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サプライチェーン強靭化とは?定義や経済安全保障推進法についても詳しく

サプライチェーンは、現代のビジネスにおいて、単なる物流網ではなく、企業価値を左右する重要な経営資源へと変貌を遂げています。

この記事では、複雑化・多様化するリスクに満ちた時代において、企業がどのようにサプライチェーンを強靭化について網羅的に解説します。

目次

1.サプライチェーン強靭化とは?定義・法整備も詳しく

まずは、サプライチェーン強靭化の定義と関連法案について解説します。

(1)サプライチェーンと強靭化の意味を整理

サプライチェーン強靭化とは、突発的なリスクに備えて対応力を高め、被害を受けても速やかに回復できる力(レジリエンス)を確保する取り組みを指します。

英語では “Supply Chain Resilience”(サプライチェーン・レジリエンス)と表現され、欧米では政策や学術研究でも広く使われています。国際的に共通するキーワードが「Resilience=強靭性・回復力」です。

つまり、サプライチェーン強靭化とは「リスクを避けるだけでなく、変化の中で事業を止めず、新しい成長機会を掴むための仕組みづくり」です。効率化一辺倒ではなく、不確実な時代に適応するための経営資源の再設計と位置付けられます。

とくに日本では近年、災害やパンデミック、地政学リスクを背景にサプライチェーン強靭化の必要性が高まり、政府も「経済安全保障推進法」などの支援策を進めています。

(2)サプライチェーン強靭化の定義

ここでは、用語を正しく理解するために「サプライチェーン」「強靭化」をそれぞれ整理します。

①サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流、販売、最終消費者に届くまでの一連のつながりを指します。単なる物流ルートではなく、調達先や協力企業、流通網を含めた広い概念であり、企業活動全体を支える基盤です。効率化やコスト削減の観点だけでなく、近年はリスク管理やサステナビリティの視点からも注目されています。

②強靭化とは

強靭化とは、予測不能なリスクに備え、被害を最小限に抑えつつ速やかに回復する力を高めることを意味します。英語では「Resilience(レジリエンス)」と表現され、自然災害、地政学リスク、パンデミックなど多様な事象への対応力を示します。単なる危機回避ではなく、回復力と柔軟性を組み込んだ仕組みづくりが重要とされています。

上記2つの概念を組み合わせると、サプライチェーン強靭化とは「不測の事態においても供給網を途切れさせず、被害から迅速に回復できるよう設計・運営する取り組み」を指します。

(2)世界の潮流と国際連携

米国やEUでは、サプライチェーン強靭化を国家戦略の柱に据え、重要物資の調達網を国内または同盟国へ移す取り組みを加速させています。

地域主な取り組み企業への示唆
米国「CHIPS法」に基づく半導体の国内生産回帰、エネルギー資源やレアアースを含む重要物資リストの整備、特定国依存を減らす支援策半導体や資源調達で米国市場を意識した戦略構築が必要
EU「欧州チップ法」「重要原材料法」による域内供給体制の強化、調達先の多角化政策欧州市場での取引ではサステナビリティや供給多様化対応が必須

こうした潮流を踏まえると、企業は国際パートナーとの連携を強め、地政学リスクや環境変化に柔軟に対応できる体制を築くことが、グローバル市場で持続的な競争力を確保するカギとなります。

半導体分野では、日本でもサプライチェーン強靭化が進展しており、特に九州での生産拠点拡充が近年加速しています。

2.サプライチェーン強靭化と経済安全保障推進法を中心とする法整備について

サプライチェーン強靭化は日本でも国家戦略のひとつとして位置付けられています。
ここでは、サプライチェーン強靭化と経済安全保障推進法を中心とする法整備について解説します。

(1)経済安全保障推進法の概要

経済安全保障推進法は、国際情勢の複雑化や自然災害などによるリスクから国家と国民の安全を守ることを目的とした法律で、サプライチェーン強靭化の基盤となる制度です。柱は「重要物資の安定供給」「基幹インフラの安定提供」「先端技術の開発支援」「特許出願の非公開制度」の4つに整理されています。

