\当サイトおすすめNo.1運行管理システム/


請求書や見積書に記載される燃料サーチャージについて、金額の妥当性は体系的な対応が難しいものの、根拠が肝要となります。本記事では、トラック輸送における燃料サーチャージの計算方法を軸に、基準価格の考え方や具体的な算出例、国土交通省・トラック協会の指針まで詳しく解説します。
五十鈴株式会社の「次世代運行管理システムAIR」は、運行記録計と連動して詳細な走行実績を自動集計し、請求の根拠となるデータの可視化を支援します。燃料サーチャージの客観性にお悩みの場合には、ぜひご相談ください。

燃料サーチャージは、燃料価格の変動による影響を運賃とは切り分けて調整する仕組みです。
ここでは、トラック輸送で燃料サーチャージの必要性や運賃との違いなどの燃料サーチャージの基礎知識を解説します。
トラック輸送では、燃料費が運送原価の約2割を占めるとされており、国土交通省が公表している「標準的な運賃(令和6年4月改定)」の原価構成でも、燃料油脂費が大きな割合を占めることが示されており、軽油価格が数円変動するだけでも収益に大きな影響を及ぼします。
一方で、燃料価格は地政学リスクや為替相場など外部要因に左右され、エコドライブや業務効率化といった事業者の努力だけで吸収することは困難です。こうした構造的なリスクを運賃に一律で転嫁すると、価格の不安定化や物流の停滞を招きかねません。
そのため国土交通省は、運賃と燃料費を切り分けて調整する仕組みとして、燃料サーチャージの活用を推進しています。令和6年4月改定の標準的な運賃では、軽油価格120円/Lを前提としたうえで、これを超える変動分については燃料サーチャージで別途収受する考え方が示されています。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001732626.pdf
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001716199.pdf
運賃は輸送サービス全体の対価として比較的長期で固定される一方、燃料サーチャージは燃料価格の変動分のみを切り分けて調整する仕組みです。
国土交通省の標準的な運賃制度では、運賃本体は人件費・車両償却費・施設費などの固定的コストを反映し、燃料費については変動性が高いため別建てで調整する考え方が採用されています。
両者の違いを整理すると、以下のとおりです。
| 項目 | 運賃 | 燃料サーチャージ |
|---|---|---|
| 目的 | 輸送サービス全体の対価 | 燃料価格変動の調整 |
| 対象コスト | 人件費・設備費など全般 | 燃料費のみ |
| 基準 | 契約時点の条件 | 基準価格との差分 |
| 見直し頻度 | 数年単位 | 月次・四半期 |
運賃に内包された基準燃料価格を超えた分だけを別建てで調整することで、価格変動への対応と取引の安定性を両立できます。
なお、運賃変更には貨物自動車運送事業法に基づく運賃料金の変更届出(30日前までの事前届出)が必要となります。燃料サーチャージについても運賃料金の一部として扱われるため、新設や算定方法の変更など内容によっては、同様に届出が必要となる場合があります。
実務上、運賃本体の改定交渉は荷主との調整に時間を要するため年単位での見直しとなることが多い一方、燃料サーチャージは事前に定めた算定ルールに基づき機械的に更新されるため、月次または四半期での価格反映が可能となります。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001745402.pdf
燃料サーチャージは、荷主・運送会社双方にとって合理的なメリットを持つ仕組みです。
燃料価格が高騰した場合は加算、下落した場合は減算されるため、コスト変動を一方的に押し付ける構造になりにくく、公平性を担保しやすい点が特徴です。
また、燃料価格が変動するたびに運賃改定の交渉を行う必要がなく、あらかじめ定めたルールに基づいて自動的に調整できるため、実務負担の軽減にもつながります。
燃料費の転嫁方法が明確になることで取引の透明性が高まり、結果として荷主側にとっても安定した物流体制の維持に寄与します。
また、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策に関する関係府省庁連絡会議では、燃料費等のコスト上昇分について、価格交渉を拒否する行為が下請法上の「買いたたき」に該当する可能性があると示されており、適正な転嫁の重要性が強調されています。
参考:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/shien_tool.html

燃料サーチャージの金額は、いくつかの要素を組み合わせて算出されます。
ここでは、計算の土台となる「基準価格」「実勢燃料価格」「調整係数・算出単位」という3要素に分けて、考え方と実務上のポイントを解説します。
