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物流の運行管理システムは?比較ポイント、無料を含むおすすめ15選

運送業の効率化はどう進めるべき?現場改善とIT導入の優先順位を解説

運送業界を取り巻く環境の変化とともに、改正物流効率化法の施行により、運送業の効率化への取り組みは努力目標ではなく、荷主・物流事業者双方に課せられた経営上の責務へと変貌しました。本記事では、現場主導で行うべき業務の標準化と、抜本的な変革をもたらすIT・システム導入の両面から、実効性の高い効率化の手法を提示します。

次世代運行管理システムAIR 」は、運行記録計のデータと連動して日報作成や配車計画を自動化し、属人的な管理から仕組みによる管理への転換を支援します。現場に無理のない変革を推進したい場合には、ぜひご相談ください。

目次

1.運送業に劇的な効率化が求められる理由

運送業の効率化は事業の存続を左右する最優先の経営課題です。ここでは、なぜ今、抜本的な効率化が経営戦略として不可欠であるのか、その背景を具体的に解説します。

(1)人手不足と労働環境の変化

引用:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/yusosangyo2024.pdf

全日本トラック協会の資料によれば、若年層の入職減少と高齢化が同時に進行している実態が浮き彫りになっています。特に既存の人材構成における年齢の偏りは、構造的な輸送力の低下につながります。

限られた人的リソースで事業を継続するためには、配車・荷待ち・荷役・報告といった各業務を根本から見直し省人化された体制へと転換する効率化が強く求められています。以下の記事では、物流の省人化について詳しく解説しています。

引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001888325.pdf

さらに国土交通省の資料でも、トラックドライバーの有効求人倍率は全職業平均の約2倍と高い水準で推移しており、人手不足の慢性化が示されています。

(2)燃料費・人件費などコスト構造の影響

引用:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/yusosangyo2024.pdf

トラック輸送における営業費用のうち、燃料費は営業費用の2~3割を占めています。
価格高騰が続く現状では、空車回送や無駄なアイドリングといった非効率な走行を徹底的に排除することが、利益確保に直結します。

さらに、人手不足を背景とした人件費の上昇も深刻であり、こちらは営業費用の約4割にまで達しています。商慣行の影響もあり、これらコスト増をすべて運賃へ転嫁することは容易ではありません。

しかし、業務の効率化によって稼働実態を正確に把握できれば、コスト削減の余地を特定できるだけでなく、荷主に対する適正な運賃改定交渉の強力な根拠となります。
実際に全日本トラック協会の資料では、待機時間料や積込料・取卸料といった付帯作業料金を明確に区分し、適正に請求することが推奨されています。これらの料金を根拠をもって請求するには、デジタルタコグラフ運行管理システムを活用し、運行や作業の実態を正確に記録・把握することが前提となります。

こうしたデータをもとに、効率化によって削減できたコストを定量的に示すことで、荷主との対等な運賃交渉が可能となり、あわせて労働環境改善への再投資にもつなげることができます。

参考:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/202410unchin.pdf

(3)荷主・取引先から求められる対応レベルの変化

物流効率化法の改正により、物流の効率化がすべての荷主・物流事業者に共通して求められる前提条件となりました。国は判断基準を策定し、取組状況に応じて指導・助言や調査・公表を行う仕組みを整備しており、一定規模以上の事業者は特定事業者として指定され、中長期計画定期報告が求められます。

改正物流効率化法の要点 ※クリックで開きます

改正後の物流効率化法では、特定事業者(荷主:常時100人超、物流事業者:常時300人超)に対して、物流効率化責任者(役員級)の選任中長期計画(5年程度)の作成・提出毎年度の定期報告書の提出取組状況の公表が義務付けられています。

また、すべての事業者に対しては、荷待ち・荷役時間の削減(目標:合計2時間以内)積載効率の向上モーダルシフトの推進などが努力義務として求められています。国は取組状況を確認し、不十分な場合には指導・助言、勧告・公表・命令といった段階的措置を講じることができます。