経済安全保障推進法の柱概要・企業への影響
重要物資の安定供給半導体・医薬品・レアメタルなど特定重要物資を対象に、供給途絶リスクを防ぐ取り組みが求められる。企業は「供給確保計画」を作成し主務大臣の認定を受けることで、助成金や低利融資などの支援を活用可能。必要に応じて政府が施設を所有し運営を委託するGOCO方式も利用できる。
基幹インフラの安定提供エネルギー・通信・輸送など社会基盤となるサービスの提供を途絶させない体制を整備。
先端技術の開発支援安全保障上重要な先端技術の研究開発を支援し、海外依存を軽減。
特許出願の非公開制度防衛や安全保障に関わる技術情報が漏えいしないよう、特許出願を非公開とする仕組みを導入。
サプライチェーンの多元化特定国・特定地域に依存しないよう、調達・生産・物流の分散を促進。同盟国との連携を進めることで、リスクを分散。

通常の民間対応では難しいケースには、政府が施設を所有し運営を委託するGOCO方式も用意されているため、企業担当者はまず自社の製品や部品が対象となるかを確認し、必要に応じて計画策定や支援制度の活用を進めることが、サプライチェーン強靭化に直結する第一歩となります。

(2)経済安全保障推進法と企業に求められる対応

経済安全保障推進法は、レアメタルなどの特定重要物資の安定供給を確保する規定が含まれており、企業には調達リスクの評価や国内回帰、生産拠点の多様化などの以下の対応が求められています。

経済安全保障推進法の主な取り組み企業に求められる対応
調達リスク評価・国内回帰・生産拠点分散半導体・医薬品・レアメタルなど特定重要物資の安定供給を確保するため、リスク評価や調達多様化が必須
経済安全保障推進法 第3章「特定社会基盤役務」の妨害リスクに備え、リスク管理措置を講じることを規定。各種届出や計画提出が義務化
内閣府の解説資料制度の詳細を公開。企業は自社が該当するか、必要な手続きを確認することが求められる
サプライチェーン強靭化イニシアチブ(SCRI)日本・インド・オーストラリアが主導する国際枠組み。供給網の多様化を推進
補助金制度設備投資や研究開発を支援。中小企業にとって費用負担を抑えつつ強靭化を進める有効な手段
経済安全保障推進法の主な取り組み企業に求められる対応
調達リスク評価・国内回帰・生産拠点分散半導体・医薬品・レアメタルなど特定重要物資の安定供給を確保するため、リスク評価や調達多様化が必須
基幹インフラ事業者への安定供給導入計画書の策定、リスク管理体制の整備など、システム等の導入・維持管理に関する事前の審査準備
先端技術開発支援企業の利益だけでなく、国が定める経済安全保障構想に沿った研究開発と厳格な情報管理体制を構築
特許出願の非公開特許庁による定型審査で自社技術が対象に該当するか確認し、社内外管理体制の構築

これらの政策支援によって、特に中小企業でも費用負担を抑えながら、強靭化に取り組む体制を構築できるようになっており、実務としてまずは制度設計や届出の要件を把握することが、企業強靭化体制を整える第一歩となります。

参考:https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/suishinhou/infra/doc/infra_kaisetsu.pdf

(2)【2025年度】サプライチェーン強靭化における補助金とは?

2025年度は、経済安全保障政策の一環として、特にサプライチェーン強靭化に向けた補助金が多数用意されています。主な補助金・支援策の内容と補助率を以下にまとめました。

補助金名・制度名支援の概要補助率の目安
経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援(半導体)供給確保計画認定事業者に対し、NEDOを通じて補助金を交付(設備投資・技術導入対象)公表なし(個別審査による)
製造業向けサプライチェーン強靭化枠(事業再構築補助金)生産拠点の多拠点化や国内回帰を軸にした事業再構築が対象大企業:1/2程度、中小企業:2/3〜3/4程度
蓄電池製造サプライチェーン強靭化支援事業国内蓄電池・関連素材・製造装置への投資や技術開発を補助金額非公開(詳細は公募書類による)
GX(グリーン・トランジション)関連支援枠蓄電池製造強靭化も含む大型補助枠、予算額は1,778億円補助率は公募内容で検討必要
新事業進出補助金中小企業が新たな事業展開を通じサプライチェーン強靭化を図る取り組みに活用可能通常1/2程度(上限あり)
国内投資促進事業費補助金半導体等の重要製品における供給リスク解消のための生産拠点整備を支援中小企業特例:2/3以内~1/4以内、大企業:1/2~1/4以内(上限あり)