基準価格とは、燃料サーチャージ算出の起点となる燃料価格で、運賃にあらかじめ内包されている燃料費水準を指し、一般的には、契約締結時点の燃料価格や、国土交通省の標準的な運賃で前提とされている軽油価格(例:120円/L)が用いられます。
令和6年4月改定の標準的な運賃では、軽油価格120円/Lを前提として運賃が算出されており、この価格が基準価格として広く採用されています。
実勢価格がこの基準を上回った場合、その差分のみをサーチャージとして調整し、基準価格が低すぎると荷主の負担感が増し、高すぎると運送会社が燃料高騰分を吸収することになります。
そのため、基準価格の設定にあたっては、国土交通省が示す120円/Lなどの公的指標を参照し、契約書や覚書において明文化しておくことが重要です。また「トラック運送業における適正取引推進ガイドライン」でも、基準価格を明確に定めることの重要性が指摘されています。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001732626.pdf
参考:https://jta.or.jp/member/genyukoto/surcharge_index.html
燃料サーチャージの算定に用いる実勢燃料価格は、資源エネルギー庁が公表する「石油製品価格調査」を参照するのが一般的です。これは公的統計であり、荷主・運送会社の双方が同じ数値を確認できるため、算定根拠として高い客観性があります。
この調査は毎週水曜日に全国約3,600か所の給油所を対象に実施され、軽油の店頭現金小売価格が全国平均および地方ブロック別(10地域)に公表されています。
実務では、全国平均を用いるのか、実際の運行エリアに近い地方平均を用いるのかを事前に定めておくことが重要です。資源エネルギー庁の石油製品価格調査では、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄の10地方ブロック別に価格が公表されており、特定エリアでの運行が中心の場合は地方平均を採用することで、より実態に即した調整が可能になります。
参考:https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html
多くの現場では「月次スライド制」を採用し、価格変動への対応と運用負荷のバランスを取っています。
燃料サーチャージでは、燃料価格差をどの単位で金額化するかを定めるために調整係数と算出単位を設定します。
距離制は、燃料価格が1円変動した場合の影響を車種や燃費に応じて1kmあたりの金額に換算する方法で、計算根拠が明確です。
率制は運賃総額に一定割合を乗じる方式で、事務処理を簡略化できます。
全日本トラック協会の「燃料サーチャージ制度ハンドブック」では、これら3方式について具体的な算定例が示されており、事業形態や取引形態に応じた適切な方式の選択が推奨されています。定額制は1運行あたりの加算額を定め、中短距離輸送で分かりやすさを重視する場合に用いられます。
なお、調整係数の算定基礎となる燃費は、車両の経年劣化や新技術の導入により変化するため、数年ごとに見直しを行うことが望ましいとされています。特に、環境対応車両への切り替えや燃費向上技術の採用があった場合は、係数の再設定を検討する必要があります。

燃料サーチャージの計算は、一定の手順に沿って行うことが可能です。
ここでは、価格乖離の確定から調整係数の算定、具体的な数値を用いた計算例を解説します。
ステップ1では、基準価格と実勢燃料価格の差(スライド幅)を確定します。
自社の購入価格ではなく、資源エネルギー庁が公表する石油製品価格調査(軽油・店頭)など、誰でも確認できる公的指標を参照元として固定することで、算定の客観性と説明性を確保できます。
また、1円刻みで金額を連動させると事務負担が大きくなるため、5円または10円単位で区分する階段式(スライドテーブル)を用いるのが一般的です。
| 燃料価格差 | サーチャージ区分 |
|---|---|
| 0〜4円 | 加算なし |
| 5〜9円 | 1段階加算 |
| 10〜14円 | 2段階加算 |
| 15円以上 | 3段階加算 |
あわせて、全国平均か地方平均か、前月平均を翌月に適用するかといった運用ルールも事前に明確化しておく必要があります。
これらの運用ルールは、契約書または覚書において具体的に規定することが推奨されます。国土交通省の「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」でも、燃料サーチャージの算定方法を書面などで明確にすることの重要性が指摘されています。
参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000363581.pdf
次に、車種別の燃費目安をもとに調整係数を算定します。