効率化は罰則回避ではなく、制度環境の変化に適応し、事業を継続するための現実的な対応として位置づけられています。

参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/5minutes/
参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/butsuryu-kouritsuka.html

2.運送業の効率化において取り組むべき現場改善とその事例

運送業の現場改善は、ガバナンスの構築標準化という全社的なプロセスであるべきです。ここでは、運送業の効率化において取り組むべき現場改善その事例について解説します。

(1)積み込み・荷待ち・荷下ろし工程の標準化

積み込みや荷待ち、荷下ろしといった工程においては、現場ごとの段取りや荷主側との事前調整をブラックボックス化させないことが重要です。作業の開始時刻や順序を明確に定め、現場ごとにばらつきのある手順を標準化することで、現場での判断迷いを排除し、待機時間の劇的な削減が可能になります。

引用:https://www.mlit.go.jp/common/001347068.pdf

例えば、家庭紙メーカー4社(王子ネピア、カミ商事、大王製紙、日本製紙クレシア)とユーピーアールは、従来主流であったバラ荷役からパレット荷役への転換を業界の垣根を越えて推進しました。商品サイズとトラックの積載効率を両立させる新型パレットを共同開発したほか、パレットの製作・管理・回収をレンタルパレット事業者に委託することで、個別管理に伴うコスト増と業務の複雑化を回避しています。

その結果、従来は90分〜120分を要していた積み込み作業が15分〜20分へと短縮され、約75%もの作業時間削減を実現しました。こうしたハード・ソフト両面での標準化は、現場の負担を軽減するだけでなく、全社的なオペレーションの安定化に直結します。

引用:https://www.mlit.go.jp/common/001347068.pdf

(2)運行ルール・業務手順の改善

個々のドライバーの経験や土地勘に依存した運行ルールを排し、組織として業務手順を再定義することは、走行効率の向上と労働時間の短縮に直結します。自社単独での改善が限界に達している場合、業界の垣根を越えたルールの共通化が極めて有効な手段となります。

例えば、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーのビール4社による共同輸送の取り組みでは、競合関係にあった各社が、北海道の道東エリアにおける配送を共同化し、鉄道とトラックを組み合わせた効率的な輸送を成立させました。

引用:https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2017/0516_04.html

この取り組みの要点は、1社1届け先でトラック単位(目安10t超)にならない荷物を対象に、物流拠点の運用や配送手順を4社間で共通化した点にあります。 こうした手順の共通化により、年間で約800台の長距離トラックの運行を削減するなどで輸送能力を最大化しています。

(3)モーダルシフト・共同配送による輸送効率の向上

長距離区間を鉄道や船舶に置き換えるモーダルシフトや、複数荷主の荷物を集約する共同配送は、ドライバーの拘束時間削減に直結する改善策として注目されています。トラック単独での長距離輸送は、運転時間の増大や待機の発生により現場負担が大きくなりがちですが、輸送方式を転換することで走行距離と拘束時間を大幅に削減できる場合があります。

引用:https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202310/202310m.pdf

実際に国土交通省の資料では、鉄道コンテナ輸送でCO2排出量を約84%、内航海運で約80%削減できるとされており、環境負荷低減と効率化の両立が評価されています。

引用:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2022/20221014-001/

具体的事例では、花王株式会社が関東から九州方面への製品輸送において、従来のトラック輸送から鉄道コンテナ輸送へ段階的に切り替える取り組みを推進しており、この転換によってCO2排出量の大幅削減とドライバー不足への対応を両立させています。

こうした輸送方式の転換や共同化は、自社単独では実現が難しいものの、荷主企業や同業他社との連携により、輸送コスト削減とドライバー不足への対応を同時に達成できる有力な選択肢となります。