参考:https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/review2025/kokai/0606_1gaiyo.pdf

2025年度は複数の補助制度が整備されており、サプライチェーン強靭化に取り組む企業にとって追い風となっており、利用にあたっては、制度内容を的確に把握し、自社に最適な補助を選ぶことが重要です。

(3)特定重要物資の安定的な供給の確保に関する基本指針について

「特定重要物資の安定的な供給の確保に関する基本指針」は、経済安全保障推進法に基づく制度の具体的な方向性を定めた文書であり、企業には以下を理解・対応することが求められます。

項目内容・企業への影響
特定重要物資の指定政府が国民生活や経済活動に不可欠で、外部依存や供給リスクの高い物資(例:半導体、医療関連品など)を政令で指定。企業は自社取扱品が該当するか確認が必要。
安定供給確保取組方針各担当大臣が物資ごとに方針を策定・公表。企業はこれに沿った「供給確保計画」を作成し、認定取得を目指すことが求められる。
認定取得後の支援認定を受けると、助成金・長期低利融資・信用保証などの支援制度が活用可能。事業継続や投資回収に直結。
行政機関の連携と情報提供関係省庁が連携し、サプライチェーン実態把握や情報提供を通じて企業の取り組みを後押し。
特別対策(例:GOCO方式)制度対応だけで不十分な場合、政府が施設を所有し民間に運営を委託する仕組みも用意されている。
情報セキュリティ・管理の強化特定重要物資に関連する情報は安全保障上重要なため、情報漏洩防止やサイバーセキュリティ対策が求められる。

参考:https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/suishinhou/doc/kihonshishin1.pdf

企業にとって重要なのは、自社の扱う物資が対象に含まれるかをいち早く確認し、計画策定や認定申請を通じて支援制度を活用することです。基本指針を踏まえた能動的な対応が、長期的な競争力と事業継続力の確保につながります。

(4)経済安保基金による半導体サプライチェーン強靭化支援とは

経済安保基金は、経済安全保障推進法にもとづき、半導体のサプライチェーン強靭化を目的に設置された支援制度です。大規模な設備投資や製造能力強化に向け、企業にとって最重要な支援策の一つです。

支援対象分野主な特徴と投資下限額
従来型半導体(パワー・マイコン・アナログ等)国内製造能力強化を目的とした大規模設備投資。原則300億円以上(パワー半導体は2,000億円)(経済産業省, 中部経済産業局)
半導体製造装置製造能力強化のための設備投資。下限額300億円(経済産業省, 中部経済産業局)
部素材(例:SiCウエハ、基板等)国内製造能力強化を目的とした設備投資。下限額300億円。SiCウエハは国際競争力維持の観点で考慮(経済産業省, 中部経済産業局)
原材料(例:黄リン、ヘリウム、希ガス等)リサイクル促進・備蓄・国内生産・輸送体制強化など支援対象(経済産業省, 内閣府ホームページ)

企業は、供給確保計画を作成し、経産省へ提出します。計画は内閣官房や関係省庁、有識者による審査を経て認定されます。よって、制度をうまく活用することで、補助を受けながらサプライチェーンの強靭化事業基盤の強化を両立することが可能です。

また、共同研究や人材育成拠点への投資や半導体製造に伴う副産物や廃棄物のリサイクル、省エネ・脱炭素技術も支援対象になる場合があります。

3.企業が実践すべきサプライチェーン強靭化ステップ

サプライチェーンの強靭化は、単なるリスク回避にとどまらず、企業の持続的成長を支える経営基盤の構築に直結します。

ここでは、企業が実践すべきステップについて解説します。

(1)現状把握とリスク評価

サプライチェーン強靭化の出発点は、自社の調達・生産・物流ネットワークを「どこまで把握できているか」です。現状が見えていなければ、いくら対策を講じても効果的に機能しません。