車両ごとに実燃費を管理するのは実務上の負担が大きいため、国土交通省の「標準的な運賃」で採用されている燃費指標を基準とする方法が一般的です。令和6年4月改定の標準的な運賃では、車両総重量別に燃料消費率(km/L)の標準値が示されており、これを調整係数算定の基礎として用いることができます。
例えば、燃料価格が1円変動した際に、1km走行あたりで何円コストが増減するかを算出し、その数値を調整係数(加算単価)として用います。
これにより、以下のような距離に応じた合理的な算定が可能になります。
| 車種区分 | 燃費目安 | 1円変動時の影響(1kmあたり) |
|---|---|---|
| 大型車(10t) | 約2.5km/L | 約0.40円 |
| 中型車(4t) | 約4.0km/L | 約0.25円 |
| 小型車(2t) | 約6.0km/L | 約0.17円 |
ただし、標準的な運賃で示された燃費数値は標準的な走行条件を前提としており、実際の運行では積載率、走行ルート(山間部・市街地)、運転方法などにより燃費が変動します。そのため、自社の実燃費データが蓄積されている場合は、それを根拠として係数を設定することも可能ですが、その場合は荷主に対して実績データを示して合意を得ることが必要です。
なお、燃費係数は柔軟に対応するためにも、車両更新や環境性能の変化に応じて定期的に見直すルールを設けることが重要です。全日本トラック協会の燃料サーチャージ制度ハンドブックでも、車両の入れ替えや技術進歩に応じた係数の見直しが推奨されています。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001732626.pdf
参考:https://jta.or.jp/pdf/surcharge/handbook2023.pdf
ここでは、国土交通省の標準的な運賃で前提とされている軽油価格120円/Lを基準価格とし、実勢価格を140円/Lとした場合の計算例を示します。価格差は20円で、この差分がスライドテーブル上で1段階分に該当すると仮定します。中型トラック(4トンクラス)の燃費目安は4.0km/Lであり、燃料価格が1円変動すると1kmあたり約0.25円の影響が生じます。
20円の価格差では1kmあたり約5円となり、これを走行距離に乗じることでサーチャージ額を算出します。
| 数値 | |
|---|---|
| 基準燃料価格 | 120円/L |
| 実勢燃料価格 | 140円/L |
| 価格差 | 20円 |
| 車種・燃費 | 中型車(4t)/4.0km/L |
| 調整係数 | 0.25円/km・円 |
| 走行距離 | 100km |
| サーチャージ額 | 約500円 |
前提条件と計算手順を整理することで、金額の妥当性を説明しやすくなります。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001732626.pdf
距離制は、走行距離と燃費をもとに燃料価格差を金額へ反映する方法で、国土交通省の考え方にも沿った標準的な算定方式です。以下では大型トラック(10トンクラス)が300km輸送を行うケースを想定しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 車種 | 大型トラック(10t) |
| 走行距離 | 300km |
| 基準燃料価格 | 120円/L |
| 実勢燃料価格 | 165円/L |
| 価格差 | 45円 |
| 燃費 | 2.5km/L |
| 調整係数 | 0.4円/km・円 |
| サーチャージ額 | 5,400円 |
大型トラック(10t級)の燃費2.5km/Lは、国土交通省の標準的な運賃における車両総重量別の燃料消費率を参考にした数値です。
基準燃料価格を120円/L、実勢価格を165円/Lとすると価格差は45円です。
燃費を2.5km/Lとした場合、燃料価格が1円変動すると1kmあたり0.4円の影響が生じます。この係数に価格差と走行距離を掛け合わせることで、サーチャージ額を算出します。
計算式:
サージチャージ額=調整係数 × 価格差 × 走行距離 =0.4円/km × 45円 × 300km
=5,400円
算出された5,400円を、通常の運賃とは別建てで請求するのが一般的な運用です。
率制は、基本運賃に一定の加算率を乗じて燃料サーチャージを算出する方法で、計算工程が少なく、混載便や多頻度取引で事務負担を抑えたい場合に多く採用されます。
ここでは基本運賃50,000円、燃料価格差45円、10円変動ごとに運賃の3%を加算するルールを想定します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 基本運賃 | 50,000円 |
| 燃料価格差 | 45円 |
| 判定単位 | 10円ごと |