参考:https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202310/202310m.pdf

3.運送業の効率化におけるIT・システム導入とその事例

人手や運用改善だけでは限界が見え始めた業務領域では、ITやシステムの活用が有効な選択肢となります。
ここでは、運行・配車・可視化・管理といった分野で、抜本的な変革を遂げた4つの領域を解説します。

(1)運行記録・日報・勤怠・請求などのデジタル化

従来の紙や手入力による管理をデジタルへ移行することで、事務工数の劇的削減だけでなく、改善基準告示に準じた労働時間の自動計算により、労務違反のリスクをリアルタイムで検知するなどで経営上の守りを固めることが可能です。

引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001609016.pdf

運行記録や日報、請求業務を手書き・手入力で管理していた企業では、GPS端末運行管理システムを導入し、運行計画の精度向上荷主交渉といった、より戦略的な業務にリソースを集中させる体制を整えました。

日報や勤怠のデジタル化は、データに基づいた動的な経営判断を可能にすることが高度な運行管理の実現につながります。以下では、運転日報のペーパーレス化する方法を網羅的に解説しています。

(2)配送・配車の最適化

配車業務をデジタル化することで、ブラックボックス化しやすい配車スキルを組織の資産へと転換できます。
経験値に頼らないルート選定により、走行距離の短縮と燃料費の削減、さらには空車回送の抑制を実現し、誰が担当しても最短ルート・最大積載を導き出せるようになり、サービスレベルを一定に保持できます。

引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001609016.pdf

配車業務が特定の担当者の経験や土地勘に依存しており、不在時の業務停滞や判断品質のばらつきが課題となっていた事例では、自動配車クラウドを導入し、配送条件や制約をシステム上で整理・可視化することで、経験の浅い担当者も配車業務を行える体制を構築しています。
判断ロジックを仕組みとして標準化したことで、属人化を解消しつつ、配車品質の安定化業務の再現性を確保しました。

物流業界において、配車は長らく職人芸とされてきましたが、その属人性は経営上の致命的なボトルネックとなり得るため、判断のロジックをシステムに組み込む仕組み化が求められています。

(3)リアルタイムでの状況把握や可視化

物流現場の主要な停滞要因である荷待ち・荷役を可視化することで、現場の平準化収益性の改善を同時に実現します。また、待機実態を客観的な数値で示すことで、荷主に対して説得力のある作業改善や運賃交渉が可能となります。

引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001609016.pdf

福岡運輸では、車両やバースの状況を即座に把握できないことにより、到着確認や順番待ちに関する問い合わせ対応が増え、管理側・現場双方の負担が課題となっており、携帯電話と連動したバース予約・受付システムを導入し、車両の到着状況や呼出状況をリアルタイムで可視化する仕組みを整備しました。

これにより待機時間の短縮と業務の円滑化を実現し、遅延やトラブルへの対応も事後対応から事前調整へと転換することが可能になりました。自社のみならずサプライチェーン全体の非効率をデータで指摘できる体制を持つことこそが、次世代の物流経営における強力な武器となります。

(4)複数業務の一元管理

点在する業務データを一つのプラットフォームに統合することで、転記や再入力のプロセスなどの組織全体における二重業務を根絶し、経営判断の精度を飛躍的に高めます。

引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001609016.pdf

運行管理、点呼、日報、請求といった業務が個別に管理されていたことで、同一情報の転記や確認が繰り返され、入力ミス確認漏れ手戻りが発生しやすい状況にあった事例では、クラウド型WMSを導入し、複数拠点・複数業務の情報を一元管理することで、データの重複やズレを抑え、業務全体を横断的に把握できる体制を構築しています。

全体最適の視点で業務を整理することで、管理負担を軽減し、運行管理の安定化と効率向上を実現することが可能です。

(5)AI・データ分析による需要予測と配送計画の高度化

AIやデータ分析を活用した需要予測は、繁閑差の大きい運送業において、事前の配車計画や人員配置を最適化する有効な手段です。国土交通省が推進する「物流DX」でも、ビッグデータを活用した高度な需要予測配送計画の最適化が重点施策として位置づけられています。

