でのセキュリティ管理も欠かせません。
(5)UIに問題がないか
どれだけ高機能なシステムでも、操作が複雑で使いにくいと現場での活用が進まず、期待した効果を得られない可能性があります。
良質なUIを備えたシステムでは、直感的な操作が可能で、新規ユーザーでも短期間で習得できます。また、わかりやすい操作画面はミスの防止にも役立ちます。
選定時には、必ずデモ環境を利用して操作性を確認し、実際の利用者の意見を取り入れましょう。
4.おすすめのEDIシステム
(1)EOS名人.NET

EOS名人.NETは、最小限の構成としてPC1台からでも運用を開始できるため、初期投資を抑えたい企業に最適なシステムとなっています。
また、実務に役立つ便利な機能も充実しており、データの送受信から変換、基幹システムへの取り込みまで、一連の作業を自動化できる他、「スケジュール機能」により指定した日時での自動実行も可能です。
さらに「マッピング機能」を使えば、取引先ごとに異なるデータ形式を自社システムに適した形式に自動変換できます。
特徴 | ・さまざまなEDI規格に対応・PC1台から運用可能・マッピング機能で取引先ごとにデータ形式の変換が可能 |
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所在地 | 〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町4-3 国際箱崎ビル4F |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(2)スマクラ

スマクラは、クラウドベースで提供される包括的なEDIサービスとして、あらゆる業界での利用に対応しています。
従来型のJCA手順や全銀手順、JX手順、全銀TCP/IPまで10種類以上の標準プロトコルに対応しており、さまざまな取引先とスムーズに連携できるでしょう。
また、「スマクラ for BMS」や「スマクラ生鮮発注」といった業界別サービスを、必要に応じて選択・組み合わせができます。
特徴 | ・幅広いシステムとの連携が可能・10種類以上の標準プロトコルに対応・業界別のサービスを組み合わせることも可能 |
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所在地 | 〒135-8110東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(3)EdiGate/POST

EdiGate/POSTは、見積書や注文書、納品書などの基本的な取引文書を電子的にやり取りできます。
文書はPDF形式で出力可能なため、必要に応じて印刷や保存にも対応可能です。
さらに、図面データやExcelファイルなどの大容量データも、自動的にアップロード・ダウンロードできる機能を備えており、日々の業務効率化に貢献します。
特徴 | ・インターネット環境とWebブラウザのみで利用可能・低コストかつ短納期で導入できる・大容量データも自動的にアップロード・ダウンロード可能 |
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所在地 | 〒162-8565 東京都新宿区揚場町2-1 軽子坂MNビル |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(4)JSOL-EDIサービス

JSOL-EDIサービスは、SaaSと業務委託を組み合わせた総合的なEDIソリューションです。
従来型のJCA手順や全銀手順から最新のインターネットEDIまで、多様な通信プロトコルに対応しているため、さまざまな取引先との連携が可能です。
コスト面では、データ使用量に応じた従量課金制を採用しており、初期投資を抑えながら効率的なシステム運用ができるでしょう。
特徴 | ・40年以上の導入実績・多様な通信プロトコルに対応・電子帳簿保存法に対応 |
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所在地 | 〒102-0074東京都千代田区九段南1-6-5 九段会館テラス9F・11F(受付)・12F・13F |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(5)EDI-Master Cloud

提供するEDI-Master Cloudは、製造業や金融業、小売・流通業、サービス業など多様な業界での豊富な導入実績を持っています。
クラウドサービスならではの特長として、高い可用性・耐障害性・拡張性を備えています。またOpenAPIの提供により、基幹システムや運用管理ソフト、データ連携ツールなどのさまざまな社内システムとの連携が可能です。
サービス面での強みは、AWS基盤の構築からアプリケーションの導入、EDI運用業務までを一括してサポートしてくれる点です。
特徴 | ・物流以外にもさまざまな業界での実績が豊富・OpenAPIによりクラウド連携が簡単に行える・料金が定額制のため、予算管理がしやすい |
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所在地 | 〒108-8011東京都港区港南2-16-6 |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(6)ACMS B2B

ACMS B2Bは、従来型から最新のEDIまであらゆるタイプのEDI環境を構築できるサーバー構築ツールです。
データ変換機能や基幹システムとの連携機能を、必要に応じてオプションとして追加できます。
連携機能により、企業の規模や予算にあわせた最適なシステム構成が可能です。
また、導入のしやすさにも配慮されており、小規模企業向けにWindows環境に特化した「ACMS B2B Limited Edition」も用意されています。
特徴 | ・主要なプロトコルをすべてカバー・基幹システムとの連携機能をオプションとして追加可能・「ACMS B2B Limited Edition」や「ACMS Apex」など、企業の特徴にあった製品を選択できる |
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所在地 | 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー27F |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(7)JFT/Server

JFT/Serverは、大規模な企業間取引に対応する高性能なEDIデータ交換システムです。
受発注業務やファームバンキング、複数拠点間のデータ集配信などの業務で安全確実なデータ交換を実現します。
運用管理面でも充実した機能を備えており、通信履歴の一元管理や世代管理機能により、データ交換の追跡や履歴管理が容易です。
特徴 | ・160同時通信、1万接続先の稼働実績・データ交換の追跡や履歴管理が簡単に行える・Web-EDIにも対応 |
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所在地 | 〒420-0034静岡県静岡市葵区常磐町2-6-8 TOKAIビル |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(8)OpenText Business Network Cloud Enterprise

OpenText Business Network Cloud Enterpriseは、企業間取引のあらゆる側面をカバーする統合プラットフォームです。
従来のEDIに加えて、XMLやPEPPOLなど多様なデータフォーマットに対応しており、複雑な取引要件にも柔軟に対応できます。
運用面での特徴は、充実したマネージドサービスの提供です。
30年以上にわたる統合環境管理の経験を活かし、B2Bインフラの日常的な管理・運用を代行します。
特徴 | ・多様なデータフォーマットに対応・年間260億件もの膨大な取引を処理・30年以上にわたる統合環境の管理経験 |
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所在地 | 〒100-0005東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館18F |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
(9)REDISuite 汎用EDIサービス

REDISuite 汎用EDIサービスは、製造業や流通業、金融業、医療業など業種を問わず利用できる汎用性の高さが特徴で、さまざまな業界特有の取引要件に対応します。
システムの操作性も優れており、専用のWeb画面を通じてデータの送受信状況をリアルタイムで監視できます。
エラーが発生した場合も即座に検知できるため、迅速なトラブル対応が可能です。
システムの移行から実運用までの期間において、ベンダーが取引先からの問い合わせ対応を代行してくれます。
特徴 | ・業種を問わずに利用できる汎用性の高さ・データの送受信状況やエラーの有無をリアルタイムでチェックできる・充実のサポート体制 |
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所在地 | 〒141-8672 東京都品川区大崎1-2-1 |
価格・料金プラン | こちらからお問い合わせできます |
5.まとめ
EDIシステムは、企業間取引のデジタル化を実現し、業務効率化やコスト削減、さらにはコンプライアンスの強化など、多くのメリットをもたらす重要なツールです。特に、受発注や請求業務の効率化を目指す企業にとっては欠かせない存在といえるでしょう。
物流において業務効率化を図る場合、総合的な効率化・自動化が有効となります。