| 適用段階 | 4段階 |
| 加算率 | 12% |
| サーチャージ額 | 6,000円 |
| 合計請求額 | 56,000円 |
45円の差は4段階分と判定され、加算率は12%となります。
その結果、燃料サーチャージは6,000円、合計請求額は56,000円です。
請求時には内訳を明示することで、荷主側の妥当性判断を容易にできます。
具体的には、請求書において「基本運賃」「燃料サーチャージ(基準価格120円/L、実勢価格165円/L、差額45円、加算率12%)」のように、算定根拠を明記することが推奨されます。
ただし「10円変動ごとに3%」という加算率は一例であり、実際の設定にあたっては、自社の平均的な走行距離と燃費から逆算して、距離制と同等の調整効果が得られる率を設定することが推奨されます。
率制はわかりやすいものの、距離や車種差が反映されにくい点も踏まえておく必要があります。
燃料サーチャージは、価格変動を中立的に調整する制度なため、実勢燃料価格が基準価格を下回った場合には、サーチャージを減額、またはマイナスとして扱う考え方が前提となります。
国土交通省の「標準的な運賃について」でも、燃料サーチャージは燃料価格の変動に応じて「加算または減算」するものと位置づけられており、価格下落時にも調整を行うことが制度の前提となっています。
燃料価格の上昇・下落の双方に対応する姿勢を示すことで、荷主との公平性が保たれ、長期的な信頼関係の構築につながります。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001732626.pdf
マイナス・サーチャージとは、実勢燃料価格が基準価格を下回った場合に、その差額分を運賃から差し引いて調整する仕組みです。
全日本トラック協会の「燃料サーチャージ制度ハンドブック」でも、価格下落時の減算ルールを明確にすることが推奨されており、上昇時のみ適用する一方的な制度設計は適正な取引慣行に反するとされています。
価格下落局面で適切にマイナス調整を行うことは、荷主に対して「燃料価格の変動を正しく反映している」という姿勢を示すことにつながります。
参考:https://jta.or.jp/pdf/surcharge/handbook2023.pdf
もう一つの対応方法が、燃料サーチャージの「適用停止」です。
この運用では、基準価格を運賃に内包される最低限の燃料価格ラインと定義し、実勢価格がこれを下回った場合でも減額は行わず、サーチャージをゼロとします。
これはあくまで加算を行わないという考え方であり、運賃自体を引き下げるものではありません。この方式を採用する場合は「基準価格以下の燃料費は運賃に含まれる」という取り決めを、契約書や覚書などで事前に明確化しておくことが不可欠です。
ただし、適用停止方式を採用する場合でも、その理由(基準価格が運賃算定時の前提燃料費であることなど)を荷主に説明し、書面で合意を得ることが重要です。説明なく一方的に適用停止とした場合、下請法上の「不利益な取扱い」として問題視される恐れがあります。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001972281.pdf

燃料サーチャージは、各社の独自判断ではなく、公的機関や業界団体の考え方を踏まえて設計することが重要です。
ここでは、国土交通省の標準的な運賃における位置づけや、トラック協会が示す料金表モデル、さらに法令との関係性を解説します。
標準的な運賃の告示では、燃料サーチャージについて「燃料の価格変動に応じて加算又は減算する」と明記されており、双方向調整が制度の前提となっています。
また、貨物自動車運送事業法第9条では、運賃および料金の設定または変更を行う場合、実施の30日前までに届出を行うことが義務付けられています。燃料サーチャージは運賃・料金の一部として扱われるため、同様に30日前の届出手続きが必要となります。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001583058.pdf
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001732626.pdf
「燃料サーチャージ制度ハンドブック」では、距離制・率制・定額制の3方式について、それぞれスライドテーブルの作成例が示されており、事業者が自社の取引形態に応じて選択・カスタマイズできるようになっています。この方式は、燃料価格の変動を分かりやすく金額に反映できる点が特徴です。
参照する燃料価格としては、資源エネルギー庁が公表する統計データの活用が推奨されています。
ただし、軽油価格には地域差があるため、全国平均を用いるのか、北海道や九州など特定エリアの数値を用いるのかについては、事前に荷主と合意を交わす必要があります。つまり、協会モデルはあくまでひな型であり、実務に即した調整が前提となります。