項目要点・狙い実務ポイント
サプライチェーンの見える化調達→製造→物流→販売→顧客までの流れを可視化し、弱点・ボトルネックを特定SCMやダッシュボードを活用し、在庫・輸送・生産のリアルタイム情報を一元管理
サプライヤー依存度の把握一社・一地域依存の発見と是正重要部品の調達先数、地理分散の度合い、代替可否を棚卸し
地政学・自然災害リスク特定外部事象が供給に与える影響を事前評価震災・洪水・台風、紛争・制裁・貿易摩擦のマッピング(拠点・ルート・サプライヤー単位)
サイバーリスク評価システム停止が供給を止めるリスクを低減主要システムの脆弱性診断、バックアップと代替オペレーション手順の確認
リスク評価の定量化対応優先度を明確化各リスクを「発生頻度×影響度」でスコア化し、上位から対策計画へ接続
代替供給元のシナリオ想定主要資材や部品が途絶した場合の代替調達先を事前に検討国内・国外のサプライヤー候補をリスト化し、緊急時の契約条件も確認

現状把握とリスク評価は、危機管理体制や調達多様化の設計に直結する土台です。ここを丁寧に行うことが、強靭化を成功させる第一歩となります。。

(2)危機管理体制とリスク軽減策

危機管理体制の構築は、単なる文書化ではなく、実際に機能する仕組みとして整備する必要があります。

項目要点・狙い実務ポイント
複数購買・国内回帰・ローカル調達サプライヤー依存を避け、供給網を多様化部品・原材料の調達先を複数確保し、リスク地域からのシフトや国内調達強化を推進
在庫の最適化とBCP(事業継続計画)再設供給途絶に備えつつ過剰在庫を防ぐAIによる需要予測やシミュレーションで適正在庫を設定し、BCPを定期的に更新・演習
DX活用(AI・IoT・SCM)需要変動やリスク発生をリアルタイムに把握IoTで稼働・輸送データを収集、AIで需要予測・在庫最適化、SCM(サプライチェーンマネージメント)で全体を統合管理
パートナー・地域連携自社単独の取り組みから「協働体制」への移行地域行政・同業他社と災害時協力協定を結び、情報・資源を共有

危機管理体制は、単なる文書化ではなく「仕組み」として日常業務に組み込み、平時から機能させておくことが重要です。これにより、不測の事態でも事業を止めないレジリエンスが確立できます。

(3)データと技術を活用した強靭化

サプライチェーンを強靭化するうえで、データとデジタル技術の活用は欠かせません。従来はブラックボックスになりがちだった調達・物流・在庫の動きを「見える化」し、迅速かつ正確な意思決定を支援できます。

技術活用方法効果・企業へのメリット
ブロックチェーン原材料調達から製品完成までの工程を改ざん不可能な形で記録トレーサビリティ強化、不正防止、取引先・消費者からの信頼獲得
IoT輸送中の位置情報や工場設備の稼働状況をリアルタイム収集異常・遅延を即座に把握し、迅速な対応が可能
AI需要予測や在庫最適化を高精度で実行余剰在庫の削減と欠品防止を両立、コスト削減と効率化を同時に実現
クラウドプラットフォーム各拠点・取引先とデータを一元共有部門・企業間の情報格差を解消し、意思決定の迅速化

データと技術の導入は単なる効率化ではなく、「不測の事態に強いサプライチェーン」を実現するための投資です。企業規模を問わず、段階的に取り入れることが長期的な競争力強化につながります。

(4)サステナビリティの組み込み

サプライチェーン強靭化は、持続可能性と一体で進めることが重要です。環境・社会・ガバナンスを意識した調達と運営は、長期的な競争力を高め、投資家や取引先からの信頼にも直結します。

取組分野具体例企業へのメリット
環境負荷削減を伴うサプライチェーン最適化再生可能エネルギー利用、省エネ物流、リサイクル素材の採用、輸送効率化、廃棄物削減温室効果ガス排出の削減とコスト抑制を同時に実現
CSR・ESG対応とリスクマネジメントの統合人権配慮、労働環境改善、サプライチェーン透明性の強化社会的批判・取引停止リスクを回避し、投資家・取引先からの評価を向上
国際基準・認証の取得ISO14001、SA8000、RBA等の国際基準対応グローバル取引先や投資家からの信頼獲得、国際競争力の強化

サプライチェーン強靭化を進めるうえで、サステナビリティの組み込みは不可欠です。環境・社会・ガバナンスを意識した調達と運営は、単なるリスク回避を超えて新たなビジネス機会を生み出し、長期的な競争力と信頼を築く経営戦略となります。