引用:https://www.yamato-hd.co.jp/news/2019/mds9bo00000040au-att/e.pdf

ヤマト運輸では、2020年に発表した中長期経営計画「YAMATO Next 100」において、データ・ドリブン経営への転換を掲げ、データ分析とAIの活用により予測精度を高め、配送体制の最適化を推進しています。こうした取り組みにより、需要変動への対応力を強化し、現場負荷の平準化を図っています。

4.運送業の効率化と物流効率化法・改正との関係

運送業の効率化は、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(改正物流効率化法)」に基づく法的義務へと変化しています。ここでは、改正の核心と、具体的な対応要件を解説します。

(1)物流効率化法の概要と改正のポイント

改正法は、従来の「荷主・物流事業者の連携による効率化」を促す枠組みを維持しつつ、新たに物流の停滞を回避するための法的義務を創設している点が最大の特徴です。改正の重要ポイントを3つに集約して解説します。

全事業者(荷主・物流事業者)への努力義務・荷待ち時間
・荷役時間の削減(目標:合計2時間以内)
・積載効率の向上(パレット活用、共同配送等)
特定事業者(大規模事業者)への義務化・中長期計画の作成、および「物流効率化責任者(役員級)」の選任
・取り組み状況の定期報告
多重下請構造の是正実運送体制管理簿の作成(荷主への適正な運賃支払いの担保)

改正物流効率化法は2024年4月1日に施行され、物流の2024年問題(ドライバーの時間外労働上限規制)を背景に、荷主・物流事業者双方に具体的な取り組みを求める制度へと発展しました。特定事業者は国が定める基準に基づき、規模や取扱量などを踏まえて指定され、指定後は中長期計画の策定や取り組み状況の報告が義務付けられます。

また、特定事業者以外の中小事業者についても、努力義務の履行状況を国が確認し、必要に応じて指導・助言を行う体制が整備されています。取り組みが著しく不十分な場合には、勧告や企業名公表、命令といった段階的措置が講じられる仕組みとなっており、法令遵守は経営リスク管理の観点からも重要性が高まっています。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html
参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/

(2)運送業に直接関係する主な内容

改正法における、実運送事業者に課される具体的な義務規定は、以下のとおりです。

実運送体制管理簿の作成(義務化)自社の輸送実態を荷主に対して透明化する責任が生じる
下請手数料の不当な据え置きの禁止不当な手数料の差し引きを抑制し、対価の適正化を図る
荷主・物流施設設置者への改善要請荷主や倉庫側に対しても荷待ちや荷役時間の削減が求められ、運送事業者は客観的なデータ(待機時間の記録など)を基に改善を働きかける姿勢が必要

実運送体制管理簿は、元請事業者が荷主から受託した運送について、実際に運送を行う事業者の名称や運賃などを記録・保存する帳簿であり、2024年11月1日から作成・保存が義務化されています。これは多重下請構造における不透明な運賃配分を是正し、実運送事業者が適正な運賃を収受できる環境を整備することを目的とした制度で、荷主は運送実態を正確に把握でき、運送事業者は適正な対価を主張する根拠を明確化できます。

また、荷主や物流施設設置者への改善要請については、改正貨物自動車運送事業法により、運送事業者が荷待ち時間の削減などを要請できる権利が明確化されました。
要請に正当な理由なく応じない場合には、国土交通大臣が荷主等に対して勧告や企業名公表を行うことができ、現場の負担軽減と適正な取引環境の確保が制度的に後押しされています。

自社の配送ルートや下請構造をシステムで可視化することは、荷主から選別され、企業の競争力を高めるための必須条件となります。

参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001878514.pdf

(3)効率化が求められる対象業務の考え方

物流改正法の目的は、日本の物流における最大のボトルネックである拘束時間の長期化低積載の解決です。
これらは、網羅的に取り組むのではなく、重点的に効率化が求められる4大領域から自社の収益を最も圧迫している真の課題にリソースを集中させるべきです。