全日本トラック協会のハンドブックでは、「このモデルをそのまま適用する必要はなく、各事業者の実情に応じて基準価格、スライド幅、加算額などを調整することが推奨される」とも明記されています。
参考:https://jta.or.jp/lp/surcharge2022/
参考:https://jta.or.jp/pdf/surcharge/handbook2023.pdf
下請法第4条第1項第5号では、「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」が禁止されており、公正取引委員会の運用基準では、燃料費等のコスト上昇分について協議に応じない行為が買いたたきに該当する可能性があると示されています。
近年は、労務費やエネルギーコストの適正な価格転嫁が強く求められており、交渉姿勢そのものが厳しく問われる傾向にあります。場合によっては、是正指導や企業名公表といったリスクも否定できません。
こうしたトラブルを防ぐためにも、燃料サーチャージの算定条件や見直しルールは曖昧にせず、覚書や契約書などの書面で明確に定めることが重要です。
参考:https://www.jftc.go.jp/file/01_discussion_2.pdf
参考:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/surcharge_donyu_handbook_shosai.pdf
ヤマト運輸のサーチャージは、運賃額に対して一定の料率を乗じる率制を採用しています。
基本運賃 × 燃料追加料金率(%) = サーチャージ額
荷物のサイズや重量ごとに異なる運賃に対し、一律の料率で計算できるため、多品種・大量発送を行う法人客にとってコスト把握が簡便です。
また、算出の根拠として、世界的に信頼性の高い公的指標を採用しており、荷主に対して料率の高い客観性も持たせています。
参考:https://business.kuronekoyamato.co.jp/service/lineup/ups_wwe/ryoukin_tsuika/index.html
佐川急便では基本運賃に対し、あらかじめ定められた「適用率」を乗じて算出します。
基本運賃 × 燃料サーチャージ適用率 = 加算金額
佐川急便の最大の特徴は、算出根拠に2つの公的統計を採用している点です。
毎月の細かな変動を追うのではなく、一定期間の平均値を用いることで、荷主側の予算管理のしやすさにも配慮しています。
参考:https://www2.sagawa-exp.co.jp/whatsnew/detail/2506/
西濃運輸(カンガルー便)の燃料サーチャージは、燃料上昇額(変動額)に基づき、運賃1件ごとに定額または率で加算する「段階的スライド制」を採用しています。業界内でも特に「料金表(テーブル)」が精緻に作り込まれていることが特徴です。
以下のように、輸送形態に応じた2パターンの算出方法を明示しています。
参考:https://www.seino.co.jp/seino/mail2/branch/999_25031808225778.pdf
トナミ運輸の燃料サーチャージは、軽油価格の変動幅に応じた段階的な料率表を用いて算出する方式を採用しています。
基本運賃 × 燃料価格変動に応じた料率 = サーチャージ額(または定額加算)
トナミ運輸の特徴は、参照する燃料価格として(財)日本エネルギー経済研究所・石油情報センター発表の店頭軽油価格(全国平均)を採用している点です。
前月の平均軽油価格が基準を上回る場合、その上昇幅に応じて段階的に燃料サーチャージ額を加算します。 軽油価格が一定の基準を超えた段階ごとに料率が変わる仕組みにより、燃料価格の変動を細かく反映しつつ、荷主側にも影響を見通しやすくしています。
参考:https://www.tonami.co.jp/wp-tonami/wp-content/themes/tonami/pdf/transportation/fuel/n2013090201.pdf

燃料サーチャージは、金額の大小よりも説明できる運用になっているかが重要です。
ここでは、算出根拠の透明性、覚書・契約書による合意形成、見直し頻度の設計という観点から、適正運用と交渉時の確認ポイントを解説します。
燃料サーチャージの適正性を判断するうえで、最初に確認すべきなのが算出根拠の透明性です。
特に重要なのは、算定に用いる数値やルールが客観的かどうかです。
| 確認項目 | 透明性確保のポイント |
|---|---|
| 参照データ | 資源エネルギー庁など公的統計を使用 |
| 計算方法 | 基準価格と実勢価格の差分を明示 |
| 表示方法 | 荷主が確認できる形で提示 |
また、燃料サーチャージは恒久的な値上げではなく、価格変動への対応策です。