4.サプライチェーン強靭化における企業戦略と取り組み例

DXやIoT、AIといった新興技術は、サプライチェーン全体を可視化し、効率化やコスト削減を実現するだけでなく、顧客体験の向上や取引先との信頼強化にも直結します。

ここでは、サプライチェーン強靭化を実現するうえで企業が取るべき戦略と、実際の事例について解説します。

(1)新興技術(AI・ブロックチェーン・IoT)

AI・ブロックチェーン・IoTといった新興技術は、サプライチェーン強靭化を支える実用的な手段として急速に普及しています。これらを活用することで、従来は難しかったリスク管理や効率化が、より高度に実現可能となります。

技術活用例強靭化への効果
AI販売データや外部要因を学習し需要変動を高精度に予測。過剰在庫や欠品を防止調達・生産の最適化、機会損失の回避
IoT輸送中の位置情報や設備稼働データをリアルタイムで収集異常・遅延の即時把握、設備故障の予兆保全
ブロックチェーン原材料から製品に至るまでの工程を改ざん不可能な形で記録。さらに排出量データを記録し、カーボンニュートラル実現に活用(NTTデータ事例)トレーサビリティ強化、不正防止、規制対応、環境価値取引の透明化

特にブロックチェーンは、原材料や物流の動きを追跡するだけでなく、排出量データを信頼性の高い形で記録・共有できる点が特徴です。これにより、企業はサプライチェーン全体で環境負荷を可視化し、CO₂削減の取り組みや排出権取引を透明かつ効率的に進めることが可能となります。

さらに、AI・IoT・ブロックチェーンを組み合わせることで、調達から販売までを一貫して連携できるうえ、災害や地政学リスクといった突発的な事象に直面した場合でも、データに基づく柔軟な意思決定が可能となります。

参考:https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/services/carbon-neutral/carbon-neutral-wp-20250317-blockchain.pdf?rev=a65ad8bacd784461b8450b452a18d69d

(2)サプライチェーン強靭化と新たなビジネスチャンス

サプライチェーン強靭化は、単なるリスク対策にとどまらず、企業間連携や事業承継を通じた新たな事業機会を生み出す「攻めの戦略」に直結します。危機に強い体制を整える過程で、従来にはなかった協業や市場が開かれる場合があります。

項目具体的な取り組み
サプライヤーとの協業強化共同研究開発や技術共有により新製品・新サービスを創出。調達網拡大によって新たなパートナーシップを構築し、商流拡大の契機となる。
地域経済との連携深化商工会や地方公共団体の支援を活用し、共同配送や拠点シェアリングを実施。地産地消を組み込むことで環境負荷を低減し、地域ブランドを強化。
金融・支援機関との連携金融機関や事業承継支援センターの関与により、事業承継・M&Aを円滑化。資金調達や後継者不足への対応を通じ、サプライチェーン全体の持続性を確保。
新市場開拓とサービス開発強靭なサプライチェーンを基盤に、海外展開や新規顧客層の獲得を推進。透明性やサステナビリティを前面に打ち出すことで、消費者や投資家からの支持を得やすくなる。
デジタルプラットフォーム活用企業間のデータ共有基盤やマッチングプラットフォームを活用し、取引や物流を効率化。サプライチェーン全体の透明性を高めると同時に、新規取引先の発掘や協業機会の拡大につながる。
引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/textile_production_area/pdf/004_06_00.pdf

上図が示すように、サプライチェーン上の取引は製造や流通にとどまらず、金融機関・商工会・地方公共団体・支援センターなど多様な主体が関与します。

とりわけ事業承継や資金調達の局面では、こうした外部機関との連携が新しい商流や協業を生み出し、サプライチェーン全体の持続性を高める契機となります。

5.まとめ

激動する現代において、サプライチェーン強靭化は単なるリスク回避策に留まらず、企業の持続的な成長と競争優位の源泉となります。

ぜひ自社のサプライチェーンを見直し、強靭化への第一歩を踏み出してください。

監修

東証プライム上場企業にて24年勤務した経験と、運行管理者資格の保有を活かし、道路交通法や労務管理、安全運行の実務知識をベースとした分かりやすい記事をお届けしています。

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