改善領域詳細
荷待ち・荷役時間(付帯作業)待機と契約外の荷役の削減
積載効率の向上積載率を向上させる共同配送やパレット化
運行の合理化空車回送の削減や、
鉄道・船舶を活用したモーダルシフト
情報のデジタル化荷主・運送事業者間での送り状や
動態情報のリアルタイム共有

国土交通省の調査では、トラックドライバーの拘束時間のうち荷待ちが平均1時間47分荷役作業が平均1時間36分とされ、合計3時間23分に達しています。改正法が目標とする「合計2時間以内」を実現するには約1時間20分以上の削減が必要であり、荷主との協働による業務プロセスの抜本的な見直しが不可欠です。

また、営業用トラックの積載効率は約40%にとどまり、約6割が空きスペースという実態があります。
パレット化や共同配送などにより積載率を高めることで、必要車両台数や走行距離を削減でき、ドライバー不足対策と環境負荷低減の両立が可能になります。

自社の実態に即した優先順位を設けることが、法適合と利益最大化の両立に直結します。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001490115.pdf

(4)現場改善・IT導入と制度対応の関係性

物流改正法の対応において、物流の停滞を解消する実態を組織として構築できているかを根幹に据えることが重要です。IT導入は強力な手段ではあるものの、実態を把握し、自律的に改善を回すガバナンスなくしては真の効率化を図ることはできません。

主導すべきは、現場の泥臭い改善を軽視せず、それをITによって資産(データ)に昇華させる「現場とITの融合」にあります。

この両輪が揃って初めて、法改正を逆手に取った持続可能な経営基盤が完成します。

改正物流効率化法では、努力義務として情報のデジタル化が明記されており、送り状や配送指示の電子化車両の動態情報のリアルタイム共有荷待ち・荷役時間の自動記録運行実績データの蓄積といった取り組みが推奨されています。これらのデジタル化により、荷主と物流事業者間の情報共有が円滑になり、荷待ち時間の削減や庫内作業の効率化が進むだけでなく、蓄積されたデータは運賃交渉や改善要請の客観的な根拠としても機能します。

法対応を単なるコンプライアンスとして捉えるのではなく、デジタル化を通じて業務の透明性と再現性を高め、取引先から選ばれ続ける競争優位性を確立するための経営戦略として位置づけることが重要です。

参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/

5.運送業の効率化で失敗しないための注意点

物流効率化は、手法を誤れば現場の疲弊を招き、形骸化した施策に終わるリスクを孕んでいます。特に物流改正法への適応を急ぐあまり、現場を置き去りにしたシステム導入を進めることは避けなければなりません。

ここでは、投資を確実に成果へとつなげるために、堅持すべき4つの判断軸について解説します。

(1)数字より余裕を追う

運送業の効率化において、燃費の向上や走行距離の短縮などの数字のみを過度に追い求めると、現場にプレッシャーがかかり、最終的には事故の増加や離職という、数字上の利益を吹き飛ばすほどの経営リスクを招きます。
真に目指すべきは、効率化によって現場に時間的・精神的な余裕を生み出すことです。

IT活用によって付帯作業や待ち時間を削減し、ドライバーが安全運転と適切な休憩に充てられる余裕を創出することが理想です。
現場に余裕があれば、突発的なトラブルにも柔軟に対応でき、社長が現場の火消しに走る必要がなくなり、既存人材の帰属意識が高まれば、採用難の時代において最大の資産である人材を繋ぎ止めることもできます。

なお、国土交通省の指針でも過労運転防止と安全確保が最優先とされており、効率化はあくまでそのための手段です。全日本トラック協会の調査でも、休憩確保や拘束時間の短縮など労働環境を改善した事業者ほど定着率が高い傾向が示されています。効率化で生まれた余裕を現場に還元することが、人材確保に直結する最も確実な投資になります。