価格下落時の調整ルールも含めて事前に明文化することで、制度の中立性を担保しつつ、取引先の納得感と信頼性向上につながります。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/000211177.pdf
燃料サーチャージを適正に運用するためには、覚書や契約書による事前の合意形成が欠かせません。
企業ごとに基準価格や算定条件は異なりますが、「基準価格と実勢価格の差分を調整する」という基本構造について、荷主と共通認識を持つことが重要です。
貨物自動車運送事業法第9条では、運送契約の締結時に運賃及び料金を書面で明示することが義務付けられており、燃料サーチャージも運賃料金の一部として同様に書面化する必要があります。
請求段階で初めて説明するのではなく、ルールを事前に書面化しておくことで、認識違いやトラブルを防げます。
| 合意事項 | 書面で明確にすべきポイント |
|---|---|
| 基準価格 | 運賃に内包する燃料価格水準 |
| 参照指標 | 公的統計(資源エネルギー庁など) |
| 見直し周期 | 月次・四半期などの更新ルール |
| 算定方法 | 距離制・率制などの方式 |
国土交通省の「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」では、燃料サーチャージ導入にあたって、基準価格、改定条件、算出方法などを荷主に対して事前に明確に示すことが求められています。また、全日本トラック協会の「燃料サーチャージ制度ハンドブック」でも、契約書または覚書による書面での合意が推奨されています。
自社独自の計算方法であっても、国土交通省の指針や大手運送会社の考え方との整合性を示すことで合理性を担保できます。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/000211177.pdf
参考:https://jta.or.jp/pdf/surcharge/handbook2023.pdf
燃料サーチャージは、月次・四半期・半年などの見直し周期をあらかじめ決め、運用のブレをなくすことが重要です。
例えば、大手では月次または四半期更新が多く、事務負担と価格反映の速さを踏まえて自社に合う周期を選びます。全日本トラック協会の「燃料サーチャージ制度ハンドブック」でも、月次更新を基本としつつ、事業者の実情に応じて四半期や半年での更新も選択肢として示されています。
運用開始前に「〇月平均を〇月請求に反映」などのスケジュールを荷主へ提示し、参照する統計データと更新タイミングも固定して恣意性を排除します。
国土交通省の「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」では、燃料価格の短期的な変動に都度対応するのではなく、一定の価格帯(5円または10円刻み)を設定し、その範囲内での変動では改定しない方式が推奨されています。この方式により、頻繁な改定による事務負担を軽減しつつ、一定水準以上の変動には対応できます。
| 事前に決める内容 | 例 | |
|---|---|---|
| 見直し周期 | 更新頻度 | 月次/四半期/半年 |
| 参照データ | 指標と範囲 | 資源エネルギー庁の全国平均/地方平均 |
| 適用ルール | いつの価格をいつ請求に反映するか | 1月平均→2月請求 |
| 例外対応 | 変動が小さい場合の扱い | 5円・10円刻みのテーブル適用 |
参考として、大手運送会社の見直し周期を見ると、ヤマト運輸や佐川急便は月次または四半期での更新、西濃運輸は燃料価格変動に応じた段階的更新を採用しています。これらの事例を参考にしつつ、自社の請求サイクルや事務処理体制に合わせた周期を設定することが実務上は効率的です。
非公開コストがある場合も、算定ロジックを丁寧に説明し、都合の良いときだけ加算する印象を避けることが信頼維持につながります。
参考:https://jta.or.jp/pdf/surcharge/handbook2023.pdf
参考:https://www.mlit.go.jp/common/000211177.pdf
燃料サーチャージは、基準価格と実勢価格の差分をもとに、距離制や率制など一定のルールで算出することで、金額の妥当性を説明できます。
国土交通省やトラック協会の指針に沿い、算出根拠の透明性、書面での合意、定期的な見直しを徹底することが、荷主・運送会社双方の納得と安定した取引につながります。
こうした透明性の高い取引を実現するためには、客観的な運行データの管理が不可欠です。五十鈴株式会社の「次世代運行管理システムAIR」は、運行記録計と連動して実走行距離や稼働実績を正確にデジタル化し、燃料サーチャージ算出の揺るぎない根拠を提供します。
データに基づいた健全な荷主交渉を目指したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。