参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/instruction.html

(2)社長の勘を仕組み化する

社長の勘やベテランの経験に頼り切った属人化の状態を放置することは、経営における最大のボトルネックと認識しなければなりません。担当者の不在がそのまま事業の停滞に直結する体制では、どれだけ個々の業務を速くしても、組織としての効率化は達成できません。

例えば、社長がいなければ回らない現場は、一見頼もしく思えますが、それは社長が現場に縛り付けられている」という成長の限界を意味します。この場合、社長の勘をシステムや手順などの「仕組み」に落とし込み、組織が自律的に動くインフラを整える必要があります。自分にしかできない仕事をあえて手放す勇気を持つことが、運送業の効率化を真の経営の安定へとつながります。

国土交通省のホワイト物流推進運動では、業務の属人化解消が重点項目として掲げられています。配車業務や運行管理など、特定の担当者に依存している業務を標準化・システム化することが推奨されています。以下の記事では、特に属人化の解消が期待できる運行管理システムについて解説しています。

参考:https://white-logistics-movement.jp/
参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/

(3)現場の反発を味方につける

新しいシステムやルールを導入する際、現場から「余計な仕事が増える」「今のままでいい」といった反発が起きるのは避けられない事実です。しかし、ここで現場を力技で抑え込もうとすることは、効率化が形骸化し、失敗に終わる要因となりえます。留意すべきは、現場の反発こそが非効率な業務を特定するヒントという点です。
なぜなら、現場が面倒と感じる部分には、必ずアナログな二重手間や無理な工程が隠れているためです。

導入初期は現場の非効率解消を優先させ、「これを使えば日報作成がなくなる」「電話での到着確認が不要になる」などの現場側のメリットを先行して解決することで、反発は期待へと変わり、全体の最適化につながります。

つまり、不満を吸い上げ、現場の実態に合わせて運用を微調整するプロセスを経ることで、現場は自分たちの仕事を支える道具として仕組みを受け入れるようになります。

(4)法対応を利益の源泉に変える

物流改正法への対応をコストがかかる義務として受け身で捉えることは、機会損失現場の閉塞感による人材流出などの致命的な経営損失を招きます。自社の収益構造を改善する正当な武器に変える発想の転換が不可欠です。

例えば、荷待ち時間や実運送体制がデジタルで可視化された場合、それは荷主に対する運賃交渉待機料金請求の揺るぎないエビデンスになります。「法律で定められている」という公的な基準を盾に、これまで踏み込めなかった不適切な商慣習の是正を求めることが可能になります。

また、クリーンな運行管理を行っていることをデータで証明できる体制は、荷主企業にとってもコンプライアンス上の安心感につながります。こうしたことを踏まえ、効率化への投資は優良な取引先から選ばれ続けるための競争優位性の確立にほかなりません。

国土交通省が公表している「標準的な運賃」では、待機時間料や積込料・取卸料などの付帯作業料金が明示されています。デジタルタコグラフ運行管理システムにより実態を正確に記録できれば、これらの適正な対価を具体的な数値で示すことが可能になります。

法対応を通じて得られるデータは、収益改善のための交渉材料として活用できます。

6.まとめ

運送業の効率化は、システム導入ありきではなく、まず現場のムダや属人化を整理することから始めるのが現実的です。
人手不足やコスト増、法改正への対応が重なる中、配車・荷待ち・記録業務などを見直し、限られた人員でも回る体制を整えることが重要になります。
そのうえで、現場改善だけでは限界が見える業務にITを活用することで、効率化を無理なく積み上げていくことが、自社に合った持続的な対応につながります。

次世代運行管理システムAIR 」は、まさにその現場の限界を補うためのツールです。運行記録計のデータと連動し、日報作成や配車計画といった属人化しやすい業務を自動化することで、管理者の負担を無理なく軽減します。さらなる効率化を推進したい場合には、ぜひご相談ください。

監修

10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